黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【ネタバレ考察】『黒執事』第162話「その執事、採用」/メイリンを勧誘するセバスチャン!ファントムハイヴ家使用人の雇用条件とは…

こんにちは、餅月です!
『黒執事』最新話第162話「その執事、採用」Gファンタジ―2020年4月号の考察をしていきたいと思います。

メイリンのファントムハイヴ家メイドへの勧誘もいよいよ大詰め!
メイリンの勧誘を通じて、坊ちゃんの使用人の雇用条件等が明らかになってきました。

現在本誌では、同時進行で兄シエルも使用人の求人を探しています。果たしてこの二人の使用人選びに今後差は出てくるのでしょうか?

前回のネタバレあらすじ&考察記事はこちらです。
www.under-taker.com

あらすじ:黒執事第162話「その執事、採用」Gファンタジー2020年4月号

※考察に必要最低限の大まかな話の流れのみです。
詳しく知りたい方はぜひ本誌を買ってください!(^^)
※伏線として重要な可能性がある点は線と太文字で強調してあります。

扉絵:二つの星の形のシャンデリア。チェス盤の上に置かれた駒。左からビショップ、ポーン、ルーク(キング?)、ナイト。ルークの上に座り目を閉じ紅茶を楽しむ坊ちゃん

塔(ルーク)で一服(ミッドナイトティー)
刺客の性別に気づいていたセバスチャン

・青幇(チンパン)の狙撃手リンが女であることに驚く坊ちゃん
・殺し屋をメイドに勧誘するなんて、という坊ちゃんに対し、殺し屋だからこそ勧誘するのだというセバスチャン
・セバスチャンはファントムハイヴ家の使用人としての条件は優秀なだけでなく主人を危険から警護出来る専門技術があり、主人を裏切ることが不可能な状況下にあり坊ちゃんが認めた人物であるという条件がある故求人が非常に困難だと説明する
・メイドなんかできないというリンに対し、セバスチャンはメイドも殺し屋も主人にとって目障りな汚れを払うことが仕事で、二つに大した違いはないと思うとあっさりという
・セバスチャンは更にリンの立場の危うさ、今後の生活をどうするのかと不安を煽った後に、ファントムハイヴ家の雇用条件がいかにいいかを説き、勧誘する
・過去編冒頭にあった「悪い条件じゃないでしょう」と微笑みかけるセバスチャン
・頭が混乱しているリンのお腹が鳴り、坊ちゃんはセバスチャンに「ヘッドハンティングしたいなら相応の礼儀を」と言い、リンの為に食事を用意させ共にテーブルに座る
・リンがナイフで坊ちゃんを襲おうとすると、セバスチャンがナイフの使い方を教える形でそれを止めさせた
・マナーを解くセバスチャンに対し、客人に恥をかかせるな、マナーなど気にするなという坊ちゃん
・「今日は僕もマナーを気にせずやるんだ。この食べ方が一番美味い」と言い、坊ちゃんはパンをシチューに付けて食べる
・リンも真似て食べてみると、その温かさに思わず涙をこぼし泣きながら食事をむさぼった
・坊ちゃんはパンとシチューのおかわりを笑顔でセバスチャンに命じた

その温かさで、ヒトになる……。

第162話終了

今回新たに張られた伏線箇所

今回新たに張られた重要そうな伏線の箇条書きです。
具体的な考察は、根拠とともにこの後詳しく書きます!

・客人に恥をかかせないことはもてなしの基本だという坊ちゃん
・ファントムハイヴ家の使用人の雇用条件は特殊なため求人が非常に困難だという点

その他にも回収された小さな伏線や、これももしかすると今後伏線になるのかな?と感じる点がいくつかありました!

葬儀屋ヲタの叫び(感想)

物凄い飯テロ!!!!

深夜に読ませて頂きましたがメイリンが初めてあたたかいパンを食べた描写のおいしそうなことおいしそうなこと…!( ;∀;)✨

めちゃくちゃおいしかったです
気分はメイリン…バターってカロリーヤバいですけど本当においしいですよね( ;∀;)人✨

さてさて話を戻しまして。
今回の黒執事で個人的に印象に残ったシーンは、やはりセバスチャンと坊ちゃんの交渉術です!

