黒執事考察ブログ

黒執事は「腐女子向けの作品」ではない・・!それはあまりにも勿体ない!作品の「嘘」と「伏線」に貴方も騙されていませんか?葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたネタバレ有りの考察ブログ

【考察】セバスチャンと坊ちゃんの間に「絆」はあるのか?/「契約に伴う信頼」はあるものの、二人の間に「絆」は皆無の可能性

こんにちは!餅月です。
今日はセバスチャンと坊ちゃんの信頼関係についてを考察をしていきたいと思います。

皆様もご存知の通り、
黒執事は主役であるセバスチャンと坊ちゃんの主従関係を中心に描かれています。

息のあった様子を見ていると、
二人には一見強い絆があるように見えます。

しかし果たして、本当にこの二人の間に信頼関係はあるのでしょうか?

今回はこの点について考察を深めていきたいと思います!

セバスチャンと坊ちゃんに信頼関係はあるのか?

結論から申し上げますと、
私はセバスチャンと坊ちゃんの間に「絆」は無いのではないかと感じています。

初めに少し説明したいのですが、今回言及する「絆」とは、相手に対し各々が抱く好意のことを指しています。

好意というと恋愛的に聞こえるかもしれませんが、これには親愛や友愛なども含みます。

利害に関係なく、情の面から相手へ抱く好意を総括し、今回は「絆」という言葉で表させて頂きました。

私は、この「絆」が二人の間には存在しないのではないか?と感じています。

それらが垣間見えるシーンが原作の中にはいくつか存在しますので、それらを追いながら具体的に説明していきたいと思います!

青の教団編で垣間見えるセバスチャンのポリシー

今回の考察をしていく上で、二人の「契約」が非常に重要になってきます。
先程、二人の間に「絆」は無いと言及しました。

しかし、唯一二人の間に見える「絆のようなもの」こそ「契約」であると私は感じています。

2人の間に「絆」はありませんが、「絆のようなもの」は存在します。
それこそが「契約」であり、この契約が確固たるものであるからこそ(逆に言えば確固たるものとして存在している場合のみ)二人の信頼関係が成り立っているものであると私は感じます。


まず初めに、大前提として「契約」に関するセバスチャンのポリシーを確認しておきたいと思います。

なぜ私が、この「契約」が「親愛のような絆とは異なる」と思うのか。
それは、「契約」が全て「利益」に基づく観点で結ばれているからです。

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「取引は双方に利益があって成立するもの」と契約の在り方について語るセバスチャン:黒執事27巻第138話「その執事、推敲」より引用

上記のコマでも分かる通り、セバスチャンは契約に利益を求めています。
逆に言えば、利益があるからこそセバスチャンは坊っちゃんに主従することを決めたという訳であり、利益なしに労働をするつもりが一切ないことが分かります。

この時点でも、すでに二人の関係性がかなりシビアであることが分かります。

これらを踏まえたうえで、更に詳しく考察をしていきたいと思います。

切り裂きジャック編での無駄な捜査

まずは切り裂きジャック編のワンシーンです。

切り裂きジャック事件(娼婦連続殺人事件)の実行犯は、死神のグレル・サトクリフでした。

セバスチャンは、犯人が人間ではないという事実を分かっていながら、敢えて人間の容疑者を調べ上げるという無駄な行動をします。

人間ではない者が犯人だと分かっていながら何故人間を調べたのかと坊ちゃんが聞くと、セバスチャンは「坊ちゃんが人間の容疑者を調べろとしか言なかったので」と言います。

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真犯人が死神であるグルルだとわかっていながら"人間"を調べていたセバスチャン:黒執事2巻第8話「その執事、殊勝」より引用
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真犯人が死神であるグルルだとわかっていながら"人間"を調べていたセバスチャン:黒執事2巻第8話「その執事、殊勝」より引用

このことから、セバスチャンは主人の命令が正しい場合のみ有効に使える存在であることが分かります。

むしろセバスチャンは主人に対し非協力的な一面もあり、主人が命令を誤った場合、それを指摘するような善意も無く、むしろ滑稽さを楽しんでいるような節があることも分かります。

以上のことからセバスチャンは必ずしも主人に対し適切な主従を見せるわけではないことが理解できます。

密室殺人事件編でのセバスチャンの嫌がらせ

次に密室殺人事件編のワンシーンを見ていきたいと思います。

こちらではセバスチャンは謎の人物ジェレミー神父に変装し事件の捜査に参加します。

しかしこの章の中でもまた、セバスチャンは坊ちゃんの揚げ足を取ります。

セバスチャンは事件に巻き込まれる直前に意味なく手紙を付けた梟を飛ばし、その手紙をわざと白紙にすることで坊ちゃんに小さな嫌がらせをしました。

そしてその手紙をみんなの前で読まざるを得なくなった坊ちゃんを見ながらニヤニヤと笑います。

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坊っちゃんの揚げ足を取るセバスチャン:黒執事11巻第49話「その執事、奇矯」より引用

