こんにちは!餅月です。
今日は緑の魔女編内に隠された毒ガスの構造式を考察していきます。
緑の魔女編で何度も描かれるサリヴァンによって描かれたテーベ文字を使った魔方陣。
これらの魔方陣を読み解いてみると、化学で習った構造式が浮かび上がる事を皆様ご存知でしょうか?
なお今回の構造式の解読は、
化学が得意なRNさん(※my夫)に協力していただきました!
ありがとうございます!
特に、細かい部分の構造式の解読は恐らく世界初。
是非お楽しみください!!
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テーベ文字とは
テーベ文字は魔女の文字としても知られた、ラテン文字の換字暗号である書記体系です。
その歴史は古く、16世紀ごろから用いられた文字です。
緑の魔女編では、テーベ文字が恐らく黒執事オリジナルのおしゃれな書体として描かれており、これらは重要な伏線となっています。
今回の記事では、このテーベ文字を読み解いてみましょう。


テーベ文字については、作中セバスチャンがO, P, F, C,Hの5文字については解読をしてくれています。

これらのヒントを元に、まずは最重要事項サリヴァンが完成させた究極魔法の魔方陣を読み解いていきましょう。
究極魔法の魔方陣から浮かび上がるサリンの構造式
サリヴァンが完成させた究極魔法がこちらです。
この魔方陣を紐解いてみると、サリンの構造式が隠されている事が分かります。

サリンの化学式はC4H10FO2P。
究極魔法に描かれたテーベ文字がぴったり当てはまりますね。

この究極魔法の中では単結合、二重結合がそれぞれ単線および二重線で表されていることも読み取れます。
古の魔法の残滓の3つの魔方陣
次に古の魔法の残滓として挙げられていた3つの魔方陣が何を表しているかを、セバスチャンからのヒントを基にしつつテーベ文字の解読により読み解いていきましょう。
テーベ文字を紐解いてみると、このような構造式が隠れていることに気が付きます。

順番に解説していきます。
二塩化硫黄(上)

上段の魔方陣では、解読済のCから始まる二文字の元素2つが読み取れます。
テーベ文字の形から、Lが最も近い形をしているので、この元素はまずClだと推測されます。
そしてそのClが2つなので、この構造式が示している物はCl2の塩素ガスだと思われます。
※2025/05/25追記
漫画版では上記のようにCl2の塩素ガスと考察していましたが、アニメ黒執事では2つのClに加え、半分隠れていますがSのような文字が描かれていました。
結合の線の形が一致しないなど不確かな点は残るものの、左上の魔方陣はCl2ではなく、SCl2の二塩化硫黄が最も近いのかなと考えられます。左上の魔方陣:アニメ黒執事 -緑の魔女編-第7話「その執事、勧奨」より引用
クロルピクリン(左下)
次に左下の魔方陣を見ていきましょう。

まずテーベ文字の形から見て、真ん中の小さなCの右隣はNではないかと推測します。
更に隠れている文字を左下がCl、右下がOと予測すると、CCl3NO2のクロルピクリンが最も近い形をしています。

※2025/05/25追記
アニメの緑の魔女編にて、漫画では隠れていた2つの文字が半分ほど描かれており、それぞれ左下がCl、右下がOで間違いないだろうということが判明しました。左下の魔方陣:アニメ黒執事 -緑の魔女編-第7話「その執事、勧奨」より引用
クロルピクリンはイギリスで開発され第一次大戦で用いられた毒ガスとのことなので、緑の魔女編で既に使われていたとしてもおかしくないものです。
第一次世界大戦中には、窒息性の毒ガス兵器としてホスゲンと同様に、クロルピクリンも使用されたが、その毒性はホスゲンに比して低かった。
アダムサイト(右下)
最後に右下の魔方陣を見ていきましょう。

こちらは少し分かりにくいですが、まずテーベ文字の形からAとSでAs(ヒ素)が含まれていると予測します。そうすると特徴的な2つのベンゼン環と既に予測しているNの文字から、アダムサイトが最も近い形であることが分かります。

