- 疑惑の多い兄シエル
- 兄シエルの本当の目的は当主奪還ではなく坊ちゃんを囲う事か
- 兄シエルに笑顔が多いことは坊ちゃんとの明白な相違点
- サーカス編で既に張られていた坊ちゃんの「笑顔」についての伏線
- 兄シエルの笑顔は、ビザールドールとしての正体に関わる伏線か
- ビザールドールの質は「未来への願望」に左右される
- 兄シエルはファントムハイヴ家襲撃事件に加担した可能性
- タナカさんを刺したのは兄シエルか?
- 疑問点:何故タナカさんは走ってきた双子が坊ちゃんであると分かったのか?
- 「シエル様」を「貴方様」に言い返すと解釈すると、「意味が無いセリフ」になってしまう点
- タナカさんのセリフ/重要なのは「助詞」のほう
- タナカさんのセリフの真意は?
- タナカさんの嘘
- 兄シエルをそそのかした人物こそが「黒執事」の黒幕か
- 疑問点
- まとめ
- 兄シエルのキャラクター性まとめ
こんにちは!餅月です
今日は兄シエルについて考察をしていきたいと思います。
兄シエルには様々な疑惑があります。
今回はそれらをまとめて考察していきたいと思います。
大まかにまとめると、
・兄シエルの疑惑
・兄シエルの本当の目的は当主奪還ではなく坊ちゃんを囲う事か
・兄シエルに笑顔が多いことは伏線の可能性&坊ちゃんとの明白な相違点か
・兄シエルはファントムハイヴ家襲撃事件で犯人を手引きしていたか
・兄シエルをそそのかした人物こそが「黒執事」の黒幕か
上記の内容となります。
では順番に考察をしていきたいと思います!
疑惑の多い兄シエル
青の教団編で遂に登場した
坊ちゃんの双子の兄、本物のシエル
彼は非常に疑惑の多い人物として描かれています。
彼は現在、
坊ちゃんからファントムハイヴ家当主の座を奪おうという形上の目標を掲げ追い詰めています。
兄シエルの本当の目的は当主奪還ではなく坊ちゃんを囲う事か
兄シエルは、
形上、ファントムハイヴ伯爵の地位を坊ちゃんから奪うために葬儀屋(アンダーテイカー)と共に坊ちゃんにスフィア・ミュージックホール殺人事件の実行犯としての濡れ衣を着せることで、坊ちゃんの社会的地位を脅かそうとしています。
私がこれを「形上」というのには理由があります。
ファントムハイヴ家の当主争いは、兄シエルと葬儀屋にとっては本当の目的は上記のものではない可能性が非常に高いからです。
といいますのも、当主の座争奪戦が兄シエルにとってはあくまで形上の目標であり、彼と葬儀屋の本当の目的が当主の座ではなく、坊ちゃんを自分の下に置くことである可能性があると私は感じているからです。
そう考察する理由を過去記事から引用します。
兄シエル側にとって「ファントムハイヴ家の後継者争い」の勝ち負けはどうでもいいものである可能性
ではなぜ敢えてスフィア側は坊ちゃんをおびき寄せるようなヒントを出したのでしょうか?
その動機としては、
現在も坊ちゃん達の目的は「兄シエルからファントムハイヴ伯爵を取り戻す」と言う名目がありましたが、この「ファントムハイヴ家後継者争い」の勝ち負け自体が兄シエルと葬儀屋にとって勝ち負けがどうでもいい建前上の争いにすぎない可能性があると私は考えています。というのも、小さい頃の兄シエルが、「伯爵ではなく僕も弟と一緒におもちゃ屋になる!」と言った直後、このような発言をしていることが挙げられます。
兄シエルにとって伯爵とは「なるしかない」ものであり「なりたい」ものではない可能性:黒執事26巻第133話「その執事、没了」より引用 これは、兄シエルにとって
ファントムハイヴ伯爵は「なりたいもの」ではなく「なるしかない」強制のものであるように感じます。しかも、これは伯爵になることと、弟と一緒にいるということを天秤にかけた際のセリフです。
兄シエルにとって伯爵になることは
坊っちゃんと側にいたいことと比べたら取るに足らないことであるという内面を表す重要な伏線である可能性がとても高いです。
ミュージックホールの勝ち負けは、坊ちゃんサイドにとっては「どうでもよかった」
ファントムファイヴを使ったミュージックホール対決では、
坊ちゃんにとってその勝ち負けはどうでもよかったことが既に明らかにされています。
「勝ち負けなどどうでもよかった」と嘲笑するセバスチャン:黒執事25巻第122話「その執事、待望」より引用 そしてこれは
現在のスフィア・ミュージックホールサイドの動機に通じる重要な伏線である可能性があります。私は、このセバスチャンの言葉がいつかそっくりそのままスフィア・ミュージックホール側の誰かから坊ちゃんたちたちに向けて投げかけられる日が来るのではないかと感じています。
もし本当にそうなったら相当な皮肉がきいていますよね
ミュージックホール対決時の双方の思惑
坊ちゃん側
・ミュージックホールの人気対決の勝ち負けはどうでもいい
・スフィアへの客の動員人数を減らし、血液の採取料を減らし失血死を多く出させ事件を公にすることが真の目的だったミュージックホール側(ブラバットのみが対応)
・ミュージックホールの人気対決の勝ち負けにもこだわっていた
・失血死が増えることを困っていた※ミュージックホール対決に乗り出してきたこと知り葬儀屋は「三年分は笑った」と言っていた為、葬儀屋と兄シエルは坊ちゃんのこの思惑を理解した上で泳がせていた可能性が高い
現在の双方の思惑
坊ちゃん側
・ファントムハイヴ家の後継者問題の解決がメイン。伯爵の座を兄シエルから取り戻し濡れ衣を払うことが目的ミュージックホール側(兄シエル&葬儀屋)
・ファントムハイヴ家の後継者問題の勝ち負けはどうでもいい
・真の目的は坊ちゃんをセバスチャンから、もしくは社会から引き離し、自らの下に囲い込むことか引用源:
【考察】真シエルと葬儀屋にとってファントムハイヴ家後継者争いの勝ち負けはどうでもいい建前である可能性/セバスチャンの台詞をそのまま返す一面が来るか? - 黒執事考察ブログ
伯爵になりたくなかった兄シエル
また、兄シエルにとってこのお家騒動がどうでも良いといえる理由はもう一つ存在します。
それは、過去に兄シエルが「伯爵になんてなりたくない」と言っている点です。
幼い頃の兄シエルにとって、
ファントムハイヴ伯爵はなりたいものではなく、なるしかないものにすぎませんでした。
坊ちゃんが将来、伯爵である自分の側にいる職(医者や牧師)を将来選ぶつもりが無くおもちゃ屋になりたいんだと言った時、兄シエルはひどく動揺します。
そして兄シエルは、
坊っちゃんと一緒にいたいが為に自分もおもちゃ屋になるんだと駄々をこねます。
それでも両親は坊っちゃんがおもちゃ屋になる夢を止めることはなく、自分が伯爵になるという将来も変えるつもりが無いことを兄シエルは察します。
そしてその事実を理解した直後、
このように、突然笑顔で納得します。
この時、兄シエルは何に対しわかったよ!と言ったのでしょうか…?
