黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【黒執事考察ブログ】ネタバレ第189話「その執事、失笑」/セバスチャン「嘘は感心しませんね」バルドが家族についた嘘は2つ存在する可能性/亡者のように描かれた生者と、生者のように描かれた亡者

こんにちは!餅月です。
『黒執事』最新話第189話「その執事、失笑」Gファンタジ―2022年7月号の考察をしていきたいと思います。

今回の第189話は主に回想シーンであり、
物語の直接的進展や伏線考察要素は私が見た限り大きくは見受けられませんでした。(※なので今回の記事は少し短めです。)

レイラの攻撃を受け生死の境を彷徨うバルド。
果たして彼は「不死身の傭兵」の名の通り、生還を果たすことが出来るのでしょうか。

前回のネタバレあらすじ&考察記事はこちらです
www.under-taker.com



あらすじ:黒執事第189話「その執事、失笑」Gファンタジー2022年7月号

※考察に必要最低限の大まかな話の流れのみです。
詳しく知りたい方はぜひ本誌を買ってください!(^^)
※伏線として重要な可能性がある点は線と太文字で強調してあります。

扉絵:小麦畑に一人立ち尽くすバルド
流れ着いた黄金の大地

眼前に広がる麦畑。この場所は…?

・目を開くとバルドは農夫の格好(過去のバルドの姿)で一人麦畑の中に立っていた。
・呆然としているバルドの前には息子のバルドロイJr.と妻、そして懐かしい家が現れる。
・妻はバルドに「おかえり」と声をかける。
・バルドは自分は英国貴族のお屋敷でシェフになったこと、クレイジーな奴らばっかりだったが悪くない職場だったことを話す。
・これからはいくらでも作ってやるというバルドに対し、突然セバスチャンが現れ「嘘は感心しませんね。」という
・突然地面が崩れ、バルドの足に亡者のような恐ろしい顔をした劉、エイダ、その他アテナ退役軍人療養所で知り合った軍人たちがしがみつき、奈落へ引きずり落そうとする
・セバスチャンは「ご家族に料理を振る舞うのは、もう少し修行を積んでからがよろしいのでは?」失笑しながら言い、バルドを奈落へ蹴落とす。

悪魔が誘う奈落の底には…。
第189話終了

枢先生の巻末コメント

画集4発売決定いたしました!鋭意制作中なので続報楽しみにお待ちください。

葬儀屋ヲタの叫び(感想)

正直、今回の話でバルドが麦畑の中に現れた瞬間に「うわっ、し、死んだ!?」と思いました。
いやーーー焦りました。
しかしその直後、我らがセバスチャンが登場してくれました。
ヲタク用語を使えば、私にはセバスチャン登場はバルド生還ルートの確定演出のように見えました( )

こんなにもセバスチャンが登場してくれてホッとした回もなかなかないような気がしますw
またこのタイミングで黒執事における最重要ワードである「嘘」というワードも登場しました。
今までの物語の根幹に関わるような嘘とはまた違う種類ではありますが、(坊ちゃんがシエルではなかったなど。)このような形で使うことも出来るのですね。
ちなみにこの「嘘」というワードですが、本編とは直接関りが無いかもしれないのですが、小さなダブルミーニング的意味合いを含んでいる可能性があります。これについては後ほど言及しますね。

久しぶりに登場のセバスチャンの美しさと悪魔っぷりに魅せられましたが、それよりも個人的に衝撃度を上回ってしまったのはバルドの足に絡みついた亡者化した劉、エイダ達です。

突然の容赦ないガチホラー描写…っ
直接考察には関係ないのでここで画像は載せませんが、例えるならばナナシノゲエムに出てくるお化け「ルグレ」ともののけ姫のこだまを足して二で割ったような感じです。
※ルグレの画像を載せています。ホラーが苦手な人は注意してスクロールしてください↓↓
















ナナシノゲエムに登場するお化け:ルグレ


この顔が、美男美女であるはずの劉とエイダの顔の輪郭はそのままで顔にあてはめられているんです。
元々のキャラと輪郭が耽美な分、なおさら超不気味です。
個人的にはビザールドールよりも怖いと思いました。