まさしく北風と太陽戦法…!!!
特にセバスチャンのメイリンの勧誘の仕方が完璧すぎてぞわぞわしました!
弱みを的確に認識させながらも甘い言葉で釣る‥心温まるお話ではありましたが、それでも同時にセバスチャンが悪魔であることを忘れさせない、優しさだけでなく悪魔としての狡猾さも感じるそんなお話だなと思いました!

また坊ちゃんがパンをシチューに付けて食べてうっとりする表情も印象的でした。
坊ちゃんのあんな表情は初めて見た気がします。超かわいい‥!!(※この表情は考察に直接は関係なさそうなので画像は載せませんがハチャメチャに可愛いです!気になる方は是非本誌で直接チェックしてみてください!)

それでは考察に移っていきたいと思います!

考察

扉絵について

今回扉絵でチェスの駒と星のシャンデリアが出てきたのでその点についても少し考察をしておきたいと思います!

二つの星のシャンデリア

坊ちゃんが真ん中に座っており、左右には星の形のシャンデリアが二つ描かれていました。
これはシリウス(二連星の一等星)た、シリウスに例えられる坊ちゃんと兄シエル二人の比喩である可能性があります。

チェスの駒

チェスの駒が4つ描かれていましたが、これは比喩が含まれている可能性があります。
左から順に説明していきます。

ビショップ…僧正。メイリン or フィニアンの比喩か
ポーン…歩兵。メイリン or フィニアンの比喩か
ルーク…城。ファントムハイヴ邸の比喩か
ナイト…騎士。セバスチャンの比喩か

坊ちゃんがルーク(城)に腰掛けてお茶を飲んでいる為、ファントムハイヴ邸での食事を意味しているのだと思いました。

ミッドナイトティーという言葉が気になりました。
メイリンが坊ちゃんを狙撃したのは午前8時の朝でしたが、ミッドナイト、という言葉が含まれているということは坊っちゃんとの食事はランチではなくディナーだったのかな?
ここはちょっとまだ確証が持てませんでした💦

メイリンの決め台詞

「屋敷の汚れは女中が払う!」というメイリンの決め台詞は、どうやらセバスチャンが勧誘時に言った言葉から影響を受けたもののようです。
メイドも殺し屋も持ち物が違うだけで汚れを払うという意味では大して変わらないんじゃない?と小首を傾けるセバスチャンが印象的でした。メイドと殺し屋をひとくくりにして捉えてしまう価値観が何とも悪魔らしいなと感じました笑

坊ちゃんのもてなし法はヴィクトリア女王に由来するか?

今回、坊ちゃんはメイリンを勧誘する際食事でもてなしました。

その際、マナーなど知れる立場にいなかったメイリンを前にして、坊ちゃんが自らマナーを崩して接して見せた様子が非常に印象に残りました。

このシーンを見た時、私はヴィクトリア女王のフィンガーボウルに纏わる有名な逸話を思い出しました。
坊ちゃんの今回のシーンは、
この逸話からインスピレーションを受けている可能性があるので紹介させて頂きたく思います!

ヴィクトリア女王とフィンガーボール

この逸話は、坊ちゃんが番犬として仕えているヴィクトリア女王が実際に行ったとされる逸話です。
マナーを守ることが、礼節を重んじる上で必ずしも正しいことであるとは限らないという内容を示すものとなっております。

ヴィクトリア女王とフィンガーボウル

19世紀のイギリスの女王・ヴィクトリア女王の有名な逸話を知っているでしょうか? フィンガーボウル(手を使って食べる料理が出される際に、食べる前後で指を洗うための水の入った器)が使用された食事会に出席をしていた彼女。
 
招かれていたある国の貴族がフィンガーボウルの使い道を知らず、誤って中の水を飲んでしまったそうです。もしあなたが彼女だった場合どうしますか? 礼儀のない人だなあと、自らその間違いを指摘し、王子を笑い者にするでしょうか?
 
