黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【黒執事考察ブログ】ネタバレ第190 話「その執事、小康」/考察大的中!!生者と共存可能な死者蘇生の研究は果たして「悪」と言えるのか否か/一段落を迎えたアテナ退役軍人療養所編。しかしまだ終わってはいない‥‥。

こんにちは!餅月です。
『黒執事』最新話第190話「その執事、小康」Gファンタジ―2022年8月号の考察をしていきたいと思います。

祝!黒執事32巻2022年7月27日発売決定!

今月号のGファンタジーでは待望の嬉しいお知らせがありました!
黒執事32巻が発売決定です!

黒執事32巻表紙:Gファンタジー2022年8月号より引用

表紙は看護師エイダ!
本誌を追っていない方からしてみると、前回の21巻の表紙ジェーンに次いで「えっ!誰!?」となるような意外性に富んだ表紙となっていますね。
表題に添えられた「天使を斃す 白衣の戦士」が誰のことを指しているのか、これもまた複数パターン考えることが出来そうで非常に面白いです。
天使(レイラ)戦士(エイダ)のようにも見えますし、天使(レイラ)戦士(ロナルド※白衣を着た医師として潜入していた為)のニュアンスも、もしかすると今後の伏線的意味合いを持つダブルミーニングとして含まれているのかもしれませんね。
※ロナルドとレイラについては、今月号で進展があった為後ほど詳しく言及します。

バルドの過去編完全収録とあるので、恐らく今回の第190話までが全て収録されるのかと思います。
最新巻発売日は7月27日(水)です

画集4の発売も決定しました!おめでとうございます!

アテナ退役軍人療養所編完結!

アテナ退役軍人療養所編が遂に一段落しました。
今回の第190話を踏まえ、
当ブログからはなんと合計6か所の考察的中が出ました!!!

考察的中箇所
・バルドの安否について的中◎!
・バルドは葬儀屋達輸血治療の技術により生還を果たす可能性について的中◎!
・葬儀屋達の輸血治療と死者蘇生の研究が必ずしも悪いものではないという事を示す章になる可能性について的中◎!
・アテナ退役軍人療養所の立ち位置(死者を出さず、人を生かす施設であること)的中◎!
・エイダはスフィアに利用された人間であり、危険な人物は看護師レイラの方であること的中◎!
・劉の目的的中◎!

今回のアテナ退役軍人療養所編の考察では、嬉しいことに考察したほぼすべての内容が的中出来た形となりました。
こちらの過去の考察記事も踏まえ、順番に考察を進めていきたいと思います。

前回のネタバレあらすじ&考察記事はこちらです
www.under-taker.com



あらすじ:黒執事第190話「その執事、小康」Gファンタジー2022年8月号

※考察に必要最低限の大まかな話の流れのみです。
詳しく知りたい方はぜひ本誌を買ってください!(^^)
※伏線として重要な可能性がある点は線と太文字で強調してあります。

扉絵:血に濡れたナース服を抱きしめて涙を流す看護師エイダ
貫き通す 天使(ナイチンゲール)の意志

崖から一転……空を舞うバルド。

・夢見心地だったバルドはアテナ退役軍人療養所のベッドで目を覚ます。
・「ここは天国か?」と言うバルドに対し、劉は「やあ、おかえり地獄へ」と笑顔で声をかける
劉の腕には留置針が刺さっており、劉の血がバルドへ輸血されていた。
・出血多量で生死の境を彷徨ったバルドは、劉を始め、アテナ退役軍人療養所にいた兵士たちの輸血の協力により生還を果たす。
・また死に損なったのかと笑うバルドに対し、兵士が「言ったろ?兄弟。ここには奇跡の癒し手がいる。きっと良くなるって。」と耳打ちした。
・バルドは「坊ちゃんの敵の技術に救われるなんて皮肉なもんだな。」と内心思う。
・兵士たちは自分たちの血液がこのように使われていたことを初めて知り、こんな自分の血でも誰かの役に立てることを心から喜んだ。
・それに対しエイダは「そうだ。これがあれば今まで救えなかった者も救える。」という
・しかしスフィア側に背いた以上この療養所を維持することが出来ず、エイダは迷う。
・治療を放棄することも出来ず、かといってここにとどまっていれば確実にスフィア側に殺されてしまう事実に迷うエイダ。
・そんなエイダと兵士たちに向かい、劉は「みんなもとめて上海に来ない?」と提案する。
・そうすればエイダは殺されず、患者たちは物乞いをせず治療が継続でき、劉は手柄になりwinwinだと説明した。
・しかし劉は内心では新技術と技術者そして扱いやすい被検体全部まとめて手に入るなら大老たちも金を惜しまないだろうと目論む。
・涙を流し感謝してその提案を飲むエイダ。
・一方逃走中の看護師レイラ。
・アルに対し「レイラを独りにしないって約束したじゃない」と泣きながらつぶやく。
・そこに「待たせてごめんね」と声をかけレイラを捕まえたのは、アルではなく死神派遣協会回収課ロナルド・ノックスだった。

・アテナ退役軍人療養所の施設は、施設は「破壊」という形ではなく坊ちゃんサイドの劉の元上海へ渡りビザールドール(お星さまベガ様※仮)は死神派遣協会に渡るという形で決着がついた。

枢先生の巻末コメント

「黒執事」32巻&画集4発売!「ツイステ」単行本3巻&ビジュアルブックVol.1もよろしくです。

葬儀屋ヲタの叫び(感想)

アテナ退役軍人療養所編が始まってから、今月で丁度1年8ヵ月(2020年11月18日~)。
遂に完結しましたね!

まずはバルドが生きていてくれて本当にほっとしました。
また今回のアテナ退役軍人療養所編の考察ではほぼほぼ大きく外した考察が無かったことも個人的には凄く嬉しかったです。

とはいえまだアテナ退役軍人療養所編で貼られた全ての伏線が回収されたわけではありません。
まだまだ完全解決ではなく、一段落と言った方が良さそうです。

それでは考察に移っていきたいと思います!

考察

生還を果たしたバルド

バルドが生還するという当ブログの考察が的中◎しました!
やはり「不死身の傭兵」というワードが生還を示唆する伏線でしたね。
名は体を表すといいますが、その通りに生還を果たしてくれて本当にホッとしました。

バルドは葬儀屋達の輸血治療の技術により生還を果たした

バルドの生還を考察的中することが出来ましたが、
当ブログではバルドが刺された回である第187話の考察当初から
その具体的な生還方法についても葬儀屋の輸血技術を用いて生還を果たすのではないかと考察してきました。

こちらが大的中◎となりました!

