黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【考察】黒執事第113話「その執事、独行」

こんにちは、餅月です。
今回は黒執事第112話「その執事、独行」の考察をしていきたいと思います。

あらすじ

扉絵:オレンジを片手に新聞「The Times」の表紙を飾るP4

スフィアミュージックホールは繁盛を極めていた。
坊ちゃんはスフィア・ミュージックホールに関する中間報告を女王に報告しに行く。

坊ちゃん「引き続き、ブレスレットを持つ者が参加できる限定集会の調査を続けます。今のところ反社会的な活動は見られませんでしたが・・」
女王「そうね・・でも人が集まればなんだってできるわ。商売も、宗教も、戦争もね。数は力よ。」
グレイ伯爵「貴族院と警察庁と軍部のお偉い方の名簿だよ。印がついている奴は例の集会にどっぷりハマっている。」
坊ちゃん「これほどとは・・。」
女王「悪いことをしているわけじゃないの。でも彼らはなんだか怖いわ。それにね、私、歌はやっぱりオペラが好きよ。」

帰宅する坊ちゃん。セバスチャンから報告を受ける
セバスチャン「ご命令の調査結果ですが・・どうやらブレスレット所持者の限定集会は曜日別で行われているようです。」


  • ポラリス(☆☆☆☆)  月・水
  • ベガ(☆☆☆)     火曜日
  • カノープス(☆☆)   木曜日
  • シリウス(☆)     金曜日


セバスチャン「この曜日にミュージックホールを訪れると集会に参加できるとか。」



次の日の金曜日、坊ちゃんはセバスチャンをミュージックホールの外に残し一人でミュージックホールを訪れる。
坊ちゃん 『土曜ほどは混んでいないな』
ウェイター「アッ!シリウスの加護を受けている方ですね!?お待ちしておりました!どうぞこちらへ!」

四つの扉がある広いスペースに案内される。

ウェイター「お客様、まずはこちらへお着がえください。」
坊ちゃん「は、はい」

ギリシャ時代のような服装に着替える坊ちゃん
坊ちゃん『な、なんだこれは‥スース―する。焼き印は見えないだろうな。』
ウェイター「わー!よくお似合いです!ではおおいぬ座の扉へお進みください。なかではお食事もご用意しております。」

広い広間にはプラネタリウム(当時幻影灯)の機械とゆったりとした一人用ソファーがスペースを空けながら並んでいる。椅子の数に対し、人数はまばらだ
坊ちゃん「本当に人が少ない。どういう基準で仕訳けているんだ?」

質の高い料理が無償で運ばれてくる。さらにいぶかしく感じる坊ちゃん。

女性「皆様、お待たせいたしました。まもなくスターライト4が参ります。拍手でお出迎え下さい。」
P4が現れる。

バイオレット「レアな星の下に選ばれたみんな。『S4シリウス限定イベント』へようこそ。今週も頑張った君たちが、来週もまたキラキラ出来るように・・癒しの光を届けるよ。さあみんなで始めよう。銀河浴。」

照明が落ち、天井に夜空が映し出される。
ハープが奏でられ、P4が歌い始める



「Starlight Shower」

作詞作曲:ブラバットスカイ

まとわりつく穢れたちを
ざっと洗い流そう
Starlight Shower with me in your dream

ざわめく胸の嵐さえも
ぱっとアラ晴れ模様
Starlight Shower with me in your dream

頭に置く僕の手は
そよ風、子猫、ミルクティー・・・
だからゆだねて目を閉じて

真夜中の国 君の部屋
一緒に飛沫弾こう
Starlight Shower with me in your dream

忘れられる光の海で
いっそただ揺蕩おう
Starlight Shower with me in your dream

頭に敷く二の腕は
はちみつ、毛布、ラベンダー・・・
だから脱ぎ捨て 目を閉じて


Starlight Shower with me in your dream
Starlight Shower with me in your dream
(※繰り返し)