彼女は、来客に恥をかかせないために、それが指を洗う物であることを知りながらも、中の水を飲みました。もちろんそれは、とんでもないマナー違反だったでしょう。でも彼女の行動によって、王子はもちろん、その場の空気も和み、気持ちよい食事会を終えることできたわけです。
 
ある辞書によるとマナーとは「社会の中で人間が気持ちよく生活していくための知恵」と書かれてあります。どうすればより良い空気を作り出せるのか、その場に適切な対応を臨機応変にとるのが本来の意味でのマナーであるはず。だから、そもそも「こういうときはこうする」というルールになって、クイズで出題されるようなものではないのです。

引用源:
フィンガーボウル - Wikipedia

フィンガーボウルとは

ガラス製や陶器または金属製の小鉢のような器であり、大きさは直径11cm×高さ4.5cmほど[1]。使用時には中に水を入れる。消臭のために、その水にレモンやコリアンダーを入れることもある。中国料理でも使用されることがあり、この場合は烏龍茶やプーアール茶を入れる事もある。

使用法
レストラン等では、エビやカニ等の素手を用いて食べる料理と共に供される。そのメニューで手を使用した場合、メニュー後にフィンガーボウルの中に片手ずつ汚れた指の第二関節までを入れる。そして、できるだけ音を立てずに静かに汚れを洗い落とす。最後に、ナプキンで濡れた手を拭き取る。

基本的にフォークとナイフを使うメニューの中、どうしても手を使わなければならない料理を食す際に出されるもので、手を使わずに食す事ができれば必ずしも使用しなければならないというわけではない。

一見すると飲み物のように見えるため、この使用法を知らない人が中の水を飲んでしまうといった例が見られるが、誤用である。

引用源:
フィンガーボウル - Wikipedia

調べてみると、ヴィクトリア女王の前以外でもフィンガーボールの水を誤って飲んでしまったという例はいくつか存在するようです笑

マナーに厳しい坊ちゃんが自らその姿勢を崩し、その上で客人と心から食事を楽しんだこと。そして「客に恥をかかせないことはもてなしの基本だ」といった姿勢からは、このヴィクトリア女王の逸話にも通じるような帝王学を感じました。

とても坊ちゃんらしい対応だなと感じました。

兄シエルと坊ちゃんの相違点「思いやり」

また坊ちゃんのこの姿勢については、もう一つ思ったことがあります。

それは、仮に坊ちゃんと同じ立場になった場合、果たして兄シエルに坊ちゃんと同じ行動が出来るのだろうか?という点についてです。

もしかすると今回の坊ちゃんの対応は、兄シエルと坊ちゃんの双子の相違点なのかもしれません。

具体的に説明していきたいと思います。

坊ちゃん:伝統に囚われず現代的な目線で相手を見る

坊ちゃんの食事の際の行動は、
メイリンのレベルに自らを合わせ下げることで相手を引き立てる思いやりを感じました。

これは特に、坊ちゃんの様に自分が相手より上の立場であった場合、相手を尊重しようと思わないと出来ないことなのではないかなと私は感じます。

坊ちゃんはごく自然にこれを行えていましたが、これは誰にでも出来ることではないと思います。
また自分の立場が高くなればなるほど行うことが比例して難しくなるものであるとも感じました。

兄シエルも坊ちゃんも、どちらも名門貴族の子息なので当然誇り高くプライドも高いです。

ですが坊ちゃんはそのようなプライドや誇りを持ちつつも、メイリンのマナーレベルまで自らを下げることに何も抵抗を感じていませんでした。

それは恐らく坊ちゃんにとって、メイリンのレベルに自らを合わせてもてなすことは自分のプライドと何ら関係なかったことが分かります。

坊ちゃんは自分のプライドの他に、メイリンと自分をきちんと同じ人間という基準で測れているのではないでしょうか。

坊ちゃんとメイリンの間に確かに上下関係は存在しますが、それでも坊ちゃんがメイリンを同じ人間として認めることが出来るからこそ、メイリンに対し礼節を重んじることが自然と出来たのではないかと感じました。

この坊ちゃんの考えは
当時の身分制度が厳しいイギリスではかなり異質で、かつ伝統に囚われない現代的な考えであるように感じます。

では、もし仮に兄シエルが坊ちゃんと同じ立場になったとして、同じ価値観で自らのレベルを一時的に下げてまでメイリンを尊重することが出来たでしょうか…?

