こんにちは!餅月です。
今日は兄シエルと葬儀屋(アンダーテイカー)について考察をしていきたいと思います。
余裕綽々で坊ちゃんを追い詰める彼ら。
兄シエルと葬儀屋は常に笑顔で、まるで自分たちの計画の成功をすでに確信しているかのようにさせ見えます。
しかし、彼らは致命的なミスを犯している可能性が出てきました。
実はこれらが分かる伏線は既に緑の魔女編の中で貼られていました。
またこのミスは兄シエルと葬儀屋が知り得ることができない部分で起きています。
この小さくも悲しく、致命的なすれ違いが今後の黒執事にどんな影響を及ぼすのか。
今回はこれについて考察していきたいと思います!
青の教団編ではすでに遅すぎた
兄シエルと葬儀屋が犯した致命的なミス。
結論から申し上げますと、それは二人の登場が青の教団編では、既にもう遅すぎた可能性があるということです。
本来、二人の登場は緑の魔女編でなければいけなかった可能性があり、それに間に合わなかった時点で兄シエルと葬儀屋は初手から失敗している可能性があります。
具体的に伏線を交えて説明していきたいと思います。
【黒執事考察】
— 餅月 (@mochimochimoon3) May 21, 2020
気づいてしまった…
葬儀屋と兄シエル…そもそも来るのが遅すぎたんだ…青の教団編では遅すぎだ…
緑の魔女編で来なきゃいけなかったんだ。あの時坊ちゃん弱ってた。悪魔との契約も放棄する位。あの時だったんだ、2人が坊ちゃんの救いと成り得たのは…こんなすれ違い辛すぎる………
満を持して、青の教団編で堂々と登場した兄シエルと葬儀屋(アンダーテイカー)。
彼らは現在坊ちゃんに
スフィア・ミュージックホールの殺人容疑をなすりつけ、いとも簡単に坊ちゃんを伯爵の座から引きずり下ろしました。
兄シエルと葬儀屋の表情と態度からは
常に笑顔と余裕があり、自分たちの計画の成功をすでに確信しているような様子さえ伺うことが出来ます。
しかし現実問題を見てみれば、兄シエルは蘇生された死体であり、その体はいまだに脆く不完全なものです。
また葬儀屋(アンダーテイカー)は坊ちゃんからだけでなく、強敵である死神派遣協会からも追われているため、兄シエルたちは決して余裕を持てる立場ではないことが分かります。
兄シエルと葬儀屋をどことなく不気味にさせているのは、
彼らがこれらのリスクを理解しつつもなお、何故か余裕の自信を見せているからでしょう。
そんな余裕と自信に満ち溢れた兄シエルと葬儀屋ですが、
彼らには、1つだけ知りえなかったであろう大きな情報があります。
それは緑の魔女編の中に存在します。
緑の魔女編での伏線
今回の考察の中で重要なポイントは、
この章の中で坊ちゃんにひとつ大きな転機が訪れていたという点です。
坊ちゃんはこの章の中で一度、悪魔との契約を放棄しかけるほど精神面が弱った瞬間がありました。
弱っていた坊ちゃん
緑の魔女編の調査中、
坊ちゃんは一度この毒ガスを浴び顔が大きくただれて一時的に目が見えなくなってしまいました。そのショックからパニックになり、普段の威厳さを失い子供帰りをしてしまうシーンが存在します。
このシーンこそが、
青の教団編にも繋がる大きな伏線である可能性があります。
この時の坊ちゃんは精神的にもとても脆く、弱くなってしまっていました。
この時、坊ちゃんはしきりに亡くなってしまった兄シエルの事を思い出し、自分の中で兄シエルと対話をします。
そして、以下のような言葉をひたすら繰り返します。
・大人が怖い
・屋敷に帰りたい
・僕なんかより(兄シエルが生きていれば)
この時の坊ちゃんは、
坊ちゃん本来の非常にデリケートな一面があらわになっていると感じます。
つまりこれが、シエルを演じることが出来なくなった本来の坊ちゃんの姿である可能性があります。
この時の坊ちゃんは確実に弱っており、自分を守ってくれる助けが必要な状態でした。
セバスチャンはそんな坊ちゃんの様子に愛想が尽き、その魂を食べようと襲い掛かります。
その際のセバスチャンのセリフですが、セバスチャン側と、兄シエル&葬儀屋側の対比となっている可能性があります。
まずはセバスチャン側(坊ちゃんがシエルとして、伯爵として生きる道)の発言を見ていきたいと思います。