2022年4月19日黒執事187話考察記事より引用
バルドは輸血が必要な状態か

身体にナイフなどが刺さった場合の応急措置の鉄則として、
刺さったものを体から抜いてはいけないことが挙げられます。
理由は、身体からの大量出血を防ぐためです。

しかし今回、レイラはすぐにバルドの体からナイフを引き抜いてしまいました。
その結果バルドは既にかなり出血してしまっていることが分かります。

このことから、バルドが仮に助かる場合でも、
輸血が必要になる可能性があります。

黒執事の時代の当時、まだ一般的ではなかった輸血ですが、
もし仮に輸血が必要になった場合、そのような時代背景でありつつも現在のバルドの近くには幸い比較的輸血を実現させやすい状況が揃っていることも分かります。

・血液を検査する薬(バルドが殺した男たちが持っていたことが確認済み)
・血液(少量ではあるものの、ブタの血に紛れて本物の人間の血も運んでいた)
・近くにレイラとエイダという輸血の技術を持つ看護師がいる

もし仮にバルドがスフィア側の輸血技術を用いて生還を果たすことがあれば、それはかなり皮肉な形となるかもしれませんね。
【黒執事考察ブログ】ネタバレ第187話「その執事、独行」/バルドに迫る危機。「不死身の傭兵」は、果たしてその名の通り生き残ることが出来るのか。 - 黒執事考察ブログ

今回の第190話でバルドは敵の技術に救われたことを「皮肉なもんだな」と言いました。

個人的に嬉しかったことなのですが、
当ブログでも何度かバルドの生還方法として輸血が行われる可能性について言及した際、私も「皮肉」というワードを何度か使っていました。
この解釈がピッタリ合っていたんだなあという事が、個人的にとても嬉しかったです!

輸血技術に助けられたことを「皮肉だ」というバルド:黒執事第190話「その執事、小康」より引用

アテナ編最重要メッセージ:生者と共存可能な死者蘇生の研究は、果たして「悪」と言えるのだろうか

次に、バルド生還を踏まえ、
アテナ退役軍人療養所編で描かれた伏線の中で恐らく最重要であるというポイントについて言及していきたいと思います。

アテナ退役軍人療養所編では、バルドの過去、そして生還までがメインとして描かれました。
勿論これもキャラクターを深堀する上では非常に重要なポイントです。

しかし、これはちょっと誤解を生む書き方かもしれないのですが、
今回のアテナ退役軍人療養所編の中で今後の黒執事の展開に関わってくる最も重要なポイントは、バルドの過去そのものではない可能性があります。

今後の黒執事という物語が進む上で重要なポイントは、
バルドの過去をなぞる形で描かれた、生者と共存可能な死者蘇生の研究は果たして「悪」と言えるのかという点にあるのではないかと
私は感じています。

具体的に説明をしていきたいと思います。

人道的施設と、非人道的施設

アテナ退役軍人療養所は人道的な延命治療施設

今回のアテナ退役軍人療養所編では、
今まで出てきた葬儀屋&兄シエルサイドのスフィア・ミュージックホールやヒースフィールド男爵邸編とは明らかに異なる新しい姿勢が描かれていると私は感じています。
それは死者蘇生の研究と生者の「共存」を目指した、人道的施設であるという点です。

何故これが重要になるかと言いますと、
血液供給施設とそれに基づく死者蘇生の研究が人道的施設で行われることになった場合、それはいわゆる純粋な医療の進歩と変わりがなくなり「悪」として裁かれることが無い行為になる可能性があるからです。

こうなった場合、葬儀屋の研究と立ち位置が根本から覆されるほどの大きなポイントになる可能性があります。

ちなみにこの考察については、
アテナ退役軍人療養所編編が始まって2話目の、第171話の考察の時点ですでに言及&的中していました。

当時は根拠がまだ薄かったので妄想考察として書いたものだったのですが、
結果的にはこれが何と、今回のアテナ退役軍人療養所編の内容に大的中している形となりました。
以下、当時の記事の引用です。

2020年12月18日:黒執事第171話「その執事、霧消」ネタバレ考察記事より

妄想考察:アテナ退役軍人療養所では人は殺されていない可能性

こちらはまだ根拠が薄いため
あくまで一説として聞いていただけますと幸いです。

私は、このアテナ退役軍人療養所では今までの様に人が殺されたり囚われている可能性は低いのではないかとも感じています。

先ほど私は死神が現れたことでこの施設には何かがあると言いました。
しかし、その「何か」が不審死であるとは限らないのです。

今回ロナルドが出てきましたが、これはミスリードである可能性も考えられるのではないでしょうか。
具体的に言いますと
死神がいる=不審死が必ず起こっているというわけではないということです。

スフィア・ミュージックホールの時のオセロを思い出してみたいと思います。
オセロは失血死だけに注目せず、本来死ぬはずの人間の寿命が延びていることにも注目していました。
決められた寿命が延びることはめったになく、異常なことであるとオセロは言及しています。

つまり、人が寿命前に死ぬことだけが死神にとって調査対象なわけではなく、本来の寿命を超えて生き続ける人間が多数いてもそれは調査対象となることが分かります。

寿命が延びたことに注目するオセロ:黒執事25巻第124話「その執事、搬送」より引用

何故ロナルドはここに派遣されたのか。
それは、オセロが言っていたように
このアテナ退役軍人療養所で死者が出ているからという理由ではなく、むしろ本来死ぬ予定だったものの寿命が延長されるというイレギュラーなことが起こっている現場だからという可能性はないでしょうか。

また、退役軍人療養所の説明にはこのような一文がありました。

再起不能とされた兵士たちを数多く社会復帰に導いている

この言葉を素直にとれば、
血をとるターゲットとなるはずの再起不能の退役軍人たちがこの施設を生きて出て、社会復帰を果たしているというのです。

退役軍人療養所は死を待つ場所とバルドは言っていました。
このことからも死者がゼロであるというわけではないと思います。
死ぬ人もいれば、同時に人が死ぬことを自然死に見せやすい場所ともいえるのかもしれません。

当然このような人たちから多めに血を抜いたり、命に影響がない程度に血を抜くことはあると思います。

しかし少なくともここでは不自然な失血死の死者は出ていません。
それはセバスチャン達が調べた退役軍人療養所についての説明文にそのような記載がないことからも明白と言えます。

このことからわかることは、
アテナ退役軍人療養所はターゲットから仮に多少血を抜くことがあったとしても、ヒースフィールド男爵邸やスフィア・ミュージックホールのように命の危険を脅かすような無茶な血の抜き方は恐らくしていないということです。