私はそれは兄シエルには出来ない(もしくはそうしようとも思わない)ことなのではないかと感じています。

そう考える理由が原作の中で存在します。

兄シエル:自分の身分に誇りを持ち、効率性を重視し相手を見ない

原作の中で、兄シエルと坊ちゃんの明確な違いが描かれたシーンが存在します。
それが黒執事第132話です。

ここでは双子が父ヴィンセントの視察についていき領主の仕事を学んでいます。
領主としての心得としてヴィンセントが「領民が心置きなく仕事が出来るように努めることが領主の仕事」と説いた際、双子の反応は異なっていました。

坊ちゃんが領民一人一人を人間として捉えているのに対し、兄シエルは領民を家畜に例え、その効率性を意識しています。

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領民を尊重する坊ちゃんと、領民を家畜に例える兄シエル:黒執事26巻第132話「その執事、嘉賞」より引用

これは、双子が他の人間を見る上でどのような点で相手を図るかに明白な違いがあることを表している可能性があります。

確かに兄シエルの考えの方が効率はいいかもしれません。
ですが最終的に、ヒトについてこさせるような温かさを持っているのは坊っちゃんだけなのかもしれません。

またその他にも兄シエルは第151話で貴族でありながら中流階級の様に商売をしたいなんて馬鹿げていると思っていたとも発言しています。

このことからも、
兄シエルは人を見る上で現代的な考えを持つ坊ちゃんと比べ、当時の身分制度に準じた伝統に身を置いた見方をしていることが分かります。

ファントムハイヴ家の雇用条件

使用人探し中の兄シエルですが、そんな中セバスチャンからファントムハイヴ家の使用人としての雇用条件が明確にされました。

これは女王の番犬という仕事上、他の家とは異なる特殊な点がいくつかあります。
同じファントムハイヴ家である以上、兄シエルたちにもこの条件は該当する可能性が高いです。

少数精鋭派で使用人を固めた坊ちゃんに対し、兄シエルたちがどのような選択を下すのかが今後非常に重要になってくる可能性があります。

坊ちゃんは使用人の数は少ないですが彼らと確実な絆が存在します。
この差が今後黒執事で双子の未来に影響を及ぼす可能性は十分に考えられると感じます。

これらを紐解くうえで、
まずはセバスチャンの提示した雇用条件を改めてまとめてみたいと思います。

ファントムハイヴ家の雇用条件

・主人を危険から警護できる専門技術
主人を裏切ることが不可能な状況下に在る人物
・主人がその眼で実力を認めた者

この中で特に重要な点は主人を裏切ることが不可能な状況下に在る人物という項目であると感じています。

具体的に説明していきたいと思います。

坊っちゃん:確固たる絆で使用人たちを繋ぐ

今回のメイリンの状況で考えてみると、メイリンがもし仮にファントムハイヴ家からのオファーを断った場合中国マフィアチンパンによって殺される可能性があるという後がない状況でした。

上記の点は、メイリンに対し主人を裏切ることが不可能な状況脅しとして使った一面です。

ですが坊ちゃんとセバスチャンの場合、メイリンに対してのアクションはそれだけではありませんでした。

それは圧倒的厚遇でメイリンを迎え入れたという点です。

坊ちゃん達はメイリンを囲い込む際脅すムチだけを与えるのではなく、飴も与えていることが分かります。

そしてそれは後にメイリンにはファントムハイヴ家に対する恩となり、脅し以外の新たな形での主人を裏切ることが不可能な状況を作り上げました。

このように、坊っちゃんサイドは絆がとてもしっかりと作り上げられていることが分かります。

バルドがまだ明らかにはなっていませんが、過去の使用人ズの様子を見る限り、フィニアンやバルドにも似た感情があるように見えます。

そして全員戦闘力で言えば、人間ではこれ以上の人材を見つけることがほぼ不可能な程優れていることが分かります。

まとめますと
人間の使用人で、最高の絆と戦闘能力を持ち合わせた精鋭部隊の使用人。

それが坊ちゃんとセバスチャンの選択であることが分かります。

坊ちゃんサイドのウィークポイント:スネークとソーマ

坊ちゃんと使用人たちの絆は深くとても強いですが、同時に脆さも含んでいる可能性があります。

それは使用人の中に主人を裏切ることが不可能な状況を満たしていない人物が存在する点です。

それがソーマとスネークです。

憎しみに目覚めたソーマ

ソーマは使用人ではありませんが、坊ちゃんとの深い絆があるという意味では使用人たちと大差はありませんでした。(※一方的な節はありましたが…)