私はこここそ、兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に加担する道へのきっかけであり、決意した瞬間なのではないかなと感じています。
兄シエル
「(自分が伯爵になることは決まっている。
坊ちゃんがおもちゃ屋になる夢も両親は否定しない。このままでは僕と坊ちゃんは将来一緒にいられない。
じゃあ何とかしないとね)わかったよ!」
これが真意なのではないでしょうか。
兄シエルは自分の立場である伯爵になるという未来を納得した上で、坊ちゃんと意地でも一緒にいる未来を作ることを、この時決意した可能性があります。
そして、それはたとえどんな犠牲が起ころうともそれらを厭わないものである可能性があります。
以上が、兄シエルにとって当主の座がたいして重要な物ではないのではないかと私が感じる理由です。
この考察についての更に詳しい内容は、
下記記事で纏めてあります!よろしければよろしければ是非読んでみてください!
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兄シエルに笑顔が多いことは坊ちゃんとの明白な相違点
兄シエルの最大の特徴は笑顔であると言えるのではないでしょうか。
というのも、
坊ちゃんと兄シエルは双子であり顔のつくりは全く同じにもかかわらず醸し出す雰囲気は正反対といっても過言ではないからです。
どこが正反対かといいますと、
坊ちゃんは心から笑うようなシーンは無いのに対し、兄シエルは普段から笑顔を浮かべていることがとても多いという点です。
これは双子の相違点を表す大きな伏線である可能性があります。
サーカス編で既に張られていた坊ちゃんの「笑顔」についての伏線
坊ちゃんに「笑顔」が少ないことは、サーカス編で大きく取り上げられていました。
サーカス編で敢えてスマイルとあだ名を付けられたことも印象的です。
これは、兄シエルとの対比として、
坊ちゃんにはそれだけ笑顔が少ないということを意味した伏線であった可能性があります。
兄シエルの笑顔は、ビザールドールとしての正体に関わる伏線か
これを踏まえたうえで疑問に思うのは、
何故兄シエルには笑顔が多いのか?という点です。
兄シエルに笑顔の描写が多いことは、以下を意味する伏線である可能性があります。
・兄シエルが今までのビザールドールと異なり、坊ちゃんと二人で描く「未来への願望」で満ち溢れていること
・兄シエルの坊ちゃんへの異常な愛を示す象徴
何故兄シエルは笑っているのか?
兄シエルが坊ちゃんと比べ自発的笑顔が多いキャラクターであることはわかりました。
では何故兄シエルは笑顔が多いのでしょうか?結論から言いますと、
・兄シエルはビザールドールの質を左右する「未来への願望」にあふれていること
・兄シエルの「未来への願望」は、「坊ちゃんと共にいる未来」であり、坊ちゃんへの執着が異常であることこの二つが根底の理由としてある可能性があります。
ビザールドールの質は「未来への願望」に左右される
葬儀屋(アンダーテイカー)曰く、
ビザールドールの質は「未来への願望」に左右されることが明らかにされています。ビザールドールの質は「未来への願望」に左右される:黒執事18巻第84話「その執事、想像」より引用 そして兄シエルは
葬儀屋にとってビザールドールとしての最高傑作であることから、この「未来への願望」に満ち溢れた肉体であった可能性が非常に高いです。
兄シエルは葬儀屋の「最高傑作」Gファンタジー2018年7月号黒執事
第141話「その執事、推量」より引用
兄シエルの貪欲な「未来への願望」こそ、「坊ちゃん」そのものか?
では兄シエルが葬儀屋の「最高傑作」となれるほど強く抱く「未来への願望」とは具体的に何なのでしょうか?
結論から言うと、
坊ちゃんと自分が二人で歩く未来と、坊ちゃんへの異常な執着。この二つが兄シエルを支える原動力となっている可能性があります。このように考える理由として挙げられるシーンがあります。
それがこちらです。
獄中にも関わらず笑顔で未来への希望を語る真シエル(右):黒執事27巻第135話「その執事、献上」より引用 一見普通に見えますが、このシーンも時系列を考えるとこの兄シエルの笑顔と発言は非常に違和感が残る異常なものであることが分かります。
この時の双子の状況はこうです。
・両親が殺され、死体を目の当たりにした直後
・一族は、使用人もろとも皆殺しにされた
・自分たちは今現在、何者かにつかまっていて辱めを受けている。生きて帰れるかは分からない状況特に強調したいことは両親が死んでいることです。
実際このコマの直前にも、
坊ちゃんが真シエルに対し「シエルもお父様たちの遺体を見たの?」と問いかけ「うん」と答えるシーンがありました。
また捕まっている際、兄シエルは坊ちゃんに対して「ごめんね」と言いながら泣くシーンはあるものの、坊ちゃんの様に両親を思い出して泣くシーンが一切ありませんでした。幼い子供が両親を同時に失う、ましてや殺される悲しみは尋常ではないはずです。
それにもかかわらず兄シエルは
坊ちゃんと自分二人だけで人生をやり直すという未来に思いをはせ笑顔を浮かべています。普通はもう少し両親が生きていたらという未来を考えてしまい、悲しみがあふれてしまうものではないでしょうか?
