こんにちは、餅月です!今回は第138話の考察の続きです。
前回記事はこちらです。
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それでは第138話の残りの伏線について考察していきたいと思います。
第138話考察:目次
新たな伏線
- 嘘をつくなと言われてから、セバスチャンは坊ちゃんが真シエルに近寄らないようにしている
- 新たに張られた伏線: 坊っちゃんの代価の解釈
- セバスチャンの方が坊っちゃんより上手
- 劣悪な環境下で一か月間、坊ちゃんは咳が全然出ていない←最重要
疑問点
- 二重契約について(伏線かどうかはまだわからない)
伏線1:嘘をつくなと言われてから、セバスチャンは坊ちゃんが真シエルに近寄らないようにしている
坊ちゃんは二つ目の契約が終わった際このように言います。
坊っちゃん「そんなに急かすな。少し休ませてくれ」
するとセバスチャンは坊ちゃんを宙に持ち上げ寝かせるような姿勢にします。私はこの行動が少し引っかかりました。
単刀直入に言うと、これはセバスチャンが契約が完了するまでの間、坊ちゃんが真シエルに近寄らないようにするため意図的に行ったことである可能性があると感じます。
少し坊ちゃんの視線で考えてみます。
- 周りには自分たちを弄んでいた大人たち数十人の惨殺死体。
- 目の前には得体のしれない自分をたぶらかそうとしている悪魔。
- そして斜め前にはついさっき大人たちによって刺された身内、真シエルの体・・・・。
とても休めなさそうなこの場所で、敢えて少しの間「休む」としたら坊ちゃんはどうするでしょうか?
テーブルに座り続け頭を抱える、などの可能性ももちろんあります。しかし私は、可能性としては身内である「真シエルに近づこうとする」事も負けないくらいとても自然であると感じました。契約中も坊ちゃんはしきりに「シエルならどうする?」と考えていましたしね。
もしセバスチャンが本当に「意図的に坊っちゃんを真シエルに近づかせていなかった」場合、理由は下記のうちのどれかの可能性があります。
- 真シエルに近づくことで、坊ちゃんが冷静になり悪魔にとって不利な願いを提案する可能性を避けたかった
- 真シエルは実はまだかすかに息があった
- 真シエルの遺体を前にして、改めて「本当に死んだ人間を生き返らせることは出来ないのか」と坊ちゃんに尋ねられることを防ごうとした(もう嘘をつくなと命じられているため、本当のことを言わなくてはいけなくなるから。またもしそこで坊ちゃんが死者蘇生を願った場合、セバスチャンが望んでいた長期契約(魂の味付け期間?)の妨げになるため)
これは断定できないのですが、真シエルがかすかに生きていた可能性もゼロではないと思います。
第137話で、真シエルの遺体の描写がいくつかありますが、涙の筋が時折異なっているのが分かります。セバスチャンに持ち上げられたり、もともと絶命する前にたまっていた涙がこぼれた可能性もあるので根拠と呼ぶにはまだ少し弱いのですが・・・。
もしまだ息があって涙を流していた場合、3つ目の願いでぼっちゃんは「シエルを元気にさせて!」と願う可能性があります。
セバスチャンはおそらくそれに対し「つまらない」と感じるでしょう。
その場で魂を食べるだけなら、わざわざ「願い」に応じてやることなど「面倒で無駄な1工程」以外の何物でもないからです。
悪魔
「取引は双方に利益があってこそ成立するもの。損を据えると分かっている契約などありえない。ね?」
ここでセバスチャンが言う利益。これはもはや単に「魂」を食べるという意味ではありません。ただ食べるだけなら今食べればいいのです。「願いをかなえる」という工程をわざわざ踏むのは、それを踏むことでセバスチャンにとってさらなる利益が生じるからです。その具体的な利益については豪華客船編にて明かされています。
セバスチャン
「なんとまあ面倒な。ーーーしかしたとえヒトの子が一生を終えるほどの時間がかかったとして私には瞬きの間のこと。少しの間の暇つぶしになって、腹が満たされればそれでいい。」
黒執事13巻第62話「その執事、成長」より
セバスチャン
「絶望で飾られた王冠を戴く時、あなたの魂はきっと・・・滴るほどに美味だろう。」
黒執事14巻第63話「その執事、修行」より