もっと具体的に言えば、
アテナ退役軍人療養所は今までの施設とは存在理由が違う施設である可能性があります。

スフィアやヒースフィールド男爵邸は、多少無理をしてでも血を集めることに役割を重く置かれた施設でした。

これに対してアテナ退役軍人療養所は
ターゲットをなるべく殺さずに生かし続けることが出来るような方法を研究し、かつ徹底的な衛生管理と統計学に基づき正しい処置で行うヒーリング施設である可能性があります。

今までの様にターゲットが死んでしまえば、一瞬だけ多く血を得られたとしてもすぐにまた血は足りなくなってしまいます。しかも血を抜けるはずの人間は死んでしまっているため、またイチからターゲットを探さなくてはいけなくなります。しかも人が死んでいることから足も付きやすくなります。

それに比べ、もしターゲットを健康な形で生かし続けることが出来ればどんなメリットが兄シエルと葬儀屋側にあるでしょうか。
足もつかずより長期的に血液を収取できることに繋がります。


また更に言えば、スフィア・ミュージックホールが殺人を犯したくないと思っていることもすでに原作の下記部分で明らかにされています。

失血死は出したくないスフィア・ミュージックホール:黒執事25巻第122話「その執事、待望」より引用

しかしここで勘違いしてはいけないことは、
彼らは優しさから殺人を犯したくないと思っているわけではないということです。
あくまでターゲットに死なれては、血液供給が回らなくなるからという残酷な理由です。

引用源:
www.under-taker.com

これを2話目で考察出来ているのはちょっとびっくりしました。
読み返していて我ながら少し鳥肌が…

以上のような理由から振り返り、
私はアテナ退役軍人療養所編の中で最も重要なポイントはこの生者との共存を目指した死者蘇生の研究が果たして「悪」と呼べるのだろうかという問題提起にあるのではないかと感じました。

早すぎる発見は迫害や逆風を受けやすい事実

葬儀屋のやっていることは本当に悪なのでしょうか。
勿論、スフィア・ミュージックホールの失血死や、ヒースフィールド男爵邸編での監禁などをしてしまった以上、彼らのすべてが正しいという訳ではありません。

しかし少なくとも、アテナ退役軍人療養所編で見えた姿勢からは
死者蘇生の研究における輸血提供者へのケアに目を向け、共に共存できる形を模索しているように見えました。

葬儀屋は自分の技術を医学ではないと言っているのでこういうと怒られてしまうかもしれませんが、
もしかするとそれは「死の医学的克服」と言ってもあながち間違いではないのかもしれません。

特に血液収集については、生者の許可を受けた上で、かつてその後の適切なケアも行っている以上、彼らが行っていることはもはや現代の献血と何ら変わりはないように見えます。

自分達の血液が役に立ったことを喜ぶ被検体:黒執事第190話「その執事、小康」より引用

つまりもはや、少なくとも黒執事の世界の中では「死者蘇生の研究」というファンタジー的な内容というよりは、
従来の医療技術の発展方法の先に、遂に死を克服する医療技術の大勢が見えてきた形であると言っても過言ではないのではないでしょうか。

死の克服、完全救済。
どこかで聞き覚えが無い言葉ではないでしょうか。

そう、我らがリアン・ストーカーです。

恐らく読んだ人誰しもが一度は「何言ってんだアイツwwwww」と思ったであろう彼の説は、実は案外、それなりに的を得た内容でだったのかもしれません。
ブログでこの状況を説明しようとすると、恐ろしいことに彼のあの説明に行きつくんです‥‥(ガタガタ)

リアン・ストーカー台詞引用

完全なる救済とは何か?
それは…完全なる健康です!
(略)
しかし我々にはどんなに努力しても克服できない最大の不健康がある。
それは何か?「死」です!
我々をその約才から救ってくれる素晴らしい力…。それこそが暁学会の医学なのです。

黒執事の中では「死」を「克服できる病気」と位置付けたのではなく、敢えて「不健康」と例えたようです。
これはなんだか、逆に医療技術に対する敬意のようなものを感じるようで個人的にとても好きな表現です。
あのリアンが説明したからこそ軽薄に聞こえがちですが…w「克服できる病」というとなんだか説得力も増してしまうような気がするので、リアンの胡散臭さを演出する上でのミスリード的意味合いもあったのかもしれませんw

以下に過去記事を追記させて頂きます。
※分かりやすくするために敢えて「不健康」ではなく「病」と書いています。

葬儀屋たちは血液収集をめぐり限りなく「悪」に近い方法を取っていますが、上記のように血液を抜く対象者の事を最大限に配慮した方法もまた同時に取ろうとしています。
勿論上記はいい意味で捉えた場合の考え方であり、施設をクリーンなものにすることにより検挙され破壊されるリスクを抑え、かつ血液を抜ける人物を減らさないためという利益的な理由も十分含まれているとは思います。

しかしもしこれらを好意的にとらえるのであれば、葬儀屋たちは死者と生者の共存を目指しているとも捉えられるのではないでしょうか。

そしてこれは、今まで人類が不治の病と闘い、克服してきた歴史とどこが異なるでしょうか?

元々は一度かかってしまえば死ぬほかなかった病気も、人類は沢山の臨床実験を繰り返して治療法を見つけてきました。
その中には、合意を得ることが難しい動物実験や、戦争中に行われた違法な人体実験などの未だに議題に上がるような負の一面も沢山あったはずです。

これらを乗り越え、治療法を解決した結果人類は克服できる病気を一つまた一つと増やしていきました。

しかし今もなお人類が克服することが出来ない最大の不健康な出来事。それが死です。

最大の不健康である「死」:黒執事11巻第52話「その執事、運航」より引用

葬儀屋は、「死」を、他の病気と同じように克服できるものにしようとしているのではないでしょうか?
今は乗り越えることが出来ない「死」を、葬儀屋はなんらかの輸血技術を持ちいて克服できるものにしようとしているのかもしれません。

もし死者蘇生の為に必要な輸血量と、人を殺さない範囲の採血量のバランスが取れた場合、それは現代の献血に支えられる輸血技術と何が違うんでしょう?
またもし死者蘇生の方法として輸血さえ必要なくなったとしたら、もはやその時「死」は「病気」と何が違うのでしょうか?