実際坊ちゃんは両親の死を悲しみ、このコマの中でも笑顔の兄シエルとは違い涙を浮かべています。
私はどうしてもこの兄シエルの笑顔が違和感に感じてなりません。
兄シエルの坊ちゃんへの執着
兄シエルは、坊ちゃんへ異常で歪んだ執着を持っていた可能性があります。
そしてこの歪んだ愛情こそが、
ファントムハイヴ家襲撃事件発生の一端を担っていた可能性があります。
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※ちなみに、黒執事BlackLabelで抽選があった枢先生の直筆サイン入り色紙ですが、その中で葬儀屋の色紙に3頭身真シエルが描かれていました。その際の真シエルが、3頭身であるのも関わらず坊ちゃんとは明らかに表情が異なって描かれていました。
具体的には、兄シエルは妙に達観したような優しい笑顔でした。
こんな小さなところでも
兄シエルの表情として笑顔が強調されていました。
坊ちゃんとは異なる、ちょっと不気味な優しすぎる笑顔と言いますか‥‥伝わるでしょうか?
この色紙だけでも、双子の表情が明確に描き分けられていることがわかります。
兄シエル(笑顔)
坊ちゃん(笑顔では無い)
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兄シエルはファントムハイヴ家襲撃事件に加担した可能性
さて、このように兄シエルに対しては様々な怪しい影が見えます。
その中でも最も大きなものが、
兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に関わっていた可能性があるという点です
ただ併せてお伝えしたい点は、
兄シエルは事件に加担していた可能性はありますが、主犯である可能性は低いという点です。
そう考える理由は、兄シエルもまた最終的には、坊ちゃんと共に捕まり、結果命を落とすことになったからです。
これはたとえ兄シエルが事件に加担していたとしても、完全に想定外の出来事であったはずです。
主犯ではないものの、
それでも兄シエルは複数いるはずのファントムハイヴ家襲撃事件の実行犯もしくは黒幕に対し、家の内側から何らかの手引きをしていた可能性がとても高いのではないかと私は感じています。
次に、兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に関わっている可能性があると疑わしい個所をいつくか挙げていきたいと思います。
双子の異なる表情
兄シエルのファントムハイヴ家襲撃事件への加担疑惑として、双子の表情の差を挙げることが出来ます。
それはファントムハイヴ家襲撃事件がまさに始まったその時のシーンに存在します。
約束の時間を過ぎても一向に部屋に表れないタナカに不安を感じ、坊ちゃんが「どうして誰も来ないの?」と言ったこのシーンがありました。
ここで坊ちゃんは不安そうな顔をしているにも関わらず、兄シエルは不安そうな表情をしていません。
これはあくまで受け取ったイメージですが、兄シエルは「ついに始まったか」と覚悟を決めたような、そんな表情にも見えます。
またこの時坊ちゃんは兄シエルの顔を見ていない為、兄シエルのこの表情は嘘を付いていない表情である可能性が高いです。
つまり、この双子の表情の差があらわすものがあるとすれば、
・兄シエルは坊っちゃんと違い、タナカが迎えに来ない理由を知っていた
・すなわち、襲撃事件が計画通りに始まったことを察した
・何が起こったか知っていたからこそ、兄シエルは不安では無かった
上記の差が、双子の異なる表情として描かれた可能性があります。
ミニ伏線:兄シエルは本当に寝ていたのか?
これは小さな疑惑ですが、
ファントムハイヴ家襲撃事件が始まる前、坊ちゃん達双子は昼寝をしていました。
この時、兄シエルが本当に眠っていたのかも正直疑惑が残ります。
まず、このシーンですが坊ちゃんは「ハッ」と目を覚ますシーンがあるので眠っていたのは確定なのですが、兄シエルの顔が描かれていません。
むしろ意味深に見切れているようにも見えます。
私には、兄シエルが後々坊ちゃんに怪しまれない為のアリバイ作りをしているように見えます。
理由としては、最初の1コマ目では兄シエルも確かに目を閉じているからです。
そして坊ちゃんが目を覚ました時も先ほどの絵の通り坊ちゃんの隣にいるため、坊ちゃんが眠っている間、兄シエルもずっと眠っていたかのように描かれています。
また、その次のコマなのですが、坊ちゃんは明らかに寝起きの様子ですが兄シエルは存外けろっとしています。
もし今日襲撃事件が起こることを知っていた場合、兄シエルがのんきに昼寝をするとはあまり思えません。
この時、兄シエルは果たして本当に寝ていたのでしょうか?
見切れた兄シエルの表情は、目を閉じていたのではなく目を開いていたのかもしれません。
ミニ伏線:襲撃事件当日に夜更かしをしていた兄シエル
また兄シエルについてですが、
襲撃事件の前夜夜更かしをしていたことが明らかとなっています。
坊ちゃんが兄シエルに対しこのように言っています。
「本読んでて夜更かしするからだぞ。」
これもとても意味深に感じます。
仮にもし兄シエルが本当に襲撃事件に加担していた場合、兄シエルはただ本を読んでいたわけではなく何か別の理由で夜更かしをしていたのかもしれません。
襲撃事件中、アリバイが無い真シエル
さて、表情の次は兄シエルの具体的な行動面の疑惑です。
まず、襲撃事件中双子は別行動をしていたため、兄シエルにはアリバイがありません。
この時点で相当怪しいですね。
普通異常な状態を察知して、兄弟離れることがあるでしょうか?(ましてや弟想いの過保護すぎるであろう兄シエルが…)
兄シエルは
「この現状を確認するのは長男である僕の役目だ」とそれらしいことを言っていますが、違和感が残ります。
坊ちゃんを置いていった兄シエルは敵が複数人いたであろう屋敷の中、どこで何をしていたのでしょうか???
タナカさんを刺したのは兄シエルか?