「羽毛に包まり公開や恐怖を反芻する。あなたのすべき事はそんな事ではないはずです。さあベッドから出ていらっしゃい。」
黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用
つらい状況の坊ちゃんに対し、
非常に厳しい意見です。
しかしこれが伯爵として、そしてシエルとして嘘をつき続けながら生きるしかない坊ちゃんの歩むべき道であることもまた事実です。
それに対し、坊ちゃんはこのように答えます。
「い…いやだ...。」
黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用
重要なのは、それを坊ちゃんが拒否し、嫌がったということです。
分かっていながら、坊ちゃんは精神的弱さに負け、拒否しました。
シエルとして伯爵として生きる事よりも、ベッドの中で後悔や恐怖を反芻し、使用人たちに守ってもらえる状況をこの時ばかりは欲してしまっていたことが分かります。
この答えに対し、セバスチャンはこのように答えます。
セバスチャンが嫌味っぽく繰り返したこの内容。
これらは坊ちゃんが番犬の立場を放棄することを肯定する甘く優しい言葉であることが分かります。
この言葉、どこかで聞き覚えはありませんか…?
そう、この次の章である
青の教団編で登場した葬儀屋と兄シエルが言った内容とかなり近しいことが分かります。
具体的に比べて行ってみたいと思います。
「辛さ」について
セバスチャン側
セバスチャン
「女王の番犬を辞めてしまえば、辛い事もせずに済む。」
黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用
兄シエル&葬儀屋側
兄シエル(坊ちゃんに対し)
「もうお前が嘘を重ねる必要はない。だって僕が戻ってきたんだからね。」
黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用
兄シエルからは、番犬としての重荷を肩代わりするような、そんな坊ちゃんの辛さを交代するような意思を感じます。
「咎め」について
セバスチャン側
セバスチャン
「いつまでそうしていたって、誰も貴方を咎めませんし」
黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用
兄シエル&葬儀屋側
兄シエル(坊ちゃんに対し)
「さっきも言ったけど、お前が嘘を吐いていたことを叱るつもりはないよ。むしろお前を嘘吐きだと責める奴がいたら僕が許さない。」
黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用
兄シエルは、
文字通り自分たちは坊ちゃんを咎めないと言っています。
「優しさ」について
セバスチャン側
セバスチャン
「使用人たちも優しくしてくれるでしょう。」
黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用
兄シエル&葬儀屋側
兄シエル(坊ちゃんに対し)
「それより僕はお前を褒めてあげたいんだ。この3年独りでよく頑張ったね。」
黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用
兄シエル(坊ちゃんに対し)
「こら、ダメじゃないか。この寒いのにそんなずぶ濡れになって。また咳が止まらなくなるよ。でももう心配しなくていい。二度とお前をひとりになんかしないよ。」
黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用
葬儀屋(坊ちゃんに対し)
「君は嬉しくないのかい?久しぶりにお兄ちゃんに会えて」
黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用
このタイミングです。
ここでこそ、兄シエルと葬儀屋たちが坊ちゃんの元へ来るべきだったのではないでしょうか。
上記で紹介したセリフは、すべて緑の魔女編の次の章である青の教団編で発せられた言葉です。
もしこの坊ちゃんが弱っていたタイミングに兄シエルと葬儀屋が間に合っていたとして、同じ言葉を坊ちゃんへ贈っていたとしたら果たしてどうなっていたのでしょうか…?