もしかすると葬儀屋たちは失血死による犠牲を最小限にする努力をしつつも現段階では避けきることが出来ない必要なことだと割り切り、行動しているのかもしれません。
そしてもし本当に葬儀屋が完ぺきな死者蘇生に成功した時、それは昔は不治の病と言われた病気をを克服した時と同じように、「死」もまた「克服できる病」となるのではないでしょうか。

引用源:
【黒執事考察ブログ】ネタバレ第173話「その執事、療養」/ あの伝説のポーズが久々に登場!アテナ退役軍人療養所は摘発不可能な施設である可能性について - 黒執事考察ブログ


葬儀屋の研究は本当に潰されるべき悪行なのかというポイントを、もう一度考え直す必要がでてくる可能性が非常に高いと私は感じています。
そしてここは非常に重要なポイントであり、
もし糾弾する方向を間違えてしまうと、過去の歴史でも同じことがあったように、正しかった人を迫害する視点で私たちが物語を読み進めてしまう可能性すらあるのではないでしょうか。

具体的に、実際の人類歴史上で存在した例を元に考えていきたいと思います。
医療技術の発展や科学の発展の歴史など、様々なジャンルを振り返ってみると、
現代では正しいと立証されている説を早く唱え過ぎたが為に周りからの理解を受けることが出来ず、迫害を受けた歴史的人物は多数存在します。
地動説を唱えたガリレオ・ガリレイ。
そして今回の黒執事でも言及のあったフローレンス・ナイチンゲールもまた、迫害とまではいきませんが当初は周りから理解を得られない逆境の立場からのスタートでした。

彼らは何故はじめ理解を得ることが出来なかったのでしょうか。
それは彼らの定義した内容が、当時の人々が理解するには早すぎる、進みすぎた内容だったからです。

そして、黒執事の中ではスフィア・ミュージックホールの血液供給施設を見た死神オセロはこのように言っています。

進みすぎてると言うオセロ:黒執事24巻第119話「その執事、示教」より引用

ゾッとしないでしょうか?
これはあくまでまだ現段階では妄想ですが、
黒執事の中でもしこれらの歴史的に実在する人物に今後触れられる機会があった場合、「進みすぎている」説を提唱した歴史上の偉人が様々な逆境に立たされた理由として今現在葬儀屋が行われているように「神が定めた摂理に反し進みすぎている」という理由から死神派遣協会に妨害を受けたからと描かれることももしかしたらあるのかも、しれませんね。

彼らよりも未来を生きる私達であるからこそ、
ガリレオ・ガリレイの地動説やナイチンゲールの衛生医療などが正しいことは理解でき、偉人側の立場で歴史を見ることが出来ます。

しかし黒執事を読む上で重要なポイントは、
死者蘇生の技術の大成は現代の私たちでさえまだ完成できていない技術であり、その研究経過を否定し悪と決めつけることはこの遠い歴史にガリレオを迫害した人たち側の考えになりかねないという点です。

こここそが、葬儀屋と兄シエルをヴィランズに見せかけるための重要なミスリードポイントになっている可能性があります。

現代の私たちにとって、まだ成し得ることが出来ない「死者蘇生」という名前はオカルトチックでファンタジーのように聞こえます。
しかし、それは当初「地面が動いているなんてありえない」と思った人たちの様に、もしかすると遠い未来で「死」は克服できる病となり、それは魔法でも何でもない医療行為になる可能性があるのです。

勿論実際の私たちの世界でそうなるかは分かりませんが、
私は恐らく、少なくとも黒執事の中では「死者蘇生」を、進歩した医療技術の先に見えてきたものとして描こうとしているのかな、と感じています。
※葬儀屋が以前リアンにとって「小生の技術に頼った時点でそれはもう医術じゃないし」と言っているので、生粋の医術だけで為し得る!という訳ではなく、そこに死神の技術も追加したような形であるとは思います。ここがファンタジー要素かな?


今後黒執事を読む上で私達読者や坊ちゃん側は、
葬儀屋の研究が本当に正しいのかを、改めて考えて読み進める必要があるのかもしれません。

劉の目的的中◎!

また、劉が坊ちゃん側に加担する理由について、
死者蘇生の技術が青幇にとってメリットとなるからである可能性について考察しましたが、こちらも的中◎しました!

中国は古い昔から、死者蘇生や不老不死の研究に積極的だったことで有名です。(※秦の始皇帝は死を恐れ、永遠の命を手に入れる為に仙人や仙薬を探させ、最終的には水銀を不老不死の仙薬と信じて飲み、中毒死したとされています。)
今思えば、死者を蘇生するカルンスタイン病院の話を坊ちゃんに持ち出してきたのも劉からでした。
この豪華客船事件の捜査は女王からの命令ではなく、劉の情報を元に坊ちゃんが独自で動いたものだったのです。

もしかすると劉はアテナ退役軍人療養所編からではなく、
豪華客船編を焚きつけた時点から、既に死者蘇生の研究の取得に向けて動き始めていたと言えるのかもしれません。

以下、劉に関する考察記事の引用です。

疑問点:劉の目的とは

劉は何故敢えて兄シエルではなく坊ちゃん側についているのでしょうか?
初期のバルドも「何故青幇幹部の劉がわざわざ潜入調査まで同行するのか」ということについて疑問に思っていました。

この疑問点は今後非常に重要な点となってくる可能性があります。

今回の第186話で劉はこのように言いました。

劉「彼は今伯爵ですらない。崖っぷちに追い詰められたただの子供だ。」
黒執事第186話「その執事、専行」より引用

この言葉は、猶更何故劉が坊ちゃん側についているのかを疑問視させます。
冷酷で無慈悲な劉が、「ただの子供」に身を落とした坊ちゃんを切り捨てないこと自体に大きな違和感であるからです。

バルドへの態度からもわかる通り、劉に温情はありません。
単純に考えれば、坊ちゃんと行動を共にすることで青幇に何らかのメリットがあると考えることが妥当のように感じます。

青幇へもたらすメリットとは

こちらはまだ考察と言うよりは予想レベルなのですが、
劉がこの潜入調査を同行する理由を考えてみました。

単純に考えれば、この潜入調査が青幇にメリットをもたらすものであるからと考えられそうです。

しかし今のところ、坊ちゃん側の方が圧倒的に劣勢です。
伯爵としてのファントムハイヴ家との関係を維持するためが目標であった場合は、仮に兄シエルが伯爵に返り咲いた場合を考えると、わざわざ坊ちゃん側について敵対して見せることは青幇にとってベストな選択とは言えないように感じます。

これはあくまで予想なのですが、青幇、そして劉の目的は坊ちゃんたちの味方をすることと言うよりは、兄シエル側の死者蘇生の研究技術と、その破壊に重きが置いているのかもしれません。