ブラバットが坊ちゃんが混ざっていることに気が付く

坊ちゃん「僕にも悩みがあったものでね。・・・しかし、ずいぶんと「キラキラ」なさっているようで安心しました。バイオレット先輩?」
バイオレットは浮かない顔をする
バイオレット「・・・・そうでもないさ。」

突然ふわりと不思議な香りが漂い始め、坊ちゃんは意識を失います。
外で猫と戯れていたセバスチャンはそれを敏感に察知します。
セバスチャン『坊ちゃんの気配が希薄になった・・・気絶?いや、これは・・眠っている?(猫にほほを引っかかれながら)』
セバスチャン「どうやら順調に何かに巻き込まれているようですねえ、やれやれ・・・。」

ここでセバスチャンはアバーライン警部に出会う。

アバーライン「君はファントムハイヴ伯爵の・・・。」
セバスチャン「おや、あなたは警察庁のアンダーライン警部。」
アバーライン「アバーラインだ!」
セバスチャン「冗談ですよ。こんな時間までお仕事とは、何か事件でも?」

アバーラインは少し迷った後、セバスチャンに小声で話し始める

アバーライン「実は最近少し不思議な死体が上がっている。なんというか・・きれいすぎる。外傷もなく皆眠っているようで、死斑もほとんど見られないんだ。発見された遺体の身元は娼婦に郵便局員、それから靴屋の下働き・・といった具合に共通点が無い。そこに先日ある貴族の娘が加わった。そのせいで警察庁はいま大わらわというわけだ。」

セバスチャン「つまり今まではただの変死体だと処理されていたものが特権階級の人間が死んだことによって事件となったわけですか。面白いですね。」
アバーライン「そういってくれるなよ・・。そんなわけで現在警視庁をあげて調査中だ。伯爵にも何か情報があれば提供をお願いしたい。」
セバスチャン「よろしいのですか悪の貴族に頼るなど。ランドル卿のご不興を買うのでは?」
アバーライン「俺が怒られて早期解決するならその方がいい。やり方に納得はいかないが、きみらも警視庁も市民を守る目的は同じだろ」

驚くセバスチャン。
セバスチャン「・・・なるほど。では主人に伝えておきます。」
セバスチャン「眠るように美しい死体・・・ですか。」


場所は変わり眠っているシエルにエリザベスが近づく。
エリザベス「シエル・・・ごめんなさい。あたしじゃ貴方を救えない。」

ハッと目を覚ます坊ちゃん
バイオレット「大丈夫?」
坊ちゃん『寝てた・・!?ありえない、なぜ。』
バイオレット「君・・・よく眠ってた。疲れてたんだね。」

坊ちゃん『こんな得体のしれないところで寝るなんてさっきの香りに何か入っていたとしか。しかし僕を含め誰も危害を加えられた様子はない・・。寝ている間にいったい何が・・』

クラリとバイオレットにもたれかかってしまう坊ちゃん

バイオレット「大丈夫?君ちょっと痩せすぎ・・・もっと食べたほうがいいよ。はい。(オレンジジュースとお菓子を差し出し)」
坊ちゃん「・・・は?」
バイオレット「お土産。君には特別いっぱいあげる。いっぱい食べてね。」
坊ちゃん「な、なんなんだ・・・。」

そのころセバスチャンは郊外の森へ。
なにかをかぎつけ、地面を素手で掘り始めます。

セバスチャン「・・・ふう、本当だ、綺麗すぎる死体ですね。」
穴の中からは白骨化した遺体三体と綺麗な遺体が二体出てきました。

第113話、終了



考察

P4が表紙を飾った「The Times」

「The Times」は実在する新聞です。
1785年創刊の世界最古の日刊新聞であり、イギリス国内外ニュースを伝えてる世界でも屈指の有名紙です。
当時のイギリスで新聞は階級によって読むものがある程度分かれていたようです。そのなかでも「The Times」は上流階級や知的階層向けの新聞で、権威があった新聞です。

