黒執事
Gファンタジー1月号第135話「その執事、献上」
扉絵:「…ボクはダレのモノ?」
蝶の標本のようにピンで磔にされている2人の双子の絵。
下には標本に記される学名の様に
「larvae of Earl Phantom hive Date:14.Dec.1885」
の文字が。直訳すると
「ファントムハイヴ伯爵の幼虫:1885.12.14」
以下本編
何者かに拉致された少年。そこは…?
暗がりの中、ぼそぼそと言う声に目を覚ます坊ちゃん。
坊ちゃん「ーー何か喋っている。誰?」
?「こいつはいただいていくか、いい感じになる。本当にモノズキってのはいるもんだぜ。」
はっと目を覚ます坊ちゃん。両手両足を縛られ口を塞がれています。
坊ちゃん「この音と揺れーー馬車?どこかに連れていかれる!?いやだ!お父様!お母様!」
坊ちゃん「そうだ、お父様達は、もうーーー…。そうだ、シエルは!?まさかシエルも…?やだよシエル、僕1人でどうすればいいの、ここにシエルがいてくれたら… 。」
坊ちゃんはトランクに入られていました。突然フタが開けられ、下品で汚らしい男2人が坊ちゃんを見下ろします。
男「確かにこいつは上玉だぁ」
男「ほら出てこい、さあ大人しくしな仔犬ちゃん、なに痛いのは一瞬さ」
坊ちゃんは左耳にピアスを開けられ、そこに「£40.00」と書かれた値札をつけられました。坊ちゃんはショックにへたり込んでしまいます。
男「オイ、そっちも連れて来い。」
向こうから同じく左耳に同じ値段のタグをつけられたシエルがやってきました。目は虚です。
男「こいつらは揃ってないと商品価値が落ちるからだ。一緒の折に入れておけ。」
坊ちゃん「シエル…よかった 無事だったんだね!」
シエル「情けないな…長男失格だ。僕にもっと力があれば……誰にも負けない力があれば… ッ!ごめんね、ごめんね、ごめんね…っ」
坊ちゃん
僕たちは同じ顔してるけど、何もかも違う。
元気で優しいのは、シエルだけ
強くて頼れるのは、シエルだけ
ーーーーそう、おもってた。
でもそれは間違いだった。
僕らが等しく無力で
泣くことしかできない
ただの子供だったんだーーーー
2人は抱き合って泣きじゃくります。
夜になり横になって泣き続けている坊ちゃんの肩をシエルがトントンと叩きます。
シエル「シー…見て。」
シエルが持っていたものは当主の指輪でした。
坊ちゃん「これ…お父様の?」
シエル「うん、きれいだろう?星のきらめきを閉じ込めた深い青。僕らの瞳と同じ色だ。これはファントムハイヴ家当主だけがつけられる特別な指輪。他の誰にも渡していけない。だから…もらってきた。お父様の指から」
坊ちゃん「!シエルも…見たの?」
頷くシエル
シエル「絶対にここから逃げよう。そうすればこの指輪が僕らをあの屋敷へ戻してくれるはずだ。そしてやり直すんだ、2人で。」
微笑むシエル
坊ちゃん「で、でも…そんなの見つかったら取り上げられるに決まってるよ。」
シエル「見つからなければいいんだよ。」
そういうとシエルは指輪を口に含み飲み込んでしまいました。
シエル「僕が青いあめ玉を飲んじゃったことは秘密だよ」
坊ちゃんは頷きます。
双子「神様どうか僕らをお守りください」
夜が明け1人の紳士が2人の元を訪ねて来ました。
紳士「わ、私以外に教えていないだろうね!?」
男「もちろんお得意様ですから。こんなに毛並みが良いのが2色も入荷する事は滅多にないですぜ。」
紳士は檻を覗き込みます。
紳士「おお…!これは!!これは2人分以上の価値があるぞ!!」
男「珍しいでしょ?」
紳士「双子と聞いてまさかとは思ったが本当にファントム…いや、こんなに素晴らしい商品とは… 」
紳士は男にお金を渡します。
男「まいど」
双子はオリの外に出ました
紳士「おぉ、かわいそうにこんなに冷えて。さあ馬車に乗りなさい。」
双子「どこに行くの?」
紳士「怖がる事はないよ。君らに会いたがっている友達がいるんだ。」
双子は紳士の家でお風呂に入れられ、髪を解かされ服を着せられ、豪華な食事を頂きます。
食事の美味しさに思わずぱあっと表情が晴れる坊ちゃん
紳士「食事が終わったらお着替えしようね。今夜のパーティーは君たちが主役なんだから、おめかししないといけないよ。」
ヒソヒソとシエルに耳打ちをする坊ちゃん
坊ちゃん「シエル、僕たちすごくいい人に助けてもらったのかも… 。」
しかしシエルは答えず、怪訝な顔をします。
夜になりました
紳士「 2人とも支度ができたかな?おお…すばらしい!お披露目にぴったりの装いだ。それではパーティーに出かけよう。」
2人が着せられた服は、
「緑の魔女」の回想編で2人が着ていた煌びやかな衣装でした。
紳士は2人を古ぼけた教会へ連れて行きます。
暗号
「汝、修道士なりや?」
「汝の欲するところをなせ。」
扉が開くと中は一様に黒い画面で顔を隠した大勢の男女で賑わっていました。
煙が立ち込め酒を飲み、膝より上の高さのミニスカートを履いたあられもない女性もいます。
双子「あの…これ…?」
紳士「怖がらなくていい。君たちもきっと気に入るよ。」
紳士は仮面をつけました。
壇上の別の紳士「聞くが良い。敬虔なる修道士修道女たちよ。今宵は新月!我らが背徳の王の力が一段と高まる時。我々の悲願である王の顕現ににこれほどふさわしい夜もあるまい。召喚の技のために素晴らしき子羊が同士によって導かれた。
さぁ無垢なる魂を汚すのだ。淀みと汚れを溜め込んだ楽しいこそ悪魔への最高の供物となる!」
双子「…え?」
双子を取り囲む大人の仮面が、蛾蝶々となり羽ばたき、着飾った双子に群がり、襲い掛かります。
ああ、お父様、お母様
どこに
いるのですか。
双子は引き離され、服を脱がされます
坊ちゃんが見上げるとマリア像が微笑んでいました。
神様
なぜ あなたは
笑っているのですか。
そこに光も情もなく…汚辱だけが散り積もる…。
第135話終了
考察に続きます。