以前から当ブログで考察している通り、
葬儀屋(アンダーテイカ―)が研究している死者蘇生の実験はもはや「魂の定義」を根本から破壊する程の大きな問題となっています。

そしてこれらの実験には金銭的な援助も不可欠であり、葬儀屋の後ろには国家レベルのパトロンがついている可能性が出ています。
この考察については下記記事で詳しくまとめています。
www.under-taker.com
www.under-taker.com

死者蘇生の力により蘇ったビザールドールが葬儀屋が言う通り「最高の動物兵器」としてどこかの国の兵力になった場合。
それは諸外国にとっては間違いなく脅威となります。

その為、青幇はそれを阻止するという坊ちゃんと目的が一致しているため、行動を共にしている可能性も考えられるのではないでしょうか。
勿論壊すだけでなく、「あわよくば自分たちのものに」という気持ちもあるのかもしれません。

そう考えると、今回の坊ちゃんたちの計画はただのお家騒動と言うよりは、もっとずっと大きな、戦争や今後の人間の死の在り方にすら直結するようなとても大きなヤマであるように思えます。
そう考えると、わざわざ青幇幹部である劉が、直接潜入調査に同行するのも非常に納得がいくように感じます。

これは現段階ではあくまで可能性の一つとして挙げられるだけなので、他にも理由がある可能性はあります。
ただ、現段階で一番単純に考えてみると、こんな動機が候補の一つとしては考えられるのではないでしょうか。

またもし仮にこの説が正しかった場合、施設を壊そうとしていることから青幇は兄に支出をしていないということになります。
逆に言えば青幇にとって都合の悪い相手が、兄シエル側に資金的援助をしているという可能性もあるのかもしれませんね。(まだ妄想です。)

引用源:
【黒執事考察ブログ】ネタバレ第186話「その執事、専行」/エイダに肩入れするバルドを咎める劉。調査に同行する劉の本当の目的とは。 - 黒執事考察ブログ

また、アテナ退役軍人療養所がスフィア側から青幇に移ることは、
引き抜きの意味合いと同時に、研究を進める上で背後のパトロンと金銭面における重要さを示唆するための伏線である可能性があります。

当ブログでは度々、死者蘇生の研究には国家レベルの資金源が必要であり、背後で誰がパトロンとしてついているかが今後の黒執事に置いて非常に重要な伏線となる可能性について言及してきました。

今回の劉の発言でも、アテナ退役軍人療養所を上海に移すうえでの資金について言及されています。
これが、今後の伏線となる可能性があります。

劉「新技術と施術者、そして扱いやすい被検体。全部まとめて手に入るなら大老たちも金を惜しまないだろう。
黒執事第190話「その執事、小康」より引用

国家レベルの資金援助が表す具体的な伏線は、下記記事にまとめてあります。
www.under-taker.com
www.under-taker.com

劉が開眼した理由

今回の第190話にて、今後の身のふりを迷うエイダに対し「今度こそ殺されるぞ」とバルドが諭した際、劉が開眼しました。
この瞬間こそが劉が自分自身の真の目的である死者蘇生の技術の取得に動き始める瞬間だったからと考えられます。

エイダ達は葬儀屋達に背いてしまった以上もう口封じをされる存在でした。
しかしエイダ達を口封じしたい技術こそが劉たちが求めていたものでした。青幇が一足早く、スフィアを出し抜いた形になりますね。スフィアを出し抜くのは、やはり劉がこの場にいなくてはここまでは出来なかったのではないかと思います。

恐らく劉は、この瞬間の為に潜入したと言っても過言ではないのではないでしょうか。
しかしだとすれば、劉は豪華客船編のころから種をまき、ずっとずっと機会を伺っていたことになります。

にも関わらず、それをおくびにも出さずにまるでさも今思いついたかのように飄々と「じゃあさ、みんなまとめて上海に来ない?」と提案出来てしまうあたりに、劉の有能さと青幇幹部としての器を感じます。

バルドに輸血した劉

今回の第190話で、バルドと劉は共に血液型が一致(カノープス)していることが明らかになりました。
黒執事のキャラクターは素性が中々明らかになることが無いので、この新しい情報はかなりファンとしては嬉しいものではないでしょうか!

結果的にバルドを助けた形になった劉ですが、それが親切心からだけだったのかは正直疑問です。
これは私の考えですが、恐らく劉がバルドに血液を提供したのは、事実確認をするためではないかと感じています。

目の前で輸血を見るだけで信じるのではなく、
念には念を入れて、自らも被検体となりアテナ退役軍人療養所が持つ輸血技術の性能を図ったのではないでしょうか。
うーーん、抜けが無い…!なんて有能!

エイダはスフィアに利用された人間であり、危険な人物は看護師レイラの方であること的中◎!

エイダは劉を通じてではありますが、坊ちゃんサイドにつく形になりました。
「奇跡の癒し手」と呼ばれる施術者を引き抜けたことはとても大きいのではないでしょうか。

元々、アテナ退役軍人療養所が調査対象として選ばれた理由は、この施設にカルンスタイン病院出身の医師がいたからでした。
つまりこの施設で怪しいのは看護師ではなく医師であることが分かります。
その為、当ブログでは看護師エイダは黒幕ではなく、利用されている側の人間なのではないかと考察をしてきました。
こちらが的中◎する形となりました!

一点気がかりなのは、坊ちゃんの手元へ渡った、というよりは青幇の手元へ渡ったような印象を受けるのでその点が少々心配です。
劉が「伯爵がその資金を惜しまないだろう」と言っているのではなく、「青幇の大老がその資金を惜しまないだろう」と言っているからです。

坊ちゃんの命令通り破壊するのではなく、海外の中国マフィアに流してしまったわけですからだいぶ意味合いは異なりますよね。
劉を通じて無事に坊ちゃんも接触が出来るといいのですが…。
劉はしたたかなので、その点どう出てくるかはまだ私の頭では見当もつきません。
バルドでは流石にこの交渉はとても歯が立たないはずなので、ここでの折衷案の調整は坊ちゃんの腕の見せ所かもしれません。
劉がここで坊ちゃんを見切るか、それともまだ一緒にいることでメリットがあると判断する場合は妥協の折衷案を作る形になるのではないでしょうか。

もし仮に、今後坊ちゃんとエイダが何らかの形で接触できるようになった場合、エイダは今後のサリヴァン的な立ち位置になるのかもしれませんね。
エイダ自身が今後上海に渡ってしまうのでもしかすると難しいかもしれませんが、エイダとサリヴァンがタッグを組めば大きな動きが出そうな予感です。