上記の疑問の答えとしての予想が、
兄シエルはファントムハイヴ家と敵対し、タナカさんと交戦した結果、タナカさんを刺したのではないかという点につながってきます。
兄シエルとファントムハイヴ家襲撃事件について考察する際に非常に重要になってくるのが、あの日のタナカさんの在り方です。
タナカさんの行動の理由を考えていくと、兄シエルに紐づいていくように感じられるシーンがいくつも存在することが分かります。
過去記事を引用させて頂きます。
タナカ
「来てはいけません!お逃げ下さい!シエル様は‥‥貴方様には酷すぎ…っ!」敵と交戦中のタナカさんに近寄ろうと駆け寄ってきた坊ちゃんに向けて、タナカさんはこのように言いました。
これはファントムハイヴ家襲撃事件の真っ最中に発せられたセリフです。 坊っちゃんに助けを求められるも後ろから何者かに刺されるタナカさん:黒執事4巻第19話「その執事、異能」より引用 このセリフは非常に謎が深く、
個人的にも黒執事の中で最も謎深く、そして重要なセリフ三本指に入るのではないかと思っています。またこのセリフを紐解くと、最終的には
兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に関わっていたかもしれないという疑惑が浮上する非常に重要な伏線となっているのではないかと私は感じています。順番に説明していきたいと思います。
疑問点:何故タナカさんは走ってきた双子が坊ちゃんであると分かったのか?
まず第一の疑問として、タナカさんは何故この時、駆け寄ってきた坊ちゃんを坊ちゃんだと認識できたのかという点を挙げることが出来ます。双子は見た目では見分けがつきません。
それにも関わらず、
タナカさんはこの緊急事態の中で走ってきた子供が双子のうちの坊ちゃんであるとすぐに判断することができました。結論から申し上げますと、
私はこの時タナカさんが戦っていた相手こそ兄シエルだったからではないかと考えています。そう考える具体的な根拠を説明していきたいと思います。
「シエル様」を「貴方様」に言い返すと解釈すると、「意味が無いセリフ」になってしまう点
このタナカさんのセリフは、
最も分かりやすい形のミスリードなのではないかと私は感じています。タナカ
「来てはいけません!お逃げ下さい!シエル様は‥‥貴方様には酷すぎ…っ!」当時、私たち読者は坊っちゃんをシエルだと思っており、本物の兄シエルが存在することを知りませんでした。
なので、このセリフは必然的にタナカさんがシエル様という呼び方を貴方様に単に言い替えたんだなと解釈するのが普通だったのではないでしょうか。
私も始めそう思っていました。
ですが、これを単にシエル様を貴方様に言い換えたと考えると、このセリフは意味が無いものになってしまうことが分かります。
具体的に説明していきます。
「貴方」は、「人称代名詞」
貴方は、人称代名詞です。
代名詞とは名前を使わずにそれを表す言葉で、名前で個人を指すより広い意味を持ちます。つまり誰か特定の人物を指すときは
固有名詞よりも人称代名詞の方が弱いことが分かります。「シエル様」は、「固有名詞」
シエル様は、固有名詞です。
固有名詞とは、ある固有の人物を特定して指す呼び方です。つまり誰か特定の人物を指すときは
人称代名詞よりも固有名詞の方が強いことが分かります。固有名詞より、人称代名詞の方が示す範囲が広い
上記を踏まえたうえで考えていきます。
今回の考察の中で一番重要なのは、私はこの固有名詞と代名詞の指す範囲の広さ、個人特定力の強さなのではないかと考えています。先ほども言及した通り、力関係としては
人称代名詞<固有名詞
となります。
タナカさんのセリフに置き換えてみると、力関係はこのようになります。人称代名詞(貴方様)<固有名詞(シエル様)
おわかりいただけますでしょうか?
この力関係は、タナカさんの言い換えと完全に逆なのです。分かりやすく言えば、
もしこれが本当に「シエル様」=「貴方様」だった場合、
タナカさんは個人を特定する「シエル様」というワードを言った後に、なぜかわざわざ名前よりも広範囲を指すはずの「貴方様」という人称代名詞に言い換えたことになります。
これは非常に違和感が残ります。言う順番が下記の様に逆の場合は、まだまあ可能性があります。
タナカ
「来てはいけません!お逃げ下さい!貴方様は‥‥シエル様には酷すぎ…っ!」この場合助詞の文法問題はさておき(※後で説明します)、固有名詞と人称代名詞という観点からのみ見れば、貴方様という人称代名詞から、更に狭い範囲を指すシエル様という固有名詞に言い換えたととらえられるため、このタナカさんのセリフは初めて意味があるセリフとなることが分かります。
ですが実際のタナカさんは作品の中で、「シエル様」を、敢えて「貴方様」と言い換えているためこの文法的考えが成り立ちません。
しかもこのセリフを発した時、タナカさんはひどく緊迫した状態に置かれていました。
そんな文字通り危機迫る中で、坊ちゃんに伝える時間は非常に限られています。そんな貴重な時間の中で、ただ「シエル様」をわざわざ「貴方様」に言い換えるのはどうも腑に落ちないなと私は感じます。
以上のことから、
このタナカさんのセリフは「シエル様」を「貴方様」と言い換えたわけではなく、「貴方様(坊ちゃん)」と「シエル様」は別の人物を指しての発言であったと考えることが出来ます。タナカさんのセリフ/重要なのは「助詞」のほう
また更にダメ押しで言いますと、
もし仮に、実はタナカさんのセリフにそこまで深く意味がなく、本当に単なる言いかえであったと考えると、この固有名詞と人称代名詞の他に加え助詞にも問題が出てしまうことが分かります。※細かくて分かりにくいので色を付けました。色が違う部分が考察するうえで特に重要な部分なので注意して読んでみてください
タナカ
「シエル様は‥‥貴方様には酷すぎ…っ!」
↑ここです。 坊っちゃんに助けを求められるも後ろから何者かに刺されるタナカ:黒執事4巻第19話「その執事、異能」より引用 言い換えるだけならば
タナカ
「シエル様には‥‥貴方様には酷すぎ…っ!」となるはずです。
それなのに、何故タナカさんは敢えて
タナカ
「シエル様は‥‥貴方様には酷すぎ…っ!」と言ったのでしょうか?
やはり、ただ言い換えただけ、と考えるとこのようにいくつかの疑問点が残ってしまうことが分かります。タナカさんのセリフの真意は?
ではタナカさんのセリフがただの言いかえではなかった場合、真意は何なのでしょうか?