イギリスの新聞一覧

高級紙 (Quality paper):
The Times (ザ・タイムズ)
The Guardian(ザ・ガーディアン)
The Independent(ジ・インディペンデント)
The Finalcial Times(ザ・フィナンシャル・タイムズ)
The Daily Telegraph(ザ・デイリー・テレグラフ)

大衆紙(Tabloid):
The Daily Mirror(ザ・デイリー・ミラー)
The Sun(ザ・サン)
The Dailyl Sport(ザ・デイリー・スポーツ)
The People(ザ・ピープル)


高級紙は、クオリティー・ペイパー(Quality paper)と呼ばれ、上流階級や知的階層向けの新聞で、権威があります。高級紙は、主として政治経済などの堅い内容を取り扱っており、社説や論評もしっかりとしています。言葉遣いも比較的難しいので、より高度な英語の勉強に向いています。最近では、各新聞の思想の違いは薄くなりつつあるようですが、The TimesやThe Daily Telegraphは保守派、The Gurdianは左派、The Independentは、右にも左にも属さない中道派新聞です。

大衆紙は、タブロイド(Tabloid)と呼ばれ、中流階級や労働者階級向けの娯楽性の強い新聞です。有名人のゴシップ記事やスキャンダルを扱っており、口語的な英語やスラングを学ぶには良いかもしれません。

この他にも、中間紙と呼ばれる新聞もあります。真面目な記事と娯楽性のある記事の両方が扱われているものです。

引用元:英国の新聞の「階級」と「特徴」 [英語] All About



使用されたプラネタリウムは「時代的に進みすぎている」

今回「銀河浴」として使われたプラネタリウム。
坊ちゃんは「幻影灯」といい注釈ではヴィクトリア朝時代に流通した光学機器として紹介されました。
「幻影灯」というワードで調べてはみたのですがそれらしきものを発見することが出来ず・・・。
私が気になったのは、このプラネタリウムが現代で使われている機器だといわれてもおかしくないくらい近代的なものに見えたことです。

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黒執事26巻第113話「その執事、独行」より

プラネタリウムの概念自体はなんと紀元前から存在していたようです。
ですが、近代的な機器としてプラネタリウムが初登場したのは1923年のドイツ。現在の黒執事は1889年なので、やはり「時代的に早すぎる」幻影灯である可能性が高いです。

具体的に見ていきます。
今回黒執事で登場したプラネタリウムの構造は「レンズ式投影機」です。
光学式投影機の中で、最も簡易な造りが「ピンホール」と呼ばれるもの。そしてそのワンランク上の構造のものが「レンズ式投影機」となります。
そして形が完成した時こそ1923年。カールツァイス社がドイツで初めて製作した光学式プラネタリウムの形が「レンズ式投影機」となります。

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レンズ式投影機

プラネタリウムの歴史
世界初のプラネタリウムは?
世界初のプラネタリウムは、1923年にドイツで誕生した「カールツァイス1型」です。4500個の恒星と5つの惑星の運行を再現することができました。当初は右図のような形で、プラネタリウムと聞いて多くの人が思い浮かべる通称「ダンベル型」と呼ばれる2球式のものではありませんでした。
日本で初めてプラネタリウムが設置されたのは14年後の1937年で、大阪市立電気科学館(現:大阪市立科学館)に設置されました。さらに20年後の1957年、千代田光学精工(株)(現:コニカミノルタプラネタリウム(株))が、初の国産プラネタリウムを完成させています。

引用元:プラネタリウムの歴史-会社情報 | コニカミノルタ

また、「レンズ式投影機」よりもう一つアナログな形として「ピンホール」という形のプラネタリウムが存在します。
こちらは形は似ているのですが、文字通りレンズがはめ込まれているかはめ込まれていないかが大きな違いとして現れています。
ピンホール型は光を通さない紙で球を作り、その中に光源を仕込んで紙に穴をあけ星の光を再現する原始的なものでした。
今回黒執事で使用されたプラネタリウムには明らかにレンズがはめ込まれています。
この違いがあらわす時代背景の差異は実は結構大きいものな気がします。

