黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【黒執事考察ブログ】ネタバレ第184話「その執事、放浪」バルド過去編遂に完結!!/セバスチャン「貴方はこの屋敷にいる誰よりも〇〇の人間ですよ。」

こんにちは、餅月です!
『黒執事』最新話第184話「その執事、放浪」Gファンタジ―2022年2月号の考察をしていきたいと思います。

前回のネタバレあらすじ&考察記事はこちらです
www.under-taker.com


あらすじ:黒執事第184話「その執事、放浪」Gファンタジー2022年2月号

※考察に必要最低限の大まかな話の流れのみです。
詳しく知りたい方はぜひ本誌を買ってください!(^^)
※伏線として重要な可能性がある点は線と太文字で強調してあります。

扉絵:パイを焼いているバルドと、それを見つめるフィニ、メイリン、セバスチャン
たどり着いたにぎやかな戦場
家族を村ごと失ったバルドは…?

・バルドは根無し草の様に先住民との闘いに何度身を投じた
「俺は殺すために生きた。家族の仇だけじゃない。ただ目の前に現れる奴らみんな仇にしたんだ。そして気付いた。幸せや平凡や安住はハナから存在しなかったと。俺らのご先祖様にとってのドリームは奴らにとっての悪夢、俺らの開拓は奴らにとっての侵略、俺らの共存は奴らにとっての搾取だったと。」
それでもバルドは許せず、生き延びたら生き延びただけ奴らを沢山殺せると、ずっとそればかりを考えていた。
・バルドは超能力もなく、空も飛べない農民の子倅でありながら何故か生き延びて「不死身の傭兵」となった。
・人を食べようとまでして生き延びようとしていた自分は狂っていたよと言うバルドに対し、セバスチャンは「貴方はこの屋敷にいるだれより普通の人間ですよ」と言う
「貴方は正しく死を恐れることが出来る。恐らくこの屋敷で唯一。だからこそ貴方をスカウトしたんです。」

・翌日、羊飼いのサムが食材を届けに来た。
・自分の牧場で乳牛が子供を産んだと喜ぶサムに、バルドは「うんと甘くて栄養たっぷりなミルクを期待しているぜ」と優しく微笑む。
・ご先祖様の様に一生畑を耕して平凡に幸せにそれはもう敵わないけれど、あいつらの分までここで根を張って生きていくとバルドは決めた。

時間は現在軸に戻る

・バルドはエイダに対し、俺もアンタも大切なものを失いながら生き伸びた。だがアンタは俺と違い悲しみをバネに沢山の命を救ってきた。奇跡の癒し手の噂は真実だった。と微笑み手を差し出す。
・その二人の様子を物陰から死神ロナルドが伺っていた。

戦争の先を生きる二人。寄り添う死神。
第183話終了ーー

前回のネタバレあらすじ&考察記事はこちらです
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枢先生の巻末コメント

昨年英会話を始めたのですが、週1ではあまり成長が見られず。今年はもっと上達したい。

葬儀屋ヲタの叫び(感想)

今回でバルドの過去回が終了しました!
扉絵のパイを焼いているバルドですが、「パイが成功しているのは全部セバスチャンがやったからであり、バルドは取り出しただけなのではないか」というめちゃくちゃ面白い意見を頂きましたww

言われてみればパイを嬉しそうに取り出すバルドの背後に映りこんでいるセバスチャンはあきれ顔のような表情をしています…!
確かに1からバルドが作れていたらあの顔にはならないと思うので、その通りなのかも‥!?しれません!

考察出来る箇所がたくさんありましたので、順番に紐解いていきたいと思います!