結論から申し上げますと、タナカさんがあの時坊ちゃんに伝えたかった真意はこのような内容だったのではないかなと感じています。
実際のセリフに、タナカさんが伝えたかったけれど伝えられなかったであろう気持ちを()で埋め込んでみました。
タナカさん
「こちらに来てはいけません!(自分が今交戦中の相手を坊っちゃんに見せたくないから)(だから坊っちゃんは)お逃げください!シエル様は…(今、敵として私と戦っています。襲撃事件を手引したのはシエル様でした。そしてその事実は)貴方様には酷すぎ‥!」【黒執事考察】
— 餅月@コミケ12日(月曜) (@mochimochimoon3) August 7, 2019
タナカさん「こちらに来てはいけません!(自分が今交戦中の相手を坊っちゃんに見せたくないから)(だから坊っちゃんは)お逃げください!シエル様は…(今、敵として私と戦っています。襲撃事件を手引したのはシエル様でした。そしてその事実は)貴方様には酷すぎ‥!」上記のように考える理由を説明していきます。
坊ちゃん&読者からはタナカさんがこの時交戦している相手が見えていませんでした。
そしてタナカさんは
「こちらに来るな、この現実は貴方には残酷すぎる」と言います。
坊ちゃんはタナカさんと会うまでに屋敷の中で凄惨な死体の山を見ていました。
タナカさんもその現状はわかるはずです。となると、タナカさんが言いたかったことは、
タナカが対戦している相手を見ることが、坊ちゃんにとって残酷すぎるということを表していたとしたら一番しっくりくるかなと感じました。
また、この時坊ちゃんは
兄シエルと別行動をしており兄シエルがどこにいるかは不明です。
兄シエルも実はかなり怪しいキャラクターで、
現在当ブログではファントムハイヴ家襲撃事件にも関わり、黒幕に利用されたキャラクターなのではないかと考察しています。このことから、
タナカが戦っていた相手(襲撃事件の犯人)は兄シエルであり、
ファントムハイヴ家を滅ぼす要因の一つとなったのが兄シエルである可能性は十分に考えられると思います。タナカを刺したのは兄シエルか?
もし上記が当たっていた場合、タナカさんを背後から刺した相手は兄シエルとなります。
だとしたらタナカさんとても切ないです…(;O;)
実際戦っている際、
タナカさんは自ら進んで責めているというよりは敵の攻撃を受けているだけのようにも見えます。あれだけ剣の手練れであるタナカさんが自ら攻撃もしないうちに敵に剣を弾き飛ばされるのはやはり違和感が残ります。
そして兄シエルは、
フランシスによって度々剣の稽古を受けている様子が描かれていました。これが伏線である可能性があります。
兄シエルが敵対し、
自らに対し剣を振るってきたタナカは攻撃することが出来ず受け流すだけしかできなかったのかもしれません。目の前の敵が兄シエルだと分かっていたとすれば、反対側から駆け寄ってきた双子が坊ちゃんであると気づくこともすぐにできますよね
また、タナカさんが刺された際
その位置が少し低いこともこのように考える理由として挙げることが出来ます。タナカさんの嘘
犯人と顔を合わせ戦ったにも関わらず、坊ちゃんに「犯人を見ていない」と嘘を付くのはなぜか
タナカさんは敵と交戦したことから、
犯人を見ていないというセリフは明らかに嘘であると断言できます。これはタナカさんが坊ちゃんを想い、 犯人は知らないと答えるタナカ:黒執事13巻第62話「その執事、成長」より引用
兄シエルが犯人の中に混ざっていたという事実を隠そうとした可能性があります。以上のことから、私はやはりこの「犯人を見ていない」というタナカさんのセリフはミスリードなのではないかと感じました。
また、もしそれがあたっていた場合、兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に加担していたことが確定となります。
現在、兄シエルの執事をしているタナカさんに笑顔が全く見られないことも、これらが影響している可能性は十分にあると感じています。
www.under-taker.comタナカさんは誰よりもより深く、
このファントムハイヴ家襲撃事件の真相にたどりついてしまっているのかもしれません
引用源:
【考察】タナカ「シエル様は…貴方様には酷すぎ…!」のセリフの真意を考察/このセリフは、ファントムハイヴ家襲撃事件に真シエルが関わっていることを示す重要な伏線である可能性 - 黒執事考察ブログ
上記のタナカさんの態度、行動から、
タナカさんが坊ちゃんに対し犯人を庇おうとする理由は、兄シエルが犯人側に加担していたという残酷な理由を教えたくなかったからである可能性は非常に高いのではと感じています。
犬のセバスチャンに口輪を付けたのは真シエルか?
またこれは小さなシーンですが、
ファントムハイヴ家襲撃事件の際、犬のセバスチャンは口輪(マズルガード)を付けられ閉じ込められていました。
・誰が口輪を付けたのか
・口輪をわざわざ持ってきたのか?それとも口輪のしまわれている位置を知っていたのか
・使用人まで皆殺しなのに、何故番犬のセバスチャンが殺されること無く、敢えて口輪をされていたのか
上記が違和感として残ります。
ファントムハイヴ家が犬を飼っていることを知っていて、わざわざ犯人が対策として口輪を用意してきた可能性もあります。
ただそれにしては用意周到ですし、そもそも恐らく猟犬である犬のセバスチャンが簡単に見ず知らずの他人に口輪をはめさせるのかという点も疑問として残ります。
また何故口輪をしてまで番犬を生かそうとしたのか?という犯人に対する疑問も生じます。
使用人まで皆殺しなのに、犬だけあえて口輪をしてまで殺さないという姿勢には違和感を感じました。
セバスチャンに口輪をはめた人物は、使用人たちを殺した人物とは別人であり、口輪をして部屋に閉じ込めた理由は、情のようなものを感じました。
やはりこの情の部分を踏まえると、あの状況下の中で敢えて番犬に口輪を付けるという行動はファントムハイヴ家の身内によるものではないかと感じます。
そしてもし仮に口輪を付けたのが兄シエルだった場合、犬のセバスチャンに情をかけた理由は、セバスチャンは犬の為、シエルが犯人だと知っていても口を利くことが出来ないから生かしておいてもいいと考えた可能性があります。
【黒執事考察】
— 餅月 (@mochimochimoon3) 2020年4月14日
ファントムハイヴ家襲撃事件の時、犬のセバスチャンに誰が口輪をつけたか。あの状況下で番犬に口輪を着けてまで生かす姿勢には情を感じる。もし兄シエルだった場合、情をかけた理由が「セバスチャンが生き残った所で犬であり、自分が犯人と知られていても問題ないから」だったら怖い
これらを踏まえ
一番しっくりくるかなと思う考え方は以下の通りです。
・セバスチャンは顔見知り(兄シエル?)に口輪を付けられ閉じ込められた
・兄シエルは自分の家であるため、口輪がどこにあるかを知っていた
・使用人や両親は皆殺しだが、番犬のセバスチャンまで殺すのはかわいそう(また犬が生きていたところで自分の悪事はバレない為)殺す必要はないと思い部屋に隠した
坊ちゃんと契約後、すぐにファントムハイヴ家襲撃事件の犯人を殺しに行こうとするセバスチャン
セバスチャンは、坊ちゃんと契約した際復讐するまで坊ちゃんを守り抜くという契約を結びました。
そしてセバスチャンはこの時「真犯人への復讐」をすぐに実行しようとしました。
何故セバスチャンは、迷いもなくすぐ真犯人を殺しに行こうとすることが出来たのでしょうか?