アダムサイトもマスタードガス同様ドイツで合成された毒ガスです。
アダムサイトが初めて合成されたのは、ドイツであったとされている。その後、1918年になってアメリカ合衆国で兵器として実用化された。アダムサイトに曝露されたヒトは一時的に激しく苦しむ一方で、曝露されても基本的にヒトには後遺症が残らないことから、無力化ガスとして使用された。
またアダムサイトは中毒症状として恐怖心などを引き起こす作用もあるので、作中の坊ちゃんの症状と一致します
恐怖心、不安感、不信感など様々な感情が被害者に噴出し集団ヒステリー状態となる。
引用: https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2018/183061/201826023A_upload/201826023A0020.pdf
如何でしょうか。
このように紐解いてみると、サリンだけでなくサリヴァンの周りでは他にも様々な毒ガスが満ちている事が分かります。
「緑」は「毒」の色
アダムサイトでヒ素というワードが出たので、少し「ヒ素」と「緑」の関係性について考察を残しておきたいと思います。
実は、「緑の魔女」の「緑」自体が、物語に「毒」が関わってくることを示唆する伏線となっているのです。
19世紀半ばに流行した「パリスグリーン」というとても綺麗な緑色は、染料にヒ素が含まれており中毒症状を起こしました。
有毒性が広まり、その結果「緑は毒の色」として定着することになります。
ちなみにパリスグリーンの別名は花緑青やエメラルドグリーン等。
緑の魔女編は、海外版は公式でエメラルドウィッチと言われています。
このエメラルドは、花緑青のエメラルドグリーンから来ているのかもしれ
ませんね。
緑が毒の色である事の考察は、また別途個別記事にまとめさせて頂こうと思っています!
Coming soon...
女王の手紙
最後にヴィクトリア女王からの手紙を見ていきましょう。
ここにはもうこの事件の答えといえる化学式がしっかりと載せられています。

まず上に見える化学式。
C4H8Cl2Sはマスタードガスの化学式です。

※ちなみに、マスタードガスの構造式を示すテーベ文字の魔方陣は意外にも原作内に存在しませんでした。
サリヴァンの詠唱:マスタードガスの解毒
次にサリヴァンが坊ちゃん達を救う為に使った液体。
NaOClは次亜塩素酸ナトリウム。
コロナ過では消毒液としてお世話になりましたね。
分かりやすく言えばキッチンハイターなどに含まれている塩素系漂白剤です。
これがマスタードガスにも効くなんてびっくり…!
参考までに少し調べてみたのですが、
マスタードガスの皮膚暴露時は0.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液で除染した後、大量の水で洗浄するそうです。
皮膚暴露時:直ちに暴露部位を大量の水で洗浄する。
マスタードガスの場合、0.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて除染した後、大量の水で洗浄する。なければ大量の水で洗浄する。
引用: https://www.j-poison-ic.jp/wordpress/wp-content/uploads/5c8915b3835a725eea91637ff131350d.pdf
坊ちゃんが大量の水を無理矢理飲まされていたのは、実際に行われるマスタードガスの解毒方法だったんですね!
枢先生も、「呪文以外は役に立つ」と言及なさっていました。
【ネタバレ】サリヴァンが施した儀式は"呪文以外"はもしもの時に役に立つことがあるかもしれないので薄っすら覚えておくといいかも。
— 枢やな_Staff (@toboso_official) April 19, 2025
もしもはないほうがいのですが【枢】#黒執事#BlackButler
まとめ
今回は原作緑の魔女編内に隠された構造式について考察をしていきました。
如何でしたでしょうか?
化学の内容だった為、ブログを書いていてなんだか自分が頭が良くなったような錯覚がありました。
こうして紐解いてみると、サリヴァンがいかに毒に囲まれているかがお分かりいただけたかと思います。
このシーンがどのようにアニメ化されるか今からとても楽しみです。
もしかするとアニメ版では他にも新たな構造式(魔方陣)が登場するかもしれませんね。
その場合はまた改めて、
原作と比較しつつ読み解いていけたらと思っています!
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それでは次の記事でまたお会いしましょう。
餅月