セバスチャンが敢えて坊ちゃんと契約を結んだ理由。
- 少しの間の暇つぶし
- 腹が満たされること
- 絶望で味付けされた、滴るほどに美味な魂を食べること
つまり、セバスチャンは簡単に執行できてしまう契約を望んでいません。(疑問点としては今回セバスチャンは坊ちゃんの復讐相手を全員直ぐに殺そうとしています。これだとすぐに契約が完了していしまうので悩みどころです・・後々また詳しく考えていきたいと思っています)
現在のセバスチャンは、坊ちゃんの魂の味付けをするために長期的に育てていることは間違いありません。しかし契約のあの時点で「長期契約を望んでいたか」は、まだ確証が持てない状況です。ですが「真シエルに関する何かしらの事実で坊ちゃんの魂を絶望的に味付けする」ということは恐らく契約の時点で決めていたのではないでしょうか。
だからこそ、坊ちゃんが後に「悪魔に騙された!」と頭を抱えるような何かひどい根本的な落とし穴を秘めた契約を結ばせるために、あえて坊っちゃんを真シエルに近づかせなかったのかなと私は感じています。
伏線2:死んだ人間を生き返らせることが出来るのかという問いについて
解答がややこしいので、「嘘をつくな」と言われる前後での言及について纏めておきます。
嘘をつくなと言われる前(嘘をついている可能性がある言及)
- 哀れな犠牲と引き換えに願いをかなえる権利を得た
- 貴方が悪魔を召喚するのに支払った代償は兄の魂(意味:真シエルは死んだ)
- 残念ですが事実です。渡り賃が支払わなければ私はここにはいない。(意味:真シエルは死んだ)
- 払われた犠牲は二度と戻らない(意味:生き返らない。真シエルのことかは不明)
- 貴方は大きな犠牲を払った(意味:真シエルのことと捉えられる)
- 渡り賃はしかと頂いた(意味:真シエルの魂を食べた)
- 生き返らせられるか、と聞いた直後は無言描写あり。「・・・・・。」(意味:回答無し)
- 穏やかで幸せな時間をお約束しますよ(意味:応えになっていない)
- 死んだ人間を生き返らせること、時間を戻すことは不可能で、死んだ人間が生きていると思い込ませることが出来る、という坊ちゃんの主張に対して→「よくお気づきになられましたね」
嘘をつくなと言われた後(嘘をついている可能性がゼロの言及)
・死んだ人間を生きかえらせることが出来るかについての言及は今のところなし。
セバスチャンは嘘をつくなと命じられてからまだ自分がっ死者蘇生できるかについて言及していません。逆に嘘をつくなと命じられる前は随分と饒舌に語っています。しかしこれらはすべて、真実である保証がどこにもありません。
むしろ嘘をついている可能性が高いと私は考えています。よく、「答えないこと自体が答えだ。」という事があります。もまだ確証は持てませんが、今回セバスチャンはイエス、ノーで回答することを避け敢えて答えをぼかしました。これは事実です。まだ確証は持てませんが、これらの事実から私は悪魔は人を生き返らせることが出来るのではないかと感じています。少なくとも、わざわざここまで複雑に「死者蘇生が出来るかできないか」の答えを濁すのには何か確実に理由があるはずです。
もし悪魔の死者蘇生の能力の有無によって、今まで当ブログで言及してきたように、本当に悪魔と死神派遣協会との上位関係が覆ることになったらとても面白いなと感じます。
死神と悪魔の上下関係が、悪魔の死者蘇生の能力の有無によって覆る可能性があることに関しましてはこちらの記事をご確認ください。
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伏線3:坊っちゃんの代価の解釈
今回、坊ちゃんはラストでセバスチャンに「報酬としてあなたの魂を頂きます」と言われたときとても驚いた様子をしていました。
ここにも、セバスチャンの巧みな話術が現れています。
まずセバスチャンと坊ちゃんとの間で生まれた「契約報酬の認識のずれ」を確認していきます。
坊っちゃん
- シエルの魂を契約の報酬(犠牲)だと思っている
- シエルの魂を渡した時点で自分の支払いは完了していると思っている
セバスチャン
- シエルの魂は「渡り賃」である
- シエルの魂は悪魔を召喚するために支払った代償。契約の報酬は異なる