これは大きな疑問です。
単純に考えれば、この時点でセバスチャンはファントムハイヴ家襲撃事件の真犯人をすでに知っていたからと考えることが一番無難です。
ですがセバスチャンは兄シエルの魂という対価を払って人間界に来たばかり。調べる余裕はありませんでした。(それとも、これから自分が調べればすぐに犯人を見つけられるという確固たる自信があったのかもしれません。)
ですが、セバスチャンはこの時点ですでに双子のうち亡くなったのが兄であるということを知っていました。
このことから、セバスチャンは双子の兄弟の関係も含めた情報を渡り賃として食べた兄シエルの魂から知った情報である可能性があるのではないかと感じました。
となると、ここで真犯人を殺すために即座に動けたのは
兄シエルの魂の中に真犯人の情報があったからではないでしょうか。
兄シエルをそそのかした人物こそが「黒執事」の黒幕か
ファントムハイヴ家襲撃事件真犯人について
さて、ここまで考察してきて、兄シエルへの疑惑と同時に兄シエルが真の黒幕ではない可能性があることまでは説明をさせて頂きました。
次に疑問となるのは、
ファントムハイヴ家襲撃事件の真犯人って結局誰なの?という点です。
これは、いうなれば黒執事の黒幕ともいえるのではないでしょうか。
私はこの真犯人は死神派遣協会とヴィクトリア女王だと感じています。
これについては兄シエルの疑惑とは完全に別の考察となりますので、今回は説明を省略させて頂きます。
黒執事の真の黒幕については下記記事で考察していますので、まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください!
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坊っちゃんに謝る兄シエルの真意
兄シエルは襲撃事件後何者かにつかまり坊ちゃんと共に売り飛ばされてしまいます。
檻の中で坊ちゃんと再会した際、兄シエルは坊っちゃんに対しこのように言います。
シエル
「情けないな…長男失格だ。僕にもっと力があれば……誰にも負けない力があれば… ッ!ごめんね、ごめんね、ごめんね…っ」
黒執事第135話「その執事、献上」より引用
一見普通のセリフに聞こえますが、これはよくよく考えると違和感が残ります。
そもそも兄シエルは本来、坊ちゃんと同様完全に被害者であるはずです。
確かに長男としての不甲斐なさを思う気持ちも分からなくはないのですが、それにしては責任を背負いすぎているようなセリフに感じます。
もし本当に自分に非が無ければ、このようなセリフは出てこなかったのではないでしょうか。
また、第一声で坊ちゃんの無事を喜ばなかった点も疑問に感じます。
普通両親もろとも家族が殺されたと思っていたにも関わらず兄弟が生きていたのを知った場合、坊ちゃんの様に真っ先に「無事でよかった!」というセリフが出るはずです。
それにも関わらず兄シエルは坊っちゃんの無事についてではなく、長男としての自分の不甲斐なさを呟きます。
あれだけ弟想いの兄シエルが、何故坊ちゃんの無事を喜ばなかったのでしょうか。
それは兄シエルが、襲撃犯は坊っちゃんを殺さないと知っていたからである可能性があります。
そもそも兄シエルが本当に襲撃事件に関わっていた場合、その動機はひとえに自分がずっと坊ちゃんと一緒にいたいが為であった可能性が高いです。
となると兄シエルは襲撃犯に対し、自分が手を貸す代わりに坊ちゃんの身の安全の保障を約束させていた可能性があります。
兄シエルの計画では、本来は、二人だけで生き残り家督を継ぎ幸せに一緒に暮らす予定だったのではないでしょうか。
ですが結果的に、兄シエルは恐らくファントムハイヴ家襲撃事件で手を組んだと思っていた真の黒幕に裏切られ、坊ちゃんと共に売られてしまいました。
これは兄シエルにとって想定外だったのだと思います。
だからこそ兄シエルは坊ちゃんと再会した際、坊ちゃんの無事についてよりもまず先に、自分が結局真犯人に利用されてしまったことを悔しがり坊ちゃんに懺悔したのではないでしょうか。
檻に閉じ込められた双子の異なる表情
またこれらに加え、檻に閉じ込められる際も、
坊ちゃんは不安そうな顔をしているのに対し、兄シエルの表情は暗く何か思い詰めているようで非常に意味深です。
私は、この表情が被害者として両親と家を失ったことへの悲しみや不安から来たものであるとはどうも思えません。
それよりは、手を組んだと思っていた主犯に結局は嵌められたこと。そして自分がしくじったことで計画が倒れ、一番守りたかった坊ちゃんまでもを危険に及ぼし、己の子供としての未熟さを思い知った顔のように見えてなりません…。
これこそが、私が兄シエルがファントムハイブ家襲撃事件に加担はしたものの、主犯の黒幕ではなくあくまで利用されたのではないかと考える理由です。
これらの意味がある可能性を踏まえ、もう一度兄シエルのセリフを見てみます。
シエル
「情けないな…長男失格だ。僕にもっと力があれば……誰にも負けない力があれば… ッ!ごめんね、ごめんね、ごめんね…っ」
黒執事第135話「その執事、献上」より引用
特に違和感があるのが、
ごめんねと言うセリフです。
そもそも兄シエルは普段はあまり謝るようなキャラクターではありません。
仮に兄シエルが完全に被害者だったとして、ほんとうにただただ長男としての自分の力不足を嘆いただけの可能性ももちろんあります。
ですが、それは建前上だった、という可能性も十分に考えられます。
このごめんねには、実際はもっと重く深い意味があるように思えてなりません。
セリフの真意を考察
「情けないな…自分で計画しておきながら結局真犯人にいいように使われただけなんて、僕は長男失格だ。僕にもっと力があれば…真犯人に負けない力があれば…ッ!うまく使われることもなく、無事に計画を実行して君(坊っちゃん)