アテナ退役軍人療養所編:残された未回収の伏線

アテナ退役軍人療養所編(バルドの過去編部分)は無事終了しましたが、
先程も言及した通りまだ完全解決ではありません。

未回収の伏線がまだまだたくさんあり、それどころか最も潰す必要があった最重要の根幹には、実はまだ触れられてすらいない形となっています。

つまり、アテナ退役軍人療養所は一段落したのみであり、まだ終わっていないと私は感じています。
順番に考察していきたいと思います。

看護師レイラの謎

まず初めに看護師レイラについてです。
当ブログではレイラ=ベガ様説について考察をしてきていましたが、これに関する伏線がまだ一切回収されていない状態です。

現段階で明らかになったのはレイラが肉人形(ビザールドール)である事のみです。
レイラが本当にベガ様であった場合、これは今後の黒執事の展開と、今回の4つの施設が仮にお星さま方を象徴する施設であった場合その意味あいに関わる重要な伏線となる可能性が残っています。

レイラ=ベガ様についての伏線は下記記事で考察しています。
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レイラが呼んだ「アル」とは

またバルド劉チームに追い詰められたレイラは「アル」という人物に助けを求めました。
当ブログではレイラが仮に双子もしくは二重人格者だった場合、この「アル」という人物とレイラ2人を合わせてベガ様と呼ぶのではないかと考察をしてきました。

この極限状態でレイラが呼んだことからも、この人物が今後レイラ同様重要になってくることは間違いなさそうです。
この「アル」という人物についても、アテナ退役軍人療養所編で残された重要な未回収の伏線と言えます。

「アル」についての考察は下記記事で纏めてあります。
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考察:何故アルは出てこなかったのか

アルを呼びつつけたレイラでしたが、
現段階ではその人物は助けに現れませんでした。

レイラの態度を見る限り、アルという人物はこのレイラの緊急事態に気付かない訳がない人物のようです。(※レイラが、アルが気づいていない可能性について一切考えていないように見える為)
となると、アルという人物はこのレイラの緊急事態を理解した上で敢えて助けようとしていないことになります。
そしてレイラもまた、そのことを察し「アル、どうしてなんですの?」と涙ぐんでいます。

これはまだ確定が出来ませんが、アルが出てこない理由は大きく分けて二つ考えられます。
1つは単純な切り捨て。そして2つ目は自分も出ていくことでベガ様が100パーセント流出することを防ぐためです。

事実、レイラは第190話のラストで死神派遣協会ロナルド・ノックスにより捕まってしまいました。
これによりレイラの身柄は死神派遣協会に渡った形となります。

もし仮にベガ様がレイラとアルを指していた場合、
レイラだけでなくあるまで捕まってしまえばそれこそベガ様という存在が100パーセントの形で死神派遣協会に流れてしまうことになります。

それを防ぐために、アルは敢えてレイラを切り捨て、出ていくことをしなかったのではないでしょうか。

そしてこれを見る限り、レイラよりもアルの方が上手であることが分かります。
事実、レイラはこの状況を理解できておらず、また既にとても感情的になってしまっています。

しかし恐らくアルは何かしら考えた上で敢えてレイラを見捨てるという形をとっているはずなので、そう考えるとアルはレイラよりも知恵が回る人物なのではないでしょうか。
また極限状態でレイラがアルを頼ったという姿勢からもそれは感じられます。(作品は違いますが鬼滅の刃の堕姫と妓夫太郎のような…)

勿論、今はまだロナルドがレイラを捕まえたという部分までしか描写が無いため、本当に救出が遅れているだけで今後レイラを取り返すためにアルが現れる可能性もまたゼロではありません。
しかしアルのレイラ救出が遅れていることは既に二回も伏線が張られていることから、なんとなーく現段階では切り捨てられた可能性の方が高いのでは…と感じています。

アルとレイラは双子か?

ベガ様双子説と二重人格説を唱えてきていましたが、
今回の第190話の雰囲気を見る限り、なんとなく双子説の方が可能性が高いように感じました。

アルを呼ぶレイラは、内なる人格を呼んでいるというよりは実在する人物の登場を待ち望み呼び続けているように見えるからです。

また、もう一つはレイラを捕らえる直前にロナルドが言った「待たせてごめんね」というセリフです。
ちょっと抽象的なのですが、この言いまわしと使い方に、兄シエルが初めて登場した時と似た雰囲気を感じました。(黒執事独特の…。伝わるでしょうか)
たぶん、あれです。実際に本誌を読んでもらえれば分かると思うのですが、この「待たせてごめんね」というワードには、急いで必死に助けに来た、と感じさせるような抑揚感が一切ないんです。兄シエルもまた、登場シーンの時は絶句し受け止めきれない坊ちゃんを前に非常に落ち着いており、笑顔さえ見せていました。あの緊急事態を前に、相手に合わせることもなく穏やかに笑顔を向け続けているような…。言葉では謝っているけれど、本気で謝っていたらそんなに落ち着いていられるわけないだろ!と突っ込みたくなるような…。
そんな不気味な雰囲気が似ているセリフだなと、何となくですが私は感じました。

この「待たせてごめんね」というロナルドのセリフは、読者とレイラに対して「遂にアルが来た!?」と思わせるミスリードとして描かれているように見えます。
また傷ついているとはいえ、あのビザールドールのレイラが警戒できずロナルドに背後をとられてしまったことから、この言葉遣いは普段のアルの様子と酷似していた可能性があります。
となると、レイラとアルは二重人格というよりはそれぞれが実在する双子と考える方が、今のところはしっくりくるのではないでしょうか。

最重要伏線:医師が出てきていない

これがアテナ退役軍人療養所編で残された伏線の中では最重要ポイントだと感じています。
それはアテナ退役軍人療養所が調査対象となった理由である、肝心のカルンスタイン病院に勤務していた元医師多数が、アテナ退役軍人療養所編が終わってしまったにもかかわらず未だに一人も登場していないという点です。

これが何を表しているかというと、
つまりアテナ退役軍人療養所編では施設の最も破壊すべき重要なポイントには結局まだ何一つ触れられていない可能性があるという点です。

確かに「奇跡の癒し手」と呼ばれる技術者エイダを味方に付けられたのは事実ですが、それでもスフィアにとっては殺してしまっても構わない、替えが効くような存在であることは間違いありません。

となると、エイダを「奇跡の癒し手」となれるような技術を授けた根幹を潰さない限り、また似たような施設、技術者は簡単に作られるはずです。

カルンスタイン病院出身の元医師はエイダの回想内でたった一度だけ陰で描かれましたが、結局アテナ退役軍人療養所編が終わっても尚、遂に未だ一人も現れることがありませんでした。
スフィア側がどれだけ手練れているかが良く分かります。