- 「犠牲」と契約の「報酬」は異なる
セバスチャン、これらについて実はきちんと言っています。嘘の中に真実も織り交ぜるなんてしたたかですね。
セリフを見てみましょう
セバスチャン
「貴方が悪魔を召喚するために支払った代償は、兄の魂!」
黒執事27巻第137話「その執事、折衝」より
セバスチャン
「歓喜するがいい!「犠牲」「願い」そして「契約」によって私は貴方の下僕となる。愚かな願いが果たされ、その魂を引き取る日まで
黒執事27巻第137話「その執事、折衝」より
重要なのは下線部分です。
シエルの魂は「悪魔償還のために支払った魂」であり契約とは関係ありません。
また、セバスチャンはさらりと「その魂を引き取る日まで。」とあります。これは坊ちゃんの魂のことであり真シエルの魂ではありません。恐らく真シエルの魂はここでは「犠牲」に値するのでしょう。まだ確証は持てませんがこの「犠牲」は坊ちゃんと真シエルの両方を指すのかもしれませんね。
坊ちゃんはここを誤解してしまいました。というよりは「誤解させるよう仕向けられた」といった方が正しいのかもしれません。セバスチャンはあえて分かりにくく説明しています。坊ちゃんはこの幼さと状況で大健闘しましたが、やはり相手は「契約のプロ」。セバスチャンの方が現時点ではやはり何倍も上手なように感じます。
おそらく来月号では
「ちょっとまて!話が違う!シエルの魂を食べただろう?契約は完了したはずだ!」
と坊ちゃんは悪魔に詰め寄るはずです。
セバスチャンは
「いったでしょう?渡り賃だと。契約の報酬はまた別のお話ですよ」と、しれっと笑顔で言うのでしょうね笑
セバスチャン、やはり上手です。
伏線4:劣悪な環境下で一か月間、坊ちゃんは咳が全然出ていない
普段病弱だった坊ちゃん。しかし今回劣悪な環境にいたにもかかわらず坊ちゃんは咳が出ていません。
咳が出たときと咳が出ていない時をまとめてみました。
咳が出たとき
- 五歳のころから
- マダムレッドは「病弱な母に似た」と診断
- ボート遊びで微熱と咳
- サーカス編で熱と喘息
- 真シエルが復活した時(予兆あり)
咳が出ていないとき
- セバスチャンとあってから3年間
- 生贄にされていた1か月間
こちら、サーカス編の方にかなり重要な伏線がありましたので後に詳しく記事にします。
結論を先に言ってしまうと、咳が出ているときと出ていないときの違いはファントムハイヴ家の家族と関わっているときかそうでないかです。サーカス編の先生の診断では急激な寒さやストレスでぶり返すことがあると診断されていました。
坊ちゃんの咳の原因が誰かに仕組まれたものなのか、それともストレスからくるものなのか。この点が真シエルとファントムハイヴ家との関係性を考察する上で非常に重要になってくる気がします。
もしストレスから来るものだとしたら、坊ちゃんが「幸せだった」と言っていたファントムハイヴ家での生活は、実はあの地獄の一か月よりもっと精神的に苦痛なものだったということになってしまいます。単純に体の弱さが原因の喘息であったとするならば、サバトでの日々でなぜ喘息が起こらなかったのか説明がつかないのでどうもそういった理由ではないように感じます。誰かが人為的に坊ちゃんの喘息を起こすように仕向けていた・・最悪のシナリオも視野に入れつつ、今後考察を深めていきたいと思います。
近日公開
坊ちゃんの咳について
疑問点
二重契約について
伏線かどうかはまだわからないのですが、坊ちゃんから「二重契約」という言葉が出ました。今後もしかするとなにかしらの出来事が絡むかもしれないので念のため頭に入れておこうと思います。
本日はここまで!
セバスチャンと坊ちゃんの契約交渉…かなり事務的で面白いです。そしてセバスチャンはやはり「契約のプロ」ですね。恐らく今まで何人もの人間と契約をしてきたのでしょう。スマートな後出しジャンケン、流石としか言いようがありません笑
第138話はハードな内容にもかかわらずセバスチャンの坊ちゃんとの掛け合い等コミカルに描かれていることも多くとても面白かったです。
現在最も引っかかる伏線は「悪魔は人を生き返らせることが出来るのか」そして「坊ちゃんの咳の理由」・・でしょうか。
来月の黒執事が発売になるまで、この辺りをさらに深く考察していけたらと思っています。
餅月