確実に印象は違ったはずです。
現に、坊ちゃんは伯爵としての務めを果たせというセバスチャンの意見に対し「いやだ」と拒絶をしていました。
逆に言えば、この時もし兄シエルと葬儀屋が優しく手を差し伸べていたら、悪魔との契約を放棄してでも兄シエル達にすがってしまっていた可能性させあるのではないでしょうか。
坊ちゃんが精神的に弱く揺らいだのはこのタイミングだけでした。
この短いタイミングに間に合わなかったことこそが、兄シエルと葬儀屋が犯した失敗であり、また千載一遇のチャンスを逃してしまった瞬間だったのではないでしょうか。
現に坊ちゃんは緑の魔女編の試練を乗り越え、再び伯爵としての自我に目覚めてしまいました。
伯爵として何もかもを背負って進んでいく覚悟を決めた今、兄シエルと葬儀屋のこれらの優しいセリフは坊ちゃんにとってもはや救いでも何でもなく、ただ自分の立場を脅かそうとする反逆者の言葉となってしまいます。
兄シエルと葬儀屋が気づけなかったポイント
兄シエルと葬儀屋は、
坊ちゃんのこの千載一遇のチャンスがあったことにすら気づいてすらいなかった可能性があります。
まず、坊ちゃんがパニックになってしまった現場は外国のドイツでした。
また緑の魔女の村は国がらみの施設であったこと、そして森の中にはサリンガスを撒く人狼が潜んでいたことなどから、当時の坊ちゃんの様子を知るのは非常に難しい状態でした。
途中イギリスからヴィクトリア女王の馬蹄であるジョン・ブラウン(※人外の可能性が高いです)が手紙を届けにやってきますが、彼もその時点で坊ちゃんがそのような状態であることを知りえていませんでした。
更に言えば、青の教団編の中で兄シエルが
「僕はずっとお前のそばにいたんだよ」というシーンがあります。
この中に、緑の魔女編は含まれていないことが分かります。
兄シエルがそばにいたのは
・切り裂きジャック編
・サーカス編
・豪華客船編
・寄宿学校編
この四つだけでした。
カレー編、密室殺人事件編、そして緑の魔女編の際はそばにいなかったことがわかります。
何らかの形で葬儀屋たちがこの事実を知っていたという可能性もまだ全否定はできないのですが、少なくとも
・女王サイドであるジョン・ブラウンさえ知りえなかったこと。
・坊ちゃんがパニックに陥った魔女の村が国家機密の空間であったこと
・兄シエルが「そばにいた」と言った中に緑の魔女編が含まれていなかったこと
これらのことから、兄シエル側がこの事実を知れていた可能性は極めて低いのではないかと感じています。
すれ違いの結果は
坊ちゃんが兄シエル達に飼殺されること無く、自らの意思で進んでいく道としてはこの結果は正解だったと言えるのかもしれません。
しかし、どっちの方がハッピーエンドだったのかはまだ分かりません。
兄シエルと葬儀屋の本心が坊ちゃんに届くことがかなり難しくなってしまったように感じます。
またセバスチャンはあくまで坊ちゃんの魂を絶望にぬらして食べることを目的としているため、結果的に坊ちゃんを不幸にしようとしています。
セバスチャンと離れなければ、文字通り坊ちゃんの幸せはありません。
しかしだからと言って無理やりセバスチャンと引き離す兄シエル達のやり方の先に果たして坊ちゃんの幸せはあるのか…
こればかりは今後の坊ちゃん次第のような気がします。
悪魔とともに行く人生だったとしても、坊ちゃんはたくましいのでその中に悪魔にも勝てるような何か大きな成果を見出す可能性もあります。
兄シエル達のやり方は、死者を出してしまっている以上確実に間違っています。
しかし葬儀屋と兄シエルが坊ちゃんの敵ではないこと。
そしてセバスチャンよりもはるかに利害に関係ない愛情を坊ちゃんに向けていること。悪魔よりも味方となりうる人物であること。
これらのすれ違いが今後黒執事にどんな影響を与えていくのでしょうか…?
これからもかたずをのんで見守りたいと思います
餅月