黒執事考察ブログ

葬儀屋(アンダーテイカー)についての考察を載せたいがためにはじめたブログです。『黒執事』に隠された「嘘」と「伏線」に、貴方も騙されていませんか?※本誌内容に言及します※

【考察】黒執事における「名前」の重要性

こんにちは、餅月です。
今回は黒執事を「名前」という観点で見ていきたいと思います。

黒執事における名前

黒執事という作品を紐解くうえで、特に「名前」は非常に重要な意味を持つものであると考えることが出来ます。
具体的に黒執事内で意図的に「名前」を意識されて張られたであろう伏線をまとめてみます。
初めにざっと、本名が不明な登場人物をあげてみたいと思います。(なお、恐らく本名であるセカンドネームが明らかになっていてフルネームが不明なキャラクター、名前を隠すことに深い意味が存在しないと感じた寄宿学校編のキャラクター、本名かどうかに言及がないラウと蘭猫などは省略してあります。)

本名(フルネーム)が不明な人物

  • 坊ちゃん
  • セバスチャン
  • 葬儀屋
  • 使用人全員(タナカ、バルドロイ、フィニアン、メイリン)
  • ヴォルフラム・ゲルツァー(軍により与えられた名前で本名不明)
  • ババ様(サリヴァン教授)
  • スネーク
  • ジョーカー
  • ダガー
  • ドール
  • ピーター
  • ウェンディ
  • ジャンボ
  • 先生

(なおビースト(本名マリー)とケルヴィン男爵はフルネームは不明であるが一部分かっているので省略)

多っ・・・!
改めてこうしてみてみるとやはり名前が不明な人物がかなり多いことが分かります。
しかも特筆すべきは坊ちゃん、セバスチャン、葬儀屋。この三人は悪魔6のメンバーで読者人気投票ランキングの上位1位~3位のキャラクターです。
つまり黒執事はキャラ人気登用ランキング上位3名全ての本名が不明な作品となります。

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悪魔6

「名前」についての逸話

  • 悪魔祓いにおいて、悪魔の名前を聞き出さないと憑りついた悪魔を払うことが出来ない
  • 葬儀屋が「ディーデリヒ」以外の登場人物を名前で呼んだことが一度も無い
  • ロナルド・ノックスは実在する人物である
  • グレル・サトクリフのモデルだと考えられるピーター・サトクリフのミドルネームは「ウィリアム(ウィル)」である
  • スネークの蛇の名はイギリスの詩人の名前からとられている


このように、本名が不明なだけでなく、登場人物の名前には非常に深く意味づけが施されています。
この中でも特に特筆したいことが悪魔祓いにおける「悪魔の名前の重要性」と、葬儀屋が登場人物の名前を呼んだことが無いこと。そしてロナルド・ノックスという名前から「双子」というワードにたどり着けるということです。
これらは後日改めて具体的に記事にして下記に張らせていただきますが、簡単に概要を説明させていただきます。

悪魔祓いにおける「悪魔の名前の重要性」

映画エクソシストなどで有名な悪魔祓い。
これは単なるオカルト話ではありません。実際「国際エクソシスト協会」はカトリック教会に今日も実在します。1991年に設立され、今や200人を超える司祭が存在します。

人にとりついた悪魔を祓うエクソシスト。彼らが悪魔と戦う上で最も苦労する点、それは悪魔の名前を聞き出すことです。
「お前の名を言え!」とエクソシストは悪魔に問いただしますが、悪魔はかたくなに自分の名前を言うことを拒否します。エクソシストは悪魔の正体(名前)を得ないと祓うことが出来ず、逆に言えば真実の名前さえ知れれば悪魔を祓うことが出来るのです。
このくだりはYouTubeでもいくつか動画がありますので詳しく述べた記事に貼り付けますね。
坊ちゃんに「悪魔、お前名前は」と聞かれた際サラリとその質問をかわしたセバスチャン。その意味は想像よりも大きいものを秘めているのかもしれません。

葬儀屋は登場人物を名前で呼んだことが無い

葬儀屋が登場人物を名前で呼んだことがありません。これには明らかに枢先生の意図的な理由があると考えています。
特に、坊ちゃんのことを「シエル」と呼んだことが無く「伯爵」と呼び、セバスチャンも「執事君」と敢えて呼ぶことには非常に大きな意味があると考えています。
葬儀屋は坊ちゃんが「シエル」ではなく、セバスチャンが「セバスチャン」でないことを恐らく初めから知っていました。
もしかすると「すべての嘘を見破っていて真実に気付いている唯一のキャラクター」が葬儀屋であることの表れなのかもしれません。
ちなみに唯一名前で呼んだディーデリヒですが、これはディーデリヒがヴィンセントに対し
「名前で呼ぶな!俺はお前の寮弟ではない!」と、名前で呼ばれることが特に嫌いであることを知っていたから敢えて嫌がらせと悪戯を込めて本名で呼んだのではないかと考えています。

ロナルド・ノックス

ロナルド・ノックスは実在したイギリスの聖職者であり推理小説作家です。
兄は『パンチ』編集長を務めたE・V・ノックスであり、この『パンチ』については密室殺人事件編において「僕はパンチだって読む」と坊ちゃんが言及しています。

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黒執事9巻第39話「その執事、吃驚」より
「ノックスの十戒」というロナルド・ノックスが1928年に“The Best of Detective Stories of the Year 1928”(邦題『探偵小説十戒』)で発表した推理小説を書く際のルールが存在し、密室殺人事件編はこの「十戒」に反するトリックが満載で描かれた内容となっています。これは枢先生による意図的な遊び心とみて間違いないでしょう。
また、この「十戒」の中で特筆すべきはラストの第10番。「双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない」という一文です。
これは密室殺人事件のみならず黒執事全体に言える伏線であるといえます。
密室殺人事件編のみならず、黒執事とは「双子」という観点からも、徹底的に「ノックスの十戒」に反するもので構築されていると考えることが出来ます。


その他名前についての詳しい記事はこちらをどうぞ

【考察】グレル・サトクリフのモデルとなった人物のミドルネームに「ウィリアム」が存在する
www.under-taker.com
【考察】スネークの蛇の名前はすべて詩人の名前に由来する
www.under-taker.com

                                                                             
近日公開記事
【考察】悪魔祓いにおける悪魔の名前の重要性
【考察】葬儀屋はディーデリヒ以外の登場人物を名前で呼んだことが一度も無い
【考察】ロナルド・ノックスは実在した人物

まとめ

以上が、簡単ではありますがざっくりと「名前」という観点から黒執事を見たときに浮かび上がってくる伏線のまとめとなります。
このように改めて羅列してみると黒執事は想像以上に「名前」に関する疑惑が強い作品であることが見えてきます。
黒執事と「名前」の関係性。これらは今後さらにより深く伏線が張られていくのではないかと予想しています。
それぞれのキャラクターの本名が明らかになるとき、黒執事は何かしらの大きな節目を迎える可能性があります。

餅月