ここまでがっつりホラー描写で描かれるのは黒執事史上初なのではないでしょうか…?推しの葬儀屋さんがこの顔で描かれたら私は間違いなく泣く自信があります。

あまりにも衝撃的過ぎて、今回の話の中で一番インパクトがあったかもしれません…ww
気になる方は是非本誌を買って読んでみてください!
それでは考察に移っていきたいと思います

考察

麦畑は豊かさと先祖の教えの象徴

バルドが死の淵を彷徨う際に、麦畑が描かれました。
よく死にかけた際に「花畑が見えた」なんて言われたりしますが、花畑ではなく麦畑なのが何ともバルドらしいです。

農家をやっていて小麦と牛を飼っていたバルド。
バルドにとって麦畑とは幸せの象徴だったからです。

バルド
『オレもご先祖様のように一生畑を耕して、平凡に幸せにこの場所で年老いていくんだろう。そう思っていた。』
黒執事第182話「その執事、問答」より引用

また、表題で「流れ着いた黄金の大地」というワードが添えられていますが、これはバルドを「根無し草」に例えていたことを拾ってのワードだと考えらえます。

バルドの息子について

麦畑の中で再開を果たしたバルドの息子バルドロイJr.ですが、ガンマンの格好をしてバルドの後頭部にパチンコを当てるという描写は、生前に実際あったこととして第182話の中で描かれているものと全く同じ内容となっています。
ガンマンや保安官などという当時流行りものあこがれの職業に、バルド自身は興味が無かったようですが子供のバルドロイJr.は憧れていたんですね。

セバスチャン「嘘は感心しませんね」

このワードが、今回の話の中では唯一ダブルミーニングを含んだ意味合いのものであると考えられます。

先程も申し上げた通り、黒執事の中で「嘘」というワードは非常に重要です。
どのキャラが何について嘘をついているのか。これを紐解くことが黒執事を考察する上では最も重要なポイントであると私は個人的に感じております。

今回セバスチャンの口から発せられた「嘘」というワード。
黒執事本編の内容に直接的に大きく関わるほどの深い意味合いはないと思われますが、それでも少し切ないダブルミーニングを含んだ意味合いである可能性があります。

順番に見ていきたいと思います。

1・料理が下手ということ

こちらは表向きの意味合いです。
セバスチャンは本誌の中でもこの件については「嘘は感心しませんね」と言った後にきちんと説明をしています。

セバスチャン「目玉焼きが作れる?八割が黒こげのスクランブルエッグでしょう。」
黒執事第189話「その執事、失笑」より引用

一見セバスチャンは、バルドの料理人としての嘘のみを指摘しているように見えます。
しかしこの「嘘」というワードにはもう一つの意味合いが隠されている可能性があります。

2・「不死身の傭兵」になったバルド

セバスチャンが指摘したかったもう一つの「嘘」
それは家族を前にして「不死身の傭兵」としてとびきりの人殺しになったという自分を明かさなかったことです。

実際、バルドの妻ジョアナとバルドロイJr.は農夫としてのバルドしか知りません。
人を沢山殺めたことについては一切触れず、貴族の料理人になったという聞こえがいい部分のみを説明したバルドに対し、セバスチャンは悪魔的皮肉を込めて「嘘は感心しませんね」といったのではないでしょうか。

だからこそ、バルドはセバスチャンにこういわれた直後、亡霊のようになった劉、エイダ達に足を掴まれてしまったのではないかと私は感じています。

ただの料理人ではなく、「不死身の傭兵」人殺しとして生きたバルド。
だからこそ死者の世界が麦畑で美しく描かれているのに対し、現世こそはあの亡霊たちに引きずり込まれてしまうようなまるで地獄のような状況として描かれたのではないでしょうか。