この医師を接触、潰すことが出来なかった以上、大変残念ではありますが今回のアテナ退役軍人療養所編の解決は、スフィア側からしてみれば対して痛手でもないイタチごっこの一部に過ぎない形となってしまっている可能性があります。

カルンスタイン病院の元医師についての考察は下記記事を引用させて頂きます。

看護師はミスリード?怪しいのは「医師」か

まず、今回のアテナ退役軍人療養所編ですが、
現在奇跡の癒し手と呼ばれる看護師に非常に目が行く形になっています。

しかし今回の章で重要なのは看護師ではなく、あくまで医師である可能性が高いです。

そう考える理由は、
ウィルトシャーの退役軍人療養所が怪しまれた下記の理由の中に存在します。

3・ウィルトシャーの退役軍人療養所


潜入者:劉・バルド
暁学会:暁学会に所属していた医師が多数勤務


「奇跡の癒し手」と呼ばれる看護婦がいる
再起不能とされた兵士たちを数多く社会復帰に導いている

この中で特に重要なのは、
暁学会に所属していたのはあくまで医師であることと、奇跡の癒し手の正体は看護婦であるということです。
具体的に説明していきます。

退役軍人療養所と暁学会の繋がりは多数の医師

そもそも、坊ちゃんたちがこの施設を怪しいと睨んだ理由は暁学会と関係がある人物がいるからでした。
そして、このアテナ退役軍人療養所と暁学会の関りは暁学会に所属していた医師が多数勤務しているという点です。

暁学会と関りがあるのはあくまで医師であり、逆に言えば看護師の中には暁学会に所属していたものがいないことが分かります。

ヒースフィールド男爵邸編では、暁学会と繋がりがあったのが元ナースのメイドが複数人ということだったので少々混同しやすいですが、それもミスリードのうちの一つである可能性があります。

ヒースフィールド男爵邸編で登場したメイドジェーンはあまりにも印象的でした。
ヒースフィールド男爵邸に勤めていたメイドの中で、果たして誰がカルンスタイン病院の元ナースだったかは未だに明らかになっていません。
このことからもヒースフィールド男爵邸編は一段落はしたものの、まだまだ解決というわけではなさそうです。

ジェーンは一応雇われた用心棒を名乗っていましたが、今のところ登場人物の中でカルンスタイン病院の元ナースである可能性が高いのはやはりジェーンでしょう。

このようなことがあることから、
現在どうしても看護師を怪しく見てしまいがちです。

しかしそれはあくまでヒースフィールド男爵邸の中での話であり、今回のアテナ退役軍人療養所で怪しいのはあくまで医師であることが重要な可能性があります。

最悪の場合、看護師たちは奇跡の癒し手を含め全員ヒースフィールド男爵同様利用されている側である可能性も現段階では考えられます。

これは根拠のないただの予想兼感想なのですが、今回の第171話でバルド達を一生懸命除菌する防護服軍団‥なんだか妙に愛嬌があるんです。彼ら(もしかして彼女らだったらなおかわいいですよね)を指揮する婦長のエイダも、信念と熱意をもって正しい治療法をもって行っているように見えます。彼らが悪気を持って何かするとはどうも思えないような印象も受けたんです。(余談ですがマスクの隙間からダー〇ベイダーみたいな呼吸音漏れてましたwwwなんだか愛嬌があります)

一生懸命の彼らに指示を出しているのは、まだ姿を現していない「黒幕の医師たち」である可能性があります。

(略)

眼鏡をしている暁学会の医師

今回の第185話では、暁学会の医師のシルエットが登場しました。
逆光の演出なのでほぼ影なのですが、そのような状態であるにも関わらず、この医師は眼鏡をしていることがはっきりと描かれています。

眼鏡をしている暁学会の医師:黒執事第185話「その執事、同調」より引用

そしてリアン・ストーカーは眼鏡をかけていません。
このことから、真の黒幕としてエイダに命令をしていた暁学会の医師はリアンとは別人であった可能性が非常に高いです。

またそれだけではありません。
影であるにも関わらず眼鏡だけが強調されて描かれているのは非常に意味深です。

と言いますのも、黒執事における「眼鏡」はその人物が死神の可能性を示唆する非常に重要なアイテムだからです。
それだけではなく眼鏡には死神と悪魔との関係性を匂わせるような意味深な意味合いさえ含まれている可能性があるのですが、これについては過去記事を貼らせて頂きます。
その眼鏡を、黒執事の中でわざわざこれだけ強調するのは本当に本当に意味深と言えます…。
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これだけ意味深に張られた暁学会の医師の眼鏡。
単純に読み解くならば、
この暁学会の医師は、リアンでもなく、人間でもなく、死神である可能性が出てくることになります。

しかしこれについては「えっ?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

何故なら暁学会(葬儀屋側)は、今まさにその死神派遣協会に追われている状態だからです。
それなのに暁学会の中に死神…?と思われる方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、
私はこの暁学会の医師の正体は
葬儀屋が持ちえない医学的知識を持ちえた離脱組の死神(葬儀屋の協力者)である可能性があるのではないかと感じています。

具体的に説明をしていきたいと思います。

離脱「組」は複数人いる

現在黒執事の中で登場している死神派遣協会を離脱した死神は葬儀屋(アンダーテイカー)のみです。
しかし原作の中で離脱ではなく離脱と書かれていることから、死神派遣協会を辞めたものは葬儀屋のほかにも複数人存在することが確定しています。

オセロのセリフ

また、第119話で死神オセロが葬儀屋に他に協力する死神がいた可能性を示唆しています。
オセロのセリフを紐解くと、どうやら過去の葬儀屋には医学的知識がなかったことと、そのような知識を持ち合わせた他の死神がいた可能性があったことが分かります。

葬儀屋(アイツ)に協力者がいる可能性を感じるオセロ:黒執事24巻第119話「その執事、示教」より引用

この「葬儀屋の協力者である医学的知識を持つ死神」が実在したと仮定します。
となると、葬儀屋のように裏で動くわけではなく、表で「医者」として活動していることもすべて辻褄は合う形となります。

協力者の死神の存在については、下記記事で詳しく考察をしています。
※余談ではありますがこの協力者は、離脱に一度失敗し全身をバラバラにされた葬儀屋を今の形につなぎ合わせ、死神派遣協会からの葬儀屋の離脱を成功させた人物である可能性もあります。まだ予想考察の段階であはありますが、もし仮にこれがあっていた場合、この死神と葬儀屋の関係性は相当深いものである可能性があります。
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スーツらしき服