そして今回のお話の中で一番衝撃的だった出来事は…
まさかの葬儀屋さん出番飛ばし・・・・っっ!!!!
吐血……!吐血です!!!(※私が)

181話で、殺した暗殺者たちの死体を回収するためにセバスチャンが朝、葬儀屋さんを勝手口に呼んでいたことが明らかにされていました。

そのセリフの背後には葬儀屋の後ろ姿まであったので、
きっと出てきてくれる…!11か月ぶりに…!!!
と期待してそこから更に3カ月待ったのですが、、
残念ながら飛ばされてしまいましたああああああ“““
無念…無念…っ……

回想と共に夜が明けて、
朝、ファントムハイヴ家にやってきたのは葬儀屋さんではなくなんと羊飼いサムさん!!!!wwwww
「いやこれ予想できた人は流石にいないでしょ!?」と思わずセルフツッコミをしてしまいましたww

でももしかしたらワンチャンサムさんの後に来るかもしれない‥と藁にも縋る思いで考えたのですが、「いやでもまてよ?死体の回収だよ?サムさんの後に来るじゃ流石に色々と遅すぎるのでは」と思い当たり…。
回想も完全に一段落の形ですし、どうやら葬儀屋さんは今回は匂わせだけだったようです( ;∀;)
ボイス付き黒執事シノアリスコラボが無ければ死んでました
ありがとうシノアリス…命の恩人です。
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さてこれでまた葬儀屋さんが今後いつどこでどのタイミングで再登場してくれるか全く予想がつかなくなりました笑
葬儀屋さんはいつも突然予想できないタイミングで登場しては重要すぎる伏線と死亡フラグを残して華麗に去っていくので、登場するたびに私は毎回見事に鳩尾にクリティカルヒットのエルボーを食らうような致命傷を受けているのですが…今後もこれを食らう可能性がありそうです笑ページをめくったら覚悟なく突然推し(※新規絵)がいるのは本当に心臓に悪いので、リハビリをさせてほしいDEATH!!

あと最近サムさんの出番多くないですか!?ww
この一年で3回は顔を見ている気がします笑。ドルイットや葬儀屋さんよりも登場回数が多いなんてもはや純レギュラーレベルではないでしょうかwww
流石にそれは冗談ですが、それでも以前よりも格段に登場回数が増えていることは間違いないです。もしかすると原作チームのお気に入りキャラになったのかも?しれませんね笑

それでは一旦葬儀屋さんからは頭を切り離して考察に移っていきたいと思います!!

考察

バルドがセバスチャンにスカウトされた理由

バルドがセバスチャンにスカウトされた理由について具体的に考察をしていきたいと思います。
セバスチャンはこの理由について下記のように述べました。

セバスチャン
「貴方はこの屋敷にいる誰より普通の人間ですよ。貴方は正しく死を恐れることが出来る。おそらくこの屋敷で唯一。だからこそ貴方をスカウトしたんです。」
黒執事第184話「その執事、放浪」より引用

このセリフは少々抽象的なのでより深く考察をしてみようと思います。
この中で一番重要なのは、下線を引いた「貴方は正しく死を恐れることが出来る」と言うセリフです。

これが表している物こそ、バルドが農民出身にも関わらず「不死身の傭兵」と言われるほど生き延びることが出来た理由である可能性があります。
具体的に説明をしていきたいと思います。

疑問点:何故バルドは生き延びることが出来た?

今回読んでいて、バルドの戦闘力について気になったのは2点です。

・農民にもかかわらず、何故インディアンを殺害できたのか
・農民にもかかわらず、何故何回も戦場から生きて帰ることが出来たのか

この二つは、似て非なるものとして描かれている可能性があると私は感じています。
具体的に説明をしていきたいと思います。

バルドは何故インディアンを殺害できたのか

こちらは第183話の考察でも言及した疑問点です。
バルドは戦闘の経験など一切ない農民にも関わらず、農民が敵う相手ではないと言われているインディアンを殺害することが出来ました。

この理由については、結局明確に明らかにされることがありませんでした。
このことから、バルドがインディアンに勝てたことには特筆すべきことがないことが分かります。
となると、ここでバルドがインディアンに勝てたのは、バルドがもともと生まれ持った普通の範囲に収まる戦闘能力のポテンシャルを表しているのかもしれません。