バルドが家族を前にして咄嗟に隠したかった自分自身に対する真実。
その真実を象徴するものこそが、あの不気味な劉とエイダ達の姿であった可能性があります。

亡者のように描かれた生者と、生者のように描かれた亡者

先程感想で少し触れた恐ろしい様子で描かれた劉とエイダ達についてです。

このような死の間際に死者と生者が現れるという描写は他の作品にも多数存在します。
よくある描写としては、地獄のような死者の世界へ引きずり込もうとする亡霊と、そこから救おうと手を差し伸べる生者、的な構図を、皆様も一度はどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか?
しかし今回の黒執事ではこれが完全に逆転しています。
今回のバルドの回想では、地獄のような生者の世界へ引きずり込もうとする亡霊のような生者と、死者の世界へ暖かく迎え入れようとする生き生きとした死者として描かれていることがわかります。

これは非常に皮肉が効いていて、非常に黒執事らしい(悪魔らしい)演出になっているなと感じました。

家族を前にして咄嗟に語ることが出来なかった自分の生き方。
その罪深さにバルドは足を取られてしまったのではないでしょうか。
そしてそんな現実こそがバルドが生きる世界であるということは皮肉です。

それこそ、まるでバルドを救おうと懸命になっている人物たちの顔が亡者の様になり、生還した先にも永遠の闇が待っているかのような、そんな未来を暗喩しているかのような不気味な描写となっています。

葬儀屋(アンダーテイカー)の輸血治療の能力の比喩か?

またこれは余談ではありますが、
この亡者のようなキャラクターたちの姿は葬儀屋(アンダーテイカー)の輸血を用いた死者蘇生の技術の象徴である可能性もあるかな?と感じています。
現在恐らくエイダにより懸命に治療をされているであろうバルドですが、バルドの傷は本来輸血の技術が無かった当時の医療ではまず助かることが無いほど重症であることは間違いありません。

それを皮肉にも葬儀屋(アンダーテイカー)が研究を進めていた輸血治療により、ある意味当時としては無理矢理蘇生を試みている状況であるはずですから、それの歪な状況を表している可能性もあります。

だとするとこの歪んだ表現は納得できるような気がします。

バルドは葬儀屋(アンダーテイカー)の輸血治療のおかげで生還するキャラである可能性

今まで当ブログでは、バルドは葬儀屋(アンダーテイカー)の輸血治療のおかげで生還するキャラである可能性と、葬儀屋が研究している輸血治療は、決して悪とは言い切れないものであることについて言及してきました。

バルドは「不死身の傭兵」と謳われており、またセバスチャンが限りなく「今はまだ死ぬな」的意味合いの発言をしたことから、バルドがこの葬儀屋側の力を借りて生還を果たすのは恐らく間違いないのではないのではと感じています。

今のところは、ただただ生身の人間として生還する可能性が90パーセントほどではないかと感じています。
ただ、10パーセントほどビザールドールとしての生還の可能性もまだ否定はできません。

しかし今バルドの治療に当たっているエイダは自分たちが集めていた血液が死者蘇生に使用されているとは知らなかったようですし、このことからビザールドールの製作は葬儀屋(アンダーテイカー)でないとできない可能性が高いです。
ロナルドのアテナ退役軍人療養所を説明した言葉を借りれば、バルドは生者としての生還の可能性の方が高そうです。

ロナルド「この療養所ならどんな人でも社会復帰できる。たとえば「もうすぐ死ぬ」って言われた人でもね。」
黒執事31巻第172話「その執事、心療」より引用

意味深な発言をするロナルド:黒執事31巻第172話「その執事、心療」より引用

※もしバルドがビザールドールとして生還したら、それを最も喜ぶのは劉だと思います…笑

まとめ

いよいよバルド編も大詰めです。
来月にはそろそろバルドが生還できるか否かも明らかになってくるでしょうか?

看護師エイダはどうなるのか、いまだに明かされない劉の目的はいつわかるのか。そして何より劉とバルド達は看護師レイラとスフィア側を追い詰めることが出来るのか。

今後の展開を固唾を飲んで見守りたいと思います。

餅月