黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【黒執事考察】伯爵になりたくなかった双子はなぜ、当主の座を巡り争っているのか/本当の目的は「爵位の奪い合い」ではなく「坊ちゃんの奪い合い」である可能性について

こんにちは!餅月です。
今日は双子それぞれの爵位についての価値観について考察をしてみたいと思います。

現在ファントムハイヴ伯爵の座をかけて争っている双子の兄弟兄シエル坊ちゃん

葬儀屋(アンダーテイカー)によって蘇生され満を持して遂に登場した本物のシエル・ファントムハイヴは、いとも簡単に坊ちゃんを伯爵の座から引きずり下ろしました。

一見よくある家督争いのこのお家騒動。
しかし双子はもともと、2人とも伯爵になりたいと強く思っているわけではありませんでした。
2人の爵位に関する本来の執着や価値観を振り返ってみると、双子の現在の状態は「何故そうなったのだろうか?」疑問に思う点が多々あることに気づきます。

この小さな違和感を紐解いてみると、
この兄弟喧嘩が表すものと、兄シエルの本当の目的が見えてくる可能性があります。
本日はこの点を考察してみたいと思います!

双子は2人とも伯爵になりたくなかった

普通、お家騒動とは地位や財産などの相続の分捕り合戦、いわば欲や執着が原因で巻き起こるものです。

しかし、ファントムハイヴ家のお家騒動はまずこの時点で一般とは異なっていることが分かります。
と言いますのも、
現在家督を争っている双子は幼い頃から2人とも伯爵になりたいと強く望んでいたわけではなかったのです。

それにもかかわらず、現在双子は激しく家督争いを繰り広げています。
これはいったい何を示しているのでしょうか?

まずは、双子それぞれの幼少期の家督と爵位についての価値観を比べて紐解いていきたいと思います。

幼少期坊ちゃん:おもちゃ屋になりたい

まずは幼少期の坊ちゃんを見ていきます。
幼少期、坊ちゃんは長男である兄シエルを慕う一方、兄シエルに何もかも劣る自分自身をせめてしまう一面がありました。

坊ちゃんは兄シエルの有能さを素直に尊敬していました。それは下記セリフからも理解することが出来ます。

坊ちゃん
シエルも大人になったらお父様みたいな立派な伯爵になるんだろうな。ううん絶対なる!僕もお父様みたいな立派な大人になりたい。シエルが自慢できるような弟になるんだ。
黒執事26巻第132話「その執事、嘉章」より引用

坊ちゃんは、長男の利益や損得関係なく、兄シエルへの尊敬から、自分ではなく兄がファントムハイヴ家を継ぐことに対して一切不満を抱くことがありませんでした。

そして、兄シエルにお前は大人になったら何になりたいの?と聞かれた坊ちゃんはこのように答えます。

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おもちゃ屋になりたかった坊ちゃん:黒執事26巻第132話「その執事、嘉章」より引用

以上のことから、下記内容が理解できます。

坊ちゃんの家督に対する価値観まとめ

・坊ちゃんは兄シエルを尊敬していた
・兄が家督を継ぐことに疑問を抱いていなかった
・伯爵ではなくおもちゃ屋になりたかった

余談:双子のすれ違いの原点Part1

また今回の主題とはそれてしまいますが、
下記内容も非常に重要です。
これは兄シエルと坊ちゃんのすれ違いの原点である可能性があります。
※兄シエルへの説明の際に再度詳しく言及します。