この時代的に明らかに進みすぎたプラネタリウムを作り出した人物はいったい誰なのでしょうか?
ちなみに余談ですが、現在のイギリスロンドンではなんとプラネタリウムはかの日付変更線で有名なグリニッジ王立展望台にしか存在しないそうです。
日本と違い、イギリスではプラネタリウムは意外と身近ではないのかもしれませんね。
もし「幻影灯」について画像等詳しい資料をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご助言頂けますと嬉しいです。

新たに張られた伏線

無償にしては質が良すぎる食事、ミュージックホールに入り浸る官僚

今回、官僚たちさえもがミュージックホールに出入りしていることが分かりました。彼らは楽しむためにいるのでしょうか?またミュージックホールはなぜこのような高級な料理を無償で配布することが出来るのか。財力問題も新たに張られた伏線といえます。

限定集会で眠る坊ちゃん

限定集会の中で坊ちゃんは眠りに落ちました。
本人も言っている通り、おそらくスフィア・ミュージックホールにて強制的に眠らされたようです。
具体的な伏線としてのヒントを述べます。

  • 害を加えられた様子はない
  • 意識を失った前後で、執拗に食事をするよう促される(食事にかなり重きを置いている)
  • 起きた後に立ち眩みがする

これらは現代でも行われている「献血」の時の行動と酷似しています。

アバーライン「綺麗すぎる変死体が上がっている」

アバーラインが死体を表現する際「まるで眠っているような」という表現がされました。またその同時期に坊ちゃんはスフィア・ミュージックホールの中で眠りに落ちていました。
恐らく眠りに落ちた死体は、スフィア・ミュージックホールの中で眠りにつき、そのまま目覚めなかったのでしょう。
こちらは新たに張られた伏線です。

「共通点が無い」という共通点

アバーラインは死体の身分に対し、貴族から平民まで共通点が無いと主張します。身分に隔たりが無く交流できる場所として、「共通点が無い」ことを共通点として挙げられる場所は今のところスフィア・ミュージックホールただ一つです。

エリザベス「あたしじゃ、あなたを救えない」

エリザベスはカノープスの加護を受けており、シエルはシリウスの加護を受けています。
これらの「加護」が血液型を表していた場合、エリザベスの血はシエルに輸血が出来ません。
また、この時エリザベスがシエルと話しかけている人物ですが、坊ちゃんがしていた眼帯をしていません。
坊ちゃんは目覚める前と目覚めた後で、変化なく眼帯をしています。少しフライングとなってしまいますが、この「シエル」は坊ちゃんのことではなく「真シエル」である可能性があります。

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黒執事23巻第113話「その執事、独行」より

エリザベスの表情は浮かなく、涙を流しています。
どうやら彼女が言っていたキラキラは集会での楽しいキャロルのことではなく、真シエルのことが関わっているようです。


新たに生じた疑問

バイオレット、レドモンドの腰飾り

今回初めて限定集会でのS4の衣装が明らかになりました。
その際気になったのはバイオレットとレドモンドの衣装です。

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黒執事第113話「その執事、独行」より

上記画像をご覧いただければわかる通り、バイオレットの腰飾りが葬儀屋の遺髪入れに酷似しています。
これは背後に葬儀屋がいることを示唆しているのでしょうか・・?
非常に興味深いです。

バイオレット「そうでもないよ」発言

坊ちゃんの問いかけに対し、バイオレットは「自分はそこまでキラキラしていない」と心中を覗かせました。
バイオレットが「そこまでキラキラしていない理由」とは…??
スフィア・ミュージックホールを怪しませるような描写です。

まとめ

いよいよ死体が発見され、怪しい雲行きとなってきました。
穢れなきように見えるスフィア・ミュージックホール。その裏にはいったいどんな闇が潜んでいるのでしょうか?
原作の進行を固唾をのんで見守りたいと思います

餅月