またこの暁学会の医師ですが、
まだ確定させるにはちょっと弱い伏線箇所ではあるのですが、白衣の下にスーツらしき黒い服を着ているようにも見えます。
また扉絵のロナルドと比べてみても、シャツの白、スーツの黒、白衣の白の位置が非常に酷似しているように見えます。

黒い服を着ているように見える暁学会の医師:黒執事第185話「その執事、同調」より引用
スーツの上に白衣を着ている死神ロナルド・ノックス:黒執事第185話「その執事、同調」より引用

リアンは白いベストを着ているので全く印象が異なりますよね。
もしかするとこの暁学会の医師はスーツを着ているのかも、しれません。

疑問点:手袋をしていない医師

仮にこの医師が死神であった場合、疑問点があります。
それはエイダを勧誘した際、この医師が死神の象徴である黒手袋を着用していないという点です。

死神派遣協会の現役の死神たちは全員必ず手袋をしているのですが、離脱組である葬儀屋(アンダーテイカー)は手袋をしていません。
仮にこの医師が死神であった場合、手袋をしていないことは離脱組の死神であることを表しているのかも、しれません。

リンクは以下の通りです。
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今回は記事が長くなってしまう為抜粋させて頂きましたが、この記事は全体が大変重要な内容となっているので、もし興味がある方は是非併せて読んでみてください!

まとめ:ヒースフィールド男爵邸とアテナに共通する不穏な伏線

アテナ退役軍人療養所編が一段落しました。
バルド自身も、利用されていただけで悪人ではなかった看護師エイダ達をどうするべきか迷っていましたが、まさか仲間に引き込み、上海に拠点を移すという死者を出さない平和な形で施設を破壊できるとは私も予想だにしませんでした。

さっぱり綺麗にまとめるとすれば、
アテナ退役軍人療養所は劉の手引きにより上海に移動することでスフィア側から奪い、
また死神派遣協会側は肉人形(ビザールドール)のレイラを得た

という形で言えるのかもしれません。

しかしそれで無事アテナ退役軍人療養所を破壊し、兄シエルへの血液供給を止めるような大打撃を与えることが出来たかという点に関しては、本日考察してきた通り、まだあまりにも多くの不吉な伏線が張られ続けていることもまた事実です。

そしてこれは、アテナ退役軍人療養所編に限った話ではありません。
以前当ブログで考察した通り、ヒースフィールド男爵邸編もまた不完全な終わり方をしています。

アテナ退役軍人療養所とヒースフィールド男爵邸編に共通して言えることは、
どちらもまだまだ叩くには不完全であり、最重要の根幹部分を潰せていないという点です。

敵が血液供給施設を生み出している、その根幹を潰さない限り、今のところはまだまだイタチごっこ状態から抜け出せてないのが現状なのではないでしょうか。

つまり、ヒースフィールド男爵邸編とアテナ退役軍人療養所編に張られた最後のミスリードは、「読者に終わったと思わせる」ことにあるのではないかと感じます。

恐らく坊ちゃんの事なので、兄シエルの事は舐めてはいないはずです。
4つの施設を潰したからといって根幹を叩けるとは坊っちゃんもまた思ってはいないのではないでしょうか。

しかし兄シエルのシリウスの血液はスフィア・ミュージックホールが現存していた時期でさえ、S4のバイオレットからも献血を受けなければならないほどひっ迫していました。

スフィア・ミュージックホールの解体に続き、ヒースフィールド男爵邸、アテナ退役軍人療養所と片っ端から施設を潰したことは、長期的に見ればイタチごっこになことはまず間違いなさそうですが、短期的に兄を弱らせるにはもしかすると有効なのかもしれません。
ただ兄シエルはそんな弟の様子を見て成長を喜ぶほどの余裕がありました。

ここは、この施設閉鎖を上回る勢いで葬儀屋が血液供給施設をイギリス以外の海外展開が出来てるか否かも大きく左右されるのかもしれません。

アテナ退役軍人療養所編は一旦は完結しましたが、
それでも今後回収されるであろう伏線はまだまだ沢山あります。

次回は児童養護施設編でしょうか?
それとも一旦ホテル編に飛ぶのでしょうか?

次の展開について、根拠は薄いのですが当たったらラッキーのなんちゃってお遊び考察をしてみました。

久々にここまでがっつり考察が出来てとても楽しかったです!
文字数を数えてみたらなんと37000字を超えていました。

「卒論みたいじゃん…。」と思い、何となく卒論の平均文字数をググってみたのですが、20000~と出ました。
一晩で書く内容じゃありませんね!!www

今回の黒執事は20ページでしたが、20ページでこれだけ伏線が回収し、新たに張られ、そして進んでいく黒執事。
本当にすごいです。

そしてアテナ退役軍人療養所編が終わったということはもしかするといよいよ葬儀屋さんとかが出てくるタイミングがまた近くなってきている可能性があります…!
もはや楽しみを通り越して怖い!!

本編も勿論進んで欲しいんです…。葬儀屋さんについてもいろいろ知りたいんです…。
ですが、もう葬儀屋さんが本誌に出なくなってから1年以上…。レイラのセリフの中で「葬儀屋さん」というワードが出ただけで「推しの話がでた!」と発狂するくらい喜んでしまう私にとってはもはや本編の葬儀屋さん登場は文字通りオーバーキル間違いなしなんです…。生きて読める自信が無い

多分これは一生言い続けると思いますが、是非裏表紙テンションくらいの葬儀屋さんを期待します…。
本編以外でそんな幸せほっこりな供給が欲しいです…。
悪魔6ではだめなんです…。あれは葬儀屋さんとヴィンセントの伏線宝庫なんでもうオーバーキルなんです…。野球のデッドボールをくらってたりお狐様になっているようなそんな葬儀屋さんの供給が欲しいんです…。

もし仮に、万が一本誌の中で葬儀屋さんが死んでしまうようなことがあったとしても、その時は是非葬儀屋さんに悔いが無い形で美しく…お願い出来たら嬉しいなあって…。
作り物の、悲しみを胡麻化すためだけのいつもの笑顔ではなくて、葬儀屋さんの本来の笑顔で、ほんの小さくでも満足して微笑んで逝けるような…。そんな最後を素敵に描いていただいた後に、一生幸せでギャグ要素しかない裏表紙テンションの供給が欲しいです…お金を送って実現できるのかもしれないのなら本気で有志でクラファンをしてみたいくらいです。

はあ…。心と頭がいっぱいいっぱいになってきて文章もいい具合に支離滅裂になってきたので今日はここまでにします!

来月号からはゲリラテイカー登場の危険性が出てくるので、しばらくはいつも以上にビビりながら一ページずつ覚悟してめくっていきたいと思います。

餅月