妻子を亡くした後に、その怒りに任せてインディアンを初見で殺すことに成功できると言うのは、確かに「火事場の馬鹿力」でもなんとかまかり通りそうな内容ではあります。他の使用人たちの超能力に比べれば凡的と言えるのかもしれませが、それでも戦闘経験が一切ないバルドが先住民に勝利できる程度の能力があるというのは、だいぶ普通に近いとはいえ、それでも十分ファンタジー要素のある一面として描かれているのではないかと感じます。

農民にもかかわらず、何故何回も戦場から生きて帰ることが出来たのか

次にバルドの異名ともなった「不死身」の部分についてです。

この能力こそが、バルドがスカウトされるにあたり重要視された部分の一つです。
元農民にも関わらず激戦から何度も生還を果たしたバルド。

その理由をセバスチャンは「貴方は正しく死を恐れることが出来る」と評価しました。
少し抽象的な言い回しですが、私はバルド編の中でこのシーンが描かれた場所があると感じています。

それは妻子を失った後、バルドがインディアンを一人殺した後に村を去るシーンです。

重要なのは、バルドはこの時は先住民を1人しか殺していないということです。
具体的に説明をしていきます。

バルドは「引き際」を完璧に読むことが出来ている

妻子を殺されて感情的になりインディアンを1人殺害したバルドですが、逆に言えば1人しか殺害しませんでした。

あの時のバルドは非常に感情的になっていました。
しかし一人殺した後に突如冷静になり、まだ村には他のインディアンがいるにも関わらずそのインディアン達には目も向けずに去っていきました。

確かに1人は殺すことが出来ました。
しかしバルドによって殺されたインディアンは歩いていたバルドに矢を放っただけであり、このインディアンが妻子を殺した張本人かは分からないのです。

殺される現場を見て、妻子の仇を殺したとあればこのバルドの撤退はもう少し理解が出来ます。
しかしその確証がない以上、この時のバルドの気持ちは「一人は殺した者の、それが妻子を殺したインディアンかは確証がない」という不完全燃焼であったはずです。

本来は負けるはずの相手に一度勝利を収めたとあれば、そのまま怒りのままに他のインディアン達へ向かって行っても全くおかしくない状況だったと私は感じます。
しかしバルドはそうしませんでした。

では逆に、もし仮にここで復讐心を爆発させて他のインディアン達へも向かって行っていたらバルドはどうなっていたでしょうか?
流石に分が悪く、死んでしまっていたはずです。
バルドはここで撤退していたからこそ、一人インディアンを殺害できたとは言え直接殺した相手を倒せたか確証がなくわだかまりが残ってしまったのではないでしょうか。その為、今度は軍隊に入り戦力を得て、そのわだかまりを晴らすために戦い続けざるを得なくなってしまった可能性があります。

このような極限状態の中で感情に振り回されること無く、無意識に正しく死を恐れて取った正しい危機回避行為こそが、バルドが「不死身」と言われるに至った非凡な判断能力の表れであると感じます。

バルドがスカウトされた理由まとめ

・バルドは「正しく死を恐れることが出来る」
・それゆえに、たとえ妻子を失い感情的になっていたとしても命に関わる「引き際」を見極めることが出来た。
・自分を見失わない「普通」の状態のまま何度も危機を回避し生き残ることが出来たという「非凡」さ
・上記を主に評価され、バルドはセバスチャンにスカウトをされた

エイダを認めたバルド

バルドは同じ境遇で自分とは真逆の「人を助ける」という行為を行った看護婦エイダを評価しました。
バルドは「普通」の人間で思いやりがあるからこそ、エイダの気持ちが理解できたのでしょう。