と二人でずっと幸せに暮らせたのに‥‥!ごめんね、ごめんね、ごめんね‥‥っ!」
…本当はこういう意味だったのではないでしょうか
だとしたら本当に恐ろしいです。
ですが、私が最も恐ろしいと感じる点はこれだけではありません。
この兄シエルの「ごめんね」には、両親を死に追いやったことへの謝罪は含まれていないのではないかとどうしても感じてしまう点が、私が兄にシエルを恐ろしいと感じてしまう点です。
兄シエルがごめんねと言っているのはあくまで自分が事件の黒幕に結果的に利用されてしまい、坊ちゃんを危険に晒してしまったことへにのみであり、その結果両親が死んだことや、家が滅んだことについては全く後悔をしていないのではないかと私は考えています。
つまり、兄シエルは自分の不甲斐なさは後悔したものの、坊ちゃんとずっと一緒にいるという未来を夢見てこの事件に加担したということについては全く反省や後悔をしていない可能性が高いです。
それが垣間見えるシーンが、これです。
両親の死を顧みず笑顔をみせる兄シエル
これは、襲撃事件直後です。
二人は両親どころか家、使用人まで抹殺され、檻に囚われ、明日も分からない状態です。
坊ちゃんは不安がっていますが、兄シエルは二人の未来を思い描き、笑顔を浮かべています。
この状況、タイミングで笑顔が出ることはかなり異常であることが分かります。
(このような状況でも二人での未来を描けるほど兄シエルの「未来への願望」が強かったことが、ビザールドールの質に影響したのかもしれませんね)
またこのシーンの直前で、坊ちゃんが真シエルに「シエルもお父様たちが亡くなっているのを見たの?」と言いますが、シエルは「うん」というだけでそれ以上何も言わないまま、二人の未来を夢見た発言を続けます。
まるで亡くなった両親のことを顧みていません。
悲しんでいる様子もありません。
兄シエルは坊っちゃんしか見ていないことがよく分かるシーンであると私は感じました。
兄シエルは当主の指輪をいつ持ってきたのか
これは問題提起です。
後々このシーンは何かしらの形で描かれるのではないかと感じています。
兄シエルがどのタイミングでヴィンセントの指から当主の指輪を抜き取ったのかは非常に興味深いです。
両親の遺体をみた場合、
普通は坊っちゃんの様にパニックになると思いますが兄シエルはどうだったのでしょうか?
そんな中で冷静に指輪を手に入れた兄シエルは非常に不気味です。
※2023年5月14日追記
ファントムハイヴ家襲撃事件当日の兄シエルとヴィンセントについてですが、
もしかするとヴィンセントの死に顔がその当時を物語っている可能性があります。
以下、記事を引用させて頂きます。
またこちらはちょっとだけ余談になりますが、
ヴィンセント・ファントムハイヴが殺された時、兄シエルとヴィンセントがどのような形で屋敷の中で顔を合わせたのかはまだ明らかにされていません。
現段階で明らかになっている事は、兄シエルが父ヴィンセント・ファントムハイヴの指から当主の指輪を持ち出したという事実のみです。兄シエルが襲撃事件のさなか、父の指についていたはずの当主の指輪を外してきたことを知った際、
坊ちゃんはヴィンセントの遺体を思い出しながら「シエルも見たの?」と聞きました。
それに対し兄シエルが「うん」と答えた事から、読者および坊ちゃんは、兄シエルもまた坊ちゃんと同様ヴィンセントの遺体を見てしまい、その指から指輪を抜き取ったと思いがちです。しかしここで重要なのは、兄シエルがヴィンセントの指から指輪を抜いたとき、ヴィンセントが既に死んでいたかどうかについてはまだ一切断定がされていないという事です。
兄シエルが指輪を抜いた時、ヴィンセントは生きていたのか?:黒執事27巻第135話「その執事、献上」より引用 黒執事のミスリードは、よく目的語が抜けた形で貼られると以前より当ブログでは言及していますが、
このシーンの坊ちゃんの発言も同様です。「シエルも(遺体を←割愛された目的語)見たの?」
この「遺体を」という目的語が割愛されてしまっている以上、兄シエルが何を見たのかが断定されていないことになります。兄シエルが指輪を持っている以上、ヴィンセントを見た事だけは恐らく間違いが無いと思うのですが、その時のヴィンセントが坊ちゃんが見た時同様既に死亡していたのか、それともまだ息があったのかは全く分かりません。
これはあくまで考察というよりは予想なのですが、
このように目的語を端折られている場合黒執事では思い込みによるミスリードを誘う事が非常に多い印象があります。
その為、もしかするとヴィンセントは兄シエルと対面した時にまだ息があった可能性もあるのかもしれない…と、何となく感じずにはいられません。その根拠としてもう一つ、と言っては何ですが、
ヴィンセントの死に顔は苦痛に歪む訳でもなく安らかな訳でもなく、まるで何か予想できないものを見て驚き絶望しているような、そんな印象を受けるような非常にショッキングな表情をしていました。
ヴィンセントの死に顔:黒執事27巻第134話「その執事、嘆傷」より引用 生前のヴィンセントは常に柔らかい笑顔を絶やさない人物であり、友人であるディーデリヒにも「お前が誰かに殺されるタマか?」と言われる程でした。
そんなヴィンセントの死に顔がこのような感情的なものになるのは彼らしくなく、よほど予想できない何かが起こった可能性があります。これは本当に妄想レベルですが、
もしかするとヴィンセントは兄シエルが指輪を抜きに来たまだ息があったのかもしれません。
何らかの会話をして、もし自分が実の子である長男シエルの裏切りに遭った事を知ったが故の表情だったとしたら‥‥。
何となく、あのヴィンセントがこんな表情で亡くなった理由として、腑に落ちてしまうような気がしてしまうんです。
余談:ヴィンセントは自殺か?