・坊ちゃんにとって、おもちゃ屋になる夢をかなえたいという気持ちは、兄シエルと離れたくないという気持ちよりも強かった

幼少期兄シエル:やっぱり僕は伯爵に「なるしかないんだね」

次に兄シエルを見ていきたいと思います。
幼い頃の坊ちゃんに、ファントムハイヴ家を継ぎたいという強い欲が無かったことが分かりました。

では兄シエルはどうだったのでしょうか。

実は兄シエルもまた、伯爵の座に興味が無かったことが分かります。

この気持ちは、坊ちゃんよりもむしろ強いほどで、攻撃性さえ感じる節があります。

そして、伯爵になりたくない理由には、常に坊ちゃんへの気持ちが関わっていることが分かります。

具体的に説明していきます。

兄シエル「僕もおもちゃ屋になる!」

「おもちゃ屋になりたいんだ」という坊ちゃんの話を聞き、兄シエルは駄々をこねます。

理由は、坊ちゃんがロンドンでおもちゃ屋をやると、坊ちゃんと自分自身が離れ離れになってしまうからです。

兄シエルは、「僕も伯爵じゃなくておもちゃ屋になる!」と両親に泣き叫んで訴えます。

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坊っちゃんが玩具屋になりたいと知ると自分も玩具屋になるとごねる兄シエル:黒執事26巻第133話「その執事、没了」より引用

ここで重要なポイントは、
兄シエルは「おもちゃ屋になりたい」わけではないということです。

兄シエルにとって伯爵の座より重要なことは、あくまで坊ちゃんから離れないことです。おもちゃ屋になりたいからではありません。
ここが坊ちゃんと兄シエルの明白な相違点です。

兄シエル:家督争いの勝ち負けはどうでもいい

また、坊ちゃんと一緒におもちゃ屋になることが出来ないと両親に諭された兄シエルは、攻撃的な一面を見せます。

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兄シエルにとって伯爵とは「なるしかない」ものであり「なりたい」ものではない可能性:黒執事26巻第133話「その執事、没了」より引用

このセリフから、兄シエルにとって伯爵とは強制的になるように決められてしまうものであり、自分が坊ちゃんと離れるに憎むべき原因となってしまいました。

坊ちゃんからは、家督や地位について、長男の兄と比べられる哀愁は感じられました。
しかし、兄シエルからはこのセリフから見える通り、伯爵になるしかない、という不平不満や怒りに近いようなものさえ感じられることが理解できます。

兄シエルの家督に対する価値観纏め

・伯爵になるよりも坊ちゃんのそばにいたかった
・坊ちゃんのそばにいたいことが優先であり、兄シエル自身がおもちゃ屋になりたいという夢を持っていたわけではない。

余談:双子のすれ違いの原点Part2

先ほど坊ちゃんの際に言及した内容です。
兄シエルと坊ちゃんのすれ違いの原点として、

・坊ちゃんにとって、おもちゃ屋になる夢をかなえたいという気持ちは、兄シエルと離れたくないという気持ちよりも強かった

だと説明しました。
これに対し、兄シエルはこのように思っていた可能性があります。
・兄シエルにとって、坊ちゃんとそばにいたいという気持ちは、伯爵になりたいという気持ちよりも強かった

分かりやすく表すと以下の通りです。

坊ちゃん
おもちゃ屋の夢(自分の夢)>兄シエルのそばにいる>伯爵の座


兄シエル
坊ちゃんのそばにいる(自分の夢?)>伯爵の座

完全にすれ違っていることが分かります。

坊ちゃんは、兄シエルの事は大切ですが、それよりも自分自身の夢であるおもちゃ屋になることの方が優先度が高いことが分かります。
しかし兄シエルの方は、恐らく自分の夢が無く、強いているならば坊ちゃんとずっとそばにいる事こそが人生の目標であり夢となってしまっている可能性があります。

その為、兄シエルは坊ちゃんのそばにいるためならば自分の職業すらあいてに合わせると駄々をこねてしまうほどです。
健気と言えばそうですが、これはいわば兄シエルの坊ちゃんに対する完全な片思い状態です。

このすれ違いこそが、今回のお家騒動の元凶である可能性があります。

兄シエルは、今も変わらず…

かなりのブラコンの予感がする兄シエル。
そして同時に、彼はとんでもないサイコパスである可能性や、ファントムハイヴ家襲撃事件を手引きした可能性も怪しまれています。

兄シエルに対する黒い疑惑は、下記記事に詳しくまとめてあります!
www.under-taker.com

また以前当ブログで言及しましたが、
幼少期はこのように兄シエルを尊敬していた坊ちゃん。

しかし坊ちゃんの兄に対する価値観は、180度変わっている可能性があります。
兄シエルは現在の坊ちゃんにとって恐ろしく、理解できない存在である可能性があります。
www.under-taker.com