一方劉はエイダの気持ちと大義名分に一切耳を貸さず、「輸血機関が簡単に見つかったからすぐ壊せるね!良かった!」と当初の目的を進めようとしました。
迷うバルドに対して「君は一体ここに何をしに来たの?」とほほ笑みながら問う姿勢は文字通り裏社会の人間のそれで、今回の話に合わせて言うのであれば「普通ではない」様子と言えるのでしょう。

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バルドに質問をする劉:黒執事31巻第174話「その執事、医療」

裏社会で生きるには普通さを捨てて、非情にならないといけないことは坊ちゃんの生き様からも理解できます。
それが出来たからこそ、劉は中国マフィアでのし上がれたのでしょうが、こうして改めてみてみるとバルドと劉は本当に対照的です。

劉にこのように言われていたにも関わらず、バルドは立場上倒さなければならないエイダに理解の意を示してしまいました。
果たして二人の関係は一体どうなってしまうのでしょうか?

私はエイダとバルドの関係と、バルドの過去に一つの不吉な共通点があるように感じています。
それは「共存」です。

エイダとバルドは共存できるのか

バルドは当初、先住民たちとの共存を思い描いていました。

バルドは血液機関は完全に破壊し任務を遂行すると言いつつも、利用されている者たちの命までは奪いたくないと劉に言っています。
バルドはきっとエイダに兄シエル達の真実を説明するのでしょうが、それが理由だとしても、エイダが血液機関の破壊に合意するとは現段階ではあまり想像することが出来ない状態です。

今バルドが思い描いている方法を実現するには、「エイダの思う患者を輸血で救う方法」と、「人々が死なないように量を調節することで坊ちゃんたちが壊滅させる必要が無いようにする」というどこかしらの互いの「譲歩」と「共存」がどうしても必要となってしまいそうです。もしそうなった場合、少々嫌な予感がします。
理由は、過去の経験から「共存」を否定しているのがバルド自身であるからです。

バルド
「幸せ?平凡?安住?んなものハナから存在しなかったんだよ。オレらのご先祖様にとってのドリームは奴らにとっての悪夢。オレらの開拓は、奴らにとっての侵略。オレらの共存は奴らにとっての搾取。」
黒執事第184話「その執事、放浪」より引用

もしこれがエイダとバルドにも当てはまってしまうとしたら…。
そのような意味の伏線も兼ねていたとしたら…。
そうならないことを切に祈りたいです。

たとえどんな結果になろうとも、
今回の潜入調査は、バルドが「普通」の考え方が出来るがゆえに非常に苦しい板挟みを迫られる内容になる可能性があります。

まとめ

遂にバルドの過去編が一段落となりました。
バルドが「普通」であり続けながらも、驚異的な危機回避能力で「不死身の傭兵」となったことこそが最も重要なポイントであることが今回明らかとなりました。

バルドは「俺は殺すために生きた」といいましたが、私にはそれが「あの時真犯人を殺しきれなかった」という心の穴を必死に埋めようとしているがためのような行為に感じました。

またこれは考察ではなく私のただの感想なのでこちらに記させて頂くのですが、
根無し草だったバルドがファントムハイヴ家に根を張ると決めた理由は、バルドが「普通」故に坊ちゃんやフィニメイリンを放っておけないという情も関わっていたのではないかなと感じます。
そしてその「普通」さを提供できる人が自分しかいない事。死を恐れない彼らに代わり、自分が死を正しく察知することで守れるのであれば、それはバルドにとって使命感と成り得たのかもしれません。

バルドは今回、敵であるはずのエイダに理解を示してしまいました。
果たして一体どうなってしまうのでしょうか。

エイダ(兄シエル)側の行っている死の克服と死者と生者の共存の研究と、それを阻止しようとしている坊ちゃん側。
一体どちらが「正しい」と言えるのでしょうか?

今回のアテナ退役愚人療養所編は、兄シエル側のそのような一面にも目が行くような、非常に興味深く重要な章となりそうな予感です。

餅月