ですがソーマは、兄シエルにアグニを殺されたことにより坊ちゃんとの絆を見失い現在揺らいでしまっています。

事実を偽られているスネーク

またスネークとの絆も、坊ちゃんが分からしてみると突かれると痛い一面が存在しています。

それはスネークの家族同様であったサーカス団員たちを皆殺しにしたのは紛れもなくセバスチャンと坊ちゃんであるという点です。

もしこの事実をスネークが知ってしまった場合、今のような関係を続けることは不可能のように感じます。

また、サーカス団員が皆殺しになった際、炎が上がるケルヴィン邸を葬儀屋が近くで馬車から見ていました。

なので葬儀屋と兄シエルたちは、坊ちゃんがスネークの仇であるという事実を知っている可能性が非常に高いです。

この事実を兄シエル側がスネークに吹き込んだ場合、スネークが裏切る可能性は十分に考えられると感じます。

兄シエル:生命維持の点から裏切れない状況を形成する可能性

兄シエル側の作戦はまだ公にされていない部分が多いためまだあくまで一説として考えていきたいと思います。

私が現段階で可能性が高いのではないかと感じているものは、坊ちゃんが絆で使用人をつなぎとめることに対し、兄シエル側は生命維持の点で使用人を縛る可能性があるのではないかという点です。

兄シエルと葬儀屋の強みといえば、やはり血液を利用した死者蘇生と延命の能力です。

これは葬儀屋にしかできない唯一無二の力です。
何より対象者の寿命に関わるため、セバスチャンの言う裏切れない状況を形成するにはこれ以上ない十分な効力があると考えられます。

また葬儀屋は豪華客船編で肉人形(ビザールドール)の動物兵器としての可能性についても説いていました。

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「最高の動物兵器だろう?」と口を吊り上げる葬儀屋:黒執事13巻第60話「その執事、動揺」より引用

この発言は、動物兵器としてビザールドールを欲しがる人物がいる、という葬儀屋の支援者を匂わすものでした。
ですがこの発言が、葬儀屋のバックにつく強力な支援者の可能性の他にこれが葬儀屋と兄シエルたちにとっての戦闘能力がある使用人としての伏線であった場合、坊ちゃん達が人間の中で最高ランクの使用人たちを雇ったことに対し、兄シエル側は死者蘇生によって造りあげた人間ではない強力な戦闘員を手札として選んだという可能性が考えられるようになります。

葬儀屋の死者蘇生の技術は、兄シエルの完成度から見ても以前より格段に進歩していることが分かるため、今までのような自我の無いビザールドールの他に会話が出来るビザールドールも製作している可能性は十分に考えられると感じます。

自我が無いビザールドールであれば豪華客船編の時点ですでに1000を超える数を作成していたため、粗悪なビザールドールを含めれば兄シエル側の戦力は桁外れの数である可能性も否定できません。

ただ豪華客船編の時点で、セバスチャンにはビザールドールが戦力として対抗できないと分かっていたので、そのビザールドールたちが果たして効力があるのかはまだ疑問です。

またスフィア・ミュージックホールが失血死させた死体をビザールドール化せず見つかるリスクを負ってまで遺棄していることから、もはや葬儀屋は死体を欲してはおらず、ビザールドールの量産もしていない可能性が高いのではないかと感じています。

死体が要らなくなった理由が、粗悪なビザールドールを作る必要がなくなったのか、それとも必要な分のビザールドールの個体数をすでに作り終えたからなのかは、まだ予想すらできません。
ですがどちらに転んでもとても不気味です。

葬儀屋は戦闘力も高いためこのような対策を取らなくても兄シエル側の戦闘力は十分満たされているとも考えられます。ですがセバスチャンという存在がいることと、今後葬儀屋が「面倒だ」という死神派遣協会との武力抗戦の可能性がある以上、葬儀屋だけに依存しない対策を考えていると思った方が自然に感じます。

以上のことから、兄シエル側が葬儀屋以外の戦闘要員の使用人として厳選されたビザールドールを強化している可能性は十分に考えられるのではないかと感じています。

兄シエルたちのハウスメイドなどは?