子供同士のいじめや嫌がらせを彷彿とさせるような大人げなさが印象的なシーンです。

豪華客船編での甘言

続いて豪華客船編でのシーンです。

こちらのセバスチャンの言動は、今まで紹介してきたものとは少々異なります。

というのも、今回のセバスチャンの行動は坊ちゃんの命に直接的に関わる内容であるからです。

豪華客船編内での回想シーン。
坊ちゃんは悪魔の力を手にし、伯爵の座へと帰り咲きました。
そんな坊ちゃんに対し、セバスチャンは復讐の放棄を囁きかけ、その命を奪おうとします。

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坊ちゃんに復讐の放棄を囁くセバスチャン:黒執事14巻第63話「その執事、修行」より引用
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坊ちゃんに復讐の放棄を囁くセバスチャン:黒執事14巻第63話「その執事、修行」より引用

もし坊ちゃんがこの甘言に乗ってしまっていたら、坊ちゃんはセバスチャンにこの場で魂を奪われていました。

セバスチャンがこの時坊ちゃんを襲わなかった理由は、ひとえに坊ちゃんがセバスチャンの甘言に乗らず、契約を放棄することが無かったからです。

セバスチャンの行動は、契約によって封じ込められていることがよく分かるワンシーンであると感じます。

緑の魔女で遂に牙をむいたセバスチャン

そして極めつけのシーンが緑の魔女編に存在します。

緑の魔女編で坊ちゃんは精神バランスを崩し、遂にセバスチャンとの契約を放棄しかけてしまいます。

その瞬間、セバスチャンはこのように言います。

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坊ちゃんに牙をむくセバスチャン:黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用

坊ちゃんが契約違反を犯そうとしていると判断したセバスチャンは、即坊ちゃんに襲い掛かります。

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弱った坊ちゃんを食べようとするセバスチャン:黒執事20巻第94話「その執事、激昂」より引用

このことからも、セバスチャンを主従させる上でいかに契約が大切かがよく分かります。

まとめ:黒執事が終わる時は、二人の契約が終了する時

以上のことから、私は
セバスチャンと坊ちゃん2人の関係性には利害関係なく存在するような「絆」は一切無く、「契約」による結びつきのみの非常にシビアものなのではないかと感じました。

以前、「セバスチャンは本当に坊ちゃんのことが大好きだよね!あれだけ仕えてるのは相当だと思うんだけどどう感じる?」と聞かれたことがあります。

確かに、いろんな意味でとらえればセバスチャンは坊ちゃんのことを好きな節もあるかと思います。執着心も相当なものです。
しかし、その感情は一般的な「好き」や「親愛」とは異なっており、あくまで「捕食物」としてに限られるのではないかと私は思いました。

友人の指摘通り、
セバスチャンは通常は坊っちゃんがうまく手綱を握れているからこそ最強の執事として有能な働きを見せています。

しかしもしひとたびその関係性が崩れれば、そのセバスチャンのその強大な力は一気に坊ちゃんへと向けられることが分かります。

この関係性は決して「好意」「親愛」に繋がるような甘く生ぬるいようなものではなく、むしろ非常にシビアであり、常にヒリヒリとした緊張感があるようにさえ私は感じました。

2人の間にある信頼関係は、全て契約に基づくものなのではないでしょうか。

契約無しでの純粋な信頼関係は、あり得ないのではないかと私は感じました。

セバスチャンは非常に有能ですが、その力を操るにはあまりにも大きな危険とリスクを伴うものなのだと私は感じます。

前回の記事でも考察をさせて頂きましたが、
葬儀屋(アンダーテイカー)は、セバスチャンと坊ちゃんのこの二人の関係性の危険をいち早く理解したのかもしれません。

だからこそ、葬儀屋はその危険性を踏まえた上で、坊ちゃんをセバスチャンから引き離した方がいいと判断したのかもしれませんね。
こちらについての詳しい考察は下記記事で考察しています!
www.under-taker.com

黒執事が終わる時。
それは坊ちゃんとセバスチャンの契約が何らかの形で終了するときである可能性が高いです。

果たして契約を成し遂げた形で終了するのか。
それとも夢半ばで散るのか。
それともそれとも、それ以外の形で坊ちゃんが悪魔を一杯喰わせるのか。

真相は枢先生のみぞ知られていることですが、これからも黒執事の結末までハラハラドキドキしながら楽しませて頂きたいと思います!

餅月