惨殺死体と書きましたが、
ヴィンセントは他殺とはまだ確定していません。
まだ根拠のない予想考察段階ではありますが、
ヴィンセントは自殺し死神になっている可能性もゼロではないと感じています。
詳しくは下記記事をご覧ください
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疑問点
葬儀屋は何故兄シエルを助けたのか?
上記の考察がもし仮に正しかった場合、最後に疑問として残るのが、何故葬儀屋(アンダーテイカー)が兄シエルを助けたのかという点です。
もし本当に兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に関わっていたとして、かつ葬儀屋がヴィンセントの父であった場合。
葬儀屋は孫である兄シエルに、自分の子供であるヴィンセントを殺されたことになります。
愛するクローディアの忘れ形見、しかもどちらかというと父親である自分よりも母親であるクローディアに似ていたであろうヴィンセントの可愛さは、それこそ写真を見ただけで涙が流れてしまうほどひとしおだったのではないでしょうか。
そんな息子が自分の孫に間接的に殺されたとしたら...葬儀屋の気持ちは想像もつかない程苦痛に見舞われた可能性が高いです。
しかし今の葬儀屋の態度には、真シエルを恨むような様子は一切見られません。
まだこれは根拠はありませんが、
私は、葬儀屋がすぐには切り替えられなかったものの、最終的にはたとえ自分の息子を殺した一因を作ってしまったとしても、自分の可愛い孫であることには変わらない真シエルを憎み切ることは出来ず、また愛しさを捨てることも葬儀屋は出来なかったのではないかと感じています。
もはやアガペーです
アガペー(ギリシア語: αγάπη[1])
キリスト教における神学概念で、神の人間に対する「愛」を表す。神は無限の愛(アガペー)において人間を愛しているのであり、神が人間を愛することで、神は何かの利益を得る訳ではないので、「無償の愛」とされる。また、それは不変の愛なので、旧約聖書には、神の「不朽の愛」として出てくる。
引用源:
アガペー - Wikipedia
でももしかすると、葬儀屋は兄シエルの苦しさまで理解したのかもしれません。
兄シエルは結果的に利用されてしまったという点。そして兄シエルが凶行に及んだ理由は偏に弟への愛情だったという点を汲み取ったのかもしれません。
もしこれがその通りだったとしたら、葬儀屋さんは今までにどれほどの葛藤を一人で乗り越えてきたのでしょうか?
それこそ常に笑いを求め続けていないと、すぐにでも泣き出してしまうほどの深い深い悲しみを今もなお一人で抱え続けているのかもしれません。
ここまでくると葬儀屋が兄シエルに、自分自身とファントムハイヴとの血縁を話しているのかも気になります。
セバスチャンが「なぜそこまでして葬儀屋が真シエルを蘇生したのか」と尋ねた際、兄シエル自身が「お前には関係のない話だ」と少々意味深な言い方をしているので、葬儀屋はもしかすると兄シエルには真実を話したのかもしれませんね。
まとめ
さて、今回は兄シエルについてをメインに考察をしてきました。
今まで兄シエルがファントムハイヴ家襲撃事件に関わっているのではないかという考察はしてきてはいましたが、それに特化した記事を挙げたことが無かったので纏めてみたのですがいかがだったでしょうか?
兄シエルのキャラクター性は、
今後の黒執事とそして葬儀屋というキャラクターを深堀りしていくうえで非常に重要なポジションに位置してくることは恐らく間違いが無いと思います。
黒い疑惑たっぷりの双子の兄、シエル。
今後の彼の行動も固唾を飲んで見守っていきたいと思います。
最後に、今回まとめきれなかった兄シエルに関する過去記事を貼っておきます。
シリウス様についての考察など、ファントムハイヴ家襲撃事件に直接は関係ないものの重要だと思われる伏線がまだまだたくさん存在します!
よろしければこちらも併せて読んでみてください!
兄シエルのキャラクター性まとめ
・兄シエルの正体はスフィア・ミュージックホールの青き一等星シリウス様である。
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・「シリウス様」とは、兄シエルのことだけでなく坊ちゃんのことも指している可能性が高い
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・兄シエルの坊ちゃんへの愛情は異常なほど深く、歪んでいる可能性がある。
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・兄シエルには二面性がある可能性が高い。
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・現在の双子の喧嘩で、不利なのは兄シエルの方か。坊ちゃん達は兄シエルを殺す気だが、兄シエル側は坊っちゃんを殺すつもりはない可能性
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・兄シエルは誰かが坊ちゃんに触れようとすることをひどく嫌悪する。(ソーマと母親レイチェルが坊っちゃんに触れようとした際嫌悪感を見せた)
www.under-taker.com・兄シエルは坊っちゃんと一緒にいたいが為に、何らかの形でファントムハイヴ家襲撃事件に関わった可能性が高い。
・兄シエルは坊ちゃんの喘息や体が弱い理由を生みだしていた可能性がある。
・兄シエルにファントムハイヴ家襲撃事件の片棒を担がせた真の黒幕は女王と死神派遣協会である可能性
www.under-taker.com・ファントムハイヴ家襲撃事件は女王によるヴィンセントと双子への番犬としてのテストであり、ヴィンセントと兄シエルはそれに負けた可能性がある。
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・兄シエルが、血液供給が追い付かなくなった際不完全に崩れた顔を見せる時が来る可能性について
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・チェスから見る双子の関係性
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・兄シエルの登場は、青の教団編では遅すぎた可能性
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・坊ちゃんの主張が「兄の為」から「自分の為」に変わっている点
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餅月