少々説明がややこしいのですが、上で説明した内容は女王の番犬であるファントムハイヴ家が必要とする特殊な使用人のことです。

原作でも、タナカさんが兄シエルに雇用を促しているのはファントムハイヴ・マナーを守るための使用人たちであり、彼らには戦闘能力は必要ありません。

現に先代番犬ヴィンセントの使用人たちも一般的な使用人たちがほとんどだったようで、戦闘能力が優れているわけではありませんでした。

坊ちゃんがそのような使用人たちを雇わず、全員を少数精鋭で固められたのはそれらの仕事を全てセバスチャンがこなしていたからでした。

ですがそれに対し、どうやら葬儀屋は執事や使用人をするやる気がないようです(※葬儀屋は努力の天才なので、やる気がないだけで恐らくやろうと思えばこなせるのではないかなあと私は考えています笑)

葬儀屋と兄シエルの会話からも、この家の仕事をこなす使用人たちのあてはないように感じるため兄シエルたちはこれらの使用人たちを新たに普通の人間から選ぶ可能性が高いのではないかなあと今は感じています。

もし仮にそうなった場合、30人近くの非戦闘員が兄シエルたちの側につくことになります。

先代番犬ヴィンセントが暗殺されたのも、内部からの裏切り者がいたことが理由だったため、もし兄シエル側が使用人を新たに雇った場合は坊っちゃんサイドの人間がその中に潜り込みチャンスを狙うこともできるのではないかなと感じます。

まだ憶測の部分も多いため兄シエルサイドの使用人問題がどのように動くかについて強く言及できないのですが、ここでの双子の行動の差が今後の黒執事に大きく影響を及ぼすことになることはほぼ間違いないのではないでしょうか。

坊ちゃんの食べ方とメイリンの食べ方

小さな点ですが、伏線回収の可能性があるため記しておきたいと思います。
今回メイリンが食事をむさぼるシーンがありましたが、このシーンで思い出したのが坊ちゃんが劉の阿片窟の中で食事をむさぼるシーンです。

お互い感情が爆発した際に、マナーもなく食事をするシーンが大変印象的に描かれていました。

これは意識的に似た形で描かれたのかなと読んでいて感じました。

坊ちゃんはどうやら感情が爆発したり交渉の一環として敢えて食事マナーを崩すことが時々あるようです。

今回シチューを行儀悪く食べた時も、坊ちゃんは素直に楽しそうな様子を見せていました。

もしかすると坊ちゃんは、意外とマナーを取っ払って食事をしたいという欲求が普段からどこかにあるのかもしれません笑

坊ちゃんは何か自分の理に反することを行わなくてはいけない場合かなり表情に出やすいので(無理矢理笑顔を作る、など)、今回シチューをパンにつけて食べた時に見せた至福の表情からは年相応のいたずらっ子のような様子も見えた気がしました。

※緑の魔女編でサリヴァンが見せたテーブルマナーの悪さには顔に出してドン引きしていたので、立場などをわきまえた限度はあるみたいです笑

まとめ

いよいよもうすぐメイリンの過去編も終わってしまいそうです。

メイリンの過去が分かったことももちろんですが、その他にファントムハイヴ家の使用人の雇用基準や坊ちゃん達が使用人たちを雇うにあたり、使用人たちを人として大切にしている様子などが見えてきました。

時間軸として現在、メイリンはヒースフィールド男爵邸から今の主人(ファントムハイヴ家)を裏切ってこちら側に来ないかと勧誘を受けています。
メイリンがファントムハイヴ家を本当の意味で裏切る可能性はないと思うのですが、この申し入れを形上受け入れて、ファントムハイヴ家を裏切った体にする可能性は意外とそこそこ高いかも?と感じました。

上手くいけば、より相手の懐の奥深く入り込めることになります。
スパイとして入り込めるチャンスとも考えられますよね。

個人的にはyesというんじゃないかなー!と今は思っています!根拠はないので私個人の勘ですが!

敵であるヒースフィールド側に勧誘され、メイリンが今後どのように動くのか。
また兄シエル側の使用人問題がどのように解決するのか。

坊ちゃんが使用人を選ぶ基準があったように、兄シエル側は何を基準に使用人を雇うのか‥‥。

これらすべてが今後の黒執事と双子の兄弟喧嘩の行く末に大きく繋がってきそうな予感です‥!

餅月