しかし、ここで声を大にして主張したい点があります。

それは坊ちゃんは成長し、兄に対する価値観が変わりましたが、兄シエルの方からの坊ちゃんに対する価値観は何一つ変わっていない可能性が高いという点です。

それは、蘇生された兄シエルの開口一番のセリフをみれば分かります。

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「もう二度とお前を一人にしない」という兄シエル:黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用

兄シエル
もう二度とお前ひとりになんかしないよ

黒執事26巻第129話「その執事、錯綜」より引用

兄シエルが開口一番に言ったセリフは、爵位の主張でも坊ちゃんに対する宣戦布告でもありませんでした。

このセリフはずっとお前のそばにいるという内容を示しており、幼少期からその主張が変わっていないことが分かります。

ちなみに、「ずっとお前のそばにいたんだよ」というセリフは第141話で兄シエルが坊ちゃんに対して実際に語りかけているセリフとも一致します。

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ずっとお前のそばにいたという兄シエルと、おびえる様子の坊ちゃん:黒執事28巻第141話「その執事、推量」より引用

このセリフを受けた坊ちゃんの表情。
この表情の違いこそが、坊ちゃんが幼少期のころと明らかに変化していることを表しています。

それに対し、「ずっとそばにいた」「もう一人にしない」という兄のほうは、小さい頃から何も変わっていないことも同時に理解することが出来ます。

2人とも伯爵になりたいわけではなかった

以上の様に考えると、
2人とも伯爵の座に執着が薄かったにもかかわらず現在繰り広げられている家督争いは少々違和感があるものであることが理解できるのではないでしょうか。

これが表すものは何なのか。
私は、この双子の兄弟げんかで本当に重要なのは家督争いではなく、兄シエルから坊ちゃんへの執着心の方なのではないかと予想しています。

坊ちゃんは兄シエルの家督争いという表向きの喧嘩を買い、爵位奪還に向けて兄シエルを再び葬り去る方向で動き始めています。

しかし、もともと家督よりも坊ちゃんの方が大切だった兄シエルにとってそれは表向きの理由にすぎず、むしろ兄シエルにとっての本当の目的は家督ではなく坊ちゃん自身そのものを囲い込むことである可能性があります。

以前セバスチャンがスフィア・ミュージックホールとのミュージックホール対決の際、
「勝ち負けなどどうでもよかったんですよ」とスフィア側をあざ笑ったことがありました。

これのセリフがのちに、兄シエルと葬儀屋側から家督争いについてそっくりそのままセバスチャンと坊ちゃんに意趣返しされる可能性も十分考えられるのではないでしょうか。

こちらについての詳しい考察は下記記事にまとめてあります!
www.under-taker.com
www.under-taker.com

まとめ:「爵位返還」を検討していたヴィンセント

また、ヴィンセントは生前時、
自分の代で爵位を返還してもいいととらえられるような発言をしていました。

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爵位返還について言及するヴィンセント:黒執事26巻第132話「その執事、嘉賞」より引用

このヴィンセントの発言が冗談だったのか本気だったのかは定かではありません。

しかしヴィンセントは子供たちと一緒にいる際は、兄シエルと坊ちゃんそれぞれを注意深く観察している節がありました。

もしかするとヴィンセントは、
子供たちのこれらの考え方を踏まえ、爵位返還も視野に入れてもいいと考えれるような、柔軟な一面があったのかもしれません。
だとしたらとてもいいパパですよね

双子の名前をフランス語にするくらい異色な貴族ですし、十分考えられそうです。

双子の家督争い。
本来重要なのは、爵位の奪い合いではなく、坊ちゃんの奪い合いである